10月12日に東日本を直撃した台風19号は列島各地に被害の爪痕を残したが、湾岸沿いではなく、神奈川県川崎市の内陸に位置する「武蔵小杉」(神奈川・川崎市)が大きな被害を受けたことに驚いた人は多かったのではないか。 「住みたい街」ランキング上位の常連、武蔵小杉の台風被害は、数年間にわたって大きく影響の残る厄災となりそうだ。これまでに築き上げた街としての“ブランド価値”が一夜にして崩れ去りかねない事態が起きたのである。 台風19号がもたらした大雨によって多摩川沿いの街は泥水に浸かった。JRの緑の自動改札機、駅構内の通路を縫う黄色い点字ブロックも濁った水で見えない。道路に停まる車は、車体の半分ほどまで沈んだ──。 「地下室に大量の水が流れ込み、住民総出でバケツリレーもしましたが水嵩は増すばかりで……。安全を考えて、最終的には自室に避難せざるを得ませんでした」 台風直撃当日を振り返り、駅近くのタワマ