中世の写字生、グーテンベルクをはじめとする印刷術の立役者、あるいは蒐集家、偽作者、伝統を守ろうとした改革者たち……。いつの時代にも、書物を愛し、あたかも書物に愛されて生きているような人々がいた。巻物から冊子へ、音読から朗読へ、書物と人が織りなす世界を楽しみながら、壮大な迷宮を旅する。カラー口絵四ページ。 はじめに 文字メディア、いにしえの形態 二〇〇〇年近く前の文書板 ローマ軍兵士の日常生活 木板、葦ペン、インク 『アエネーイス』からの引用 写本以前 楔形文字を刻んだ蠟板 先を尖らせた葦の茎が刻む文字 書写材料と使用言語 最古の書記 Book の語源をたどる 書籍とは、書物とは 語源 ブナの木の謎 冊子本の登場 情報へのたどり着きやすさ パピルス ペンとインク 羊皮紙 パピルスの冊子本、羊皮紙の巻子本 冊子本への転換 聖マルコのノートブック 中世式知的生産の技術 ぺチア・システム デストレ