「誰も聞いてなくてもいいからうたいたいって言うんだもの」 完璧な七七七五「春の桜は元気がよいが今の我々枯れ葉です」 「普通の話をするのと一緒。それをうたってるだけですから」 「夜通しやってる『民謡ラップバトル』があるの、知ってる?」。秋田県人の友人からそう聞かれたのは、6月末のことでした。《好きなあなたにゃ旦那がおるがそんなことなど気にしない》。民謡とは思えない突っ込んだ言葉の応酬。奥羽山脈のふもとにある集落で何が起きているのか? コロナ下での延期を経て11月7日に開かれた特別大会を聴きに現地へ向かいました。(朝日新聞秋田総局記者・高橋杏璃) 「誰も聞いてなくてもいいからうたいたいって言うんだもの」 「民謡ラップバトル」は友人の故郷、県南部の美郷町にある熊野神社で毎年8月に開かれる行事で、「全県かけ唄大会」と呼ばれているといいます。 出場者は2人1組で舞台に上がり、地域を代表する民謡「仙北