なぜ、こうも女性たちの心を揺さぶるのだろう。放映が始まって2カ月近くたつNHK連続テレビ小説「虎に翼」のことだ。女性が法的に「無能力者」とされていた男尊女卑極まる時代に法曹界へと飛び込んだ女性たちを描いている。モデルとなったのは日本で初めての女性弁護士、三淵嘉子さん(1914~84年)。その後に続き、自らも困難に直面してきた女性たちは何を思うのか、聞きたくなった。 舞台は昭和初期から戦中、戦後に至る日本社会だ。戦前の女性は参政権がなく、高等教育を受けられる人はごくわずか。男尊女卑と家制度を前提とした当時の民法は、結婚した女性を「無能力者」としていた。そうした常識に、伊藤沙莉(さいり)さん演じる主人公、猪爪寅子(ともこ)が「はて?」と疑問を投げかけ、仲間と立ち向かうのだ。 「毎日2回も3回も見て、そのたびに涙をボロボロと流しています」。今月中旬、東京都内で取材に応じた元最高裁判所判事の桜井龍