Published 2024/04/18 10:30 (JST) Updated 2024/04/18 11:17 (JST) 2023年11月下旬、アフリカ・ケニア東部のトゥーラ近郊。取材のため車で通りがかった私は、赤茶色の濁流を前に立ち往生していた。道路のアスファルトがはぎ取られている。 あちこちで寸断された道路の端に集まった住民たちが「誰かロープで助けろ!」と大声を上げた。 彼らが指さす方向を見ると、数百メートル向こうに、水に漬かる車両から逃れて柱にしがみつく運転手の姿がわずかに見えた。 首都ナイロビから約7時間。車に揺られてきたが、水害の広がるスピードは想像を超えて速かった。「すみませんそっちに行けないので引き返します。道が無くなっていて…」。取材協力者におわびの電話を入れる、ケニア人の同僚の声が聞こえた。 この場面だけ見れば一地域の大雨被害と思われるかもしれない。しかし、ここから