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  • 外山文子『タイ民主化と憲法改革』 - 西東京日記 IN はてな

    ここ数年、欧米ではポピュリズムの嵐が吹き荒れています。「ポピュリズム」がいかなるものかということに関してさまざまな議論がありますが、「法の支配」や「司法の独立」といった概念への攻撃がその特徴としてあげられることがあります。 これはリベラル・デモクラシーを、国民の意志を反映するという「民主主義」要素と、エリート間の相互抑制を重視する「自由主義」要素の結合と考える見方からすると(この考えについては待鳥聡史『代議制民主主義』(中公新書)が説明している)、ポピュリズムにおいては「民主主義」が肥大化して「自由主義」を圧迫していると見ることができるかもしれません(ハンガリーのオルバン政権やポーランドの与党「法と正義」などはその典型)。 しかし、一方で途上国、あるいは新興の民主主義国では、政治化した司法が民主主義を抑え込むという展開も見られます。「アラブの春」で成立したムルシー(モルシ)政権を引きずり下

      外山文子『タイ民主化と憲法改革』 - 西東京日記 IN はてな
    • 公園利用 再開の動き 子どもたちの居場所確保で 西東京 | NHKニュース

      新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの公共施設の利用が休止されている中、東京都内では子どもたちの居場所を確保するために公園の利用を再開する動きも出てきています。 しかし、自宅で過ごすことが多くなる子どもの居場所を確保しようと、公園の中の「ボール広場」に限って、14日から利用を再開しました。 天候に恵まれた15日は、午前10時に広場の鍵が開けられると外で待っていたおよそ30人の子どもたちが一斉に入り、早速、友達とバスケットボールやフットサルを楽しんでいました。 市では、広場の中が混雑してきたら譲り合ってもらうようスタッフが巡回して声かけを行うほか、手洗いやうがいを呼びかけるポスターを設置して、感染の拡大防止に努めるとしています。 訪れた中学1年生の女子生徒は「ずっと家に閉じこもっていたので外の空気を吸えて、からだを動かすことができて本当にうれしいです」と話していました。 西東京市みど

        公園利用 再開の動き 子どもたちの居場所確保で 西東京 | NHKニュース
      • 木下衆『家族はなぜ介護してしまうのか』 - 西東京日記 IN はてな

        「家族はなぜ介護してしまうのか」、なんとも興味をそそるタイトルですが、本書は、認知症患者のケアにおける家族の特権的な立場と、それゆえに介護専門職というプロがいながら、家族が介護の中心にならざるを得ない状況を社会学者が解き明かした本になります。 本書は専門書であり、イアン・ハッキングや「概念分析」の考えを援用しながら認知症と介護について分析したりもしています。ただし、多くは分析は当事者の実際の声を拾いながら行われており、社会学の難しい概念がわからなくても介護経験者などには「わかる」部分が多いのではないかと思います。介護問題が身近になくても、対人援助職についている人などは「わかる」と感じる部分が多いのではないでしょうか。 また章と章の間にはコラムも挟まれており、実際に介護問題に直面している人はそこから読んでみてもいいかもしれません。 目次は以下の通り。 はじめに 序章 新しい介護、新しい問題

          木下衆『家族はなぜ介護してしまうのか』 - 西東京日記 IN はてな
        • 佐藤卓己『『キング』の時代』 - 西東京日記 IN はてな

          『キング』というと関東大震災以後の大衆文化を代表するものとして日本史の教科書にも登場しています。ただし、100万部を売ったということが紹介されているだけど、その具体的な中身や人気の秘訣については知らない人も多いと思います。 そんな『キング』について、『言論統制』や『ファシスト的公共性』などで知られる佐藤卓己が持ち前の調査力を発揮して論じた本。原著は2002年の出版ですが、今回岩波現代文庫に入りました。 「はじめに」に、 たしかに「政治的正しさ」のアリバイ作りとなるファシズム研究=批判は量産されたが、自らがファシストになる可能性まで念頭においた研究はどれほど存在するのだろうか。(xii p) 国民国家批判をつきつめれば「一億遭難民化のススメ」に行く着くが、幸福な難民はおそらく一部の強者にすぎない。弱さの糾弾は、強者のみを正当化する政治に至る。それこそが、ファシズムとは言えまいか。(xii〜x

            佐藤卓己『『キング』の時代』 - 西東京日記 IN はてな
          • エリック・A・ポズナー/E・グレン・ワイル『ラディカル・マーケット』 - 西東京日記 IN はてな

            「市場こそが社会を効率化するもので、できるだけ市場原理を導入すべきだ」という考えは、いわゆる新自由主義の潮流の中でたびたび主張されており、特に目新しい提案ではないです。 では、この本は何が目新しいのか、何がラディカルなのかというと、私有財産を一種の独占とみなして、その市場における特権的な地位を再検討していることです。資本主義というと市場経済+私有財産制がその柱となっていますので、資本主義自体を問い直そうとする思い切った試みになります。 こちらのページの安田洋祐の解説によると、E・グレン・ワイルは学部生時代から大学院生たちを(ティーチング・アシスタントとして)教える、スーパーな学部生で、平均で5、6年はかかる経済学の博士号(Ph.D.)を、たった1年でゲットしてしまう天才的な人物だそうです。 もう1人の著者はゲイリー・ベッカーと共著のある人かと思ったら、そちらはリチャード・アレン・ポズナーで

              エリック・A・ポズナー/E・グレン・ワイル『ラディカル・マーケット』 - 西東京日記 IN はてな
            • 『リチャード・ジュエル』 - 西東京日記 IN はてな

              一言で言えば非常に「反時代的」な映画。基本的には、イーストウッドがここ最近好んで取り上げる、「無名の人の行った英雄的行為」を描いたもの。アトランタオリンピックの開催中に起きた爆弾テロ事件において、爆弾をいち早く発見し、被害の拡大を防いだリチャード・ジュエルが主人公です。 ただし、この話のポイントは、リチャード・ジュエルがヒーローから一夜にして容疑者扱いされるようになったことにあります。英雄になるために自ら爆弾を仕掛けてそれを発見するというのは過去に見られた手口でもあり、リチャードもそういった人物ではないかと疑われたのです。 しかも、それがFBIからマスコミにリークされたことから、リチャードはマスコミに追い回され、彼と母親は生き地獄を経験することになります。このリチャードを以前からの知り合いであった弁護士のワトソン・ブライアントが救うというのが映画の筋書きです。 このように書くと、いかにも映

                『リチャード・ジュエル』 - 西東京日記 IN はてな
              • 2010年代、社会科学の10冊 - 西東京日記 IN はてな

                2010年代になって自分の読書傾向は、完全に哲学・思想、心理、社会、歴史といった人文科学から政治、経済などの社会科学に移りました。その中でいろいろな面白い本に出会うことができたわけですが、基本的に社会科学の本、特に専門書はあまり知られていないと思います。 人文科学の本は紀伊國屋じんぶん大賞など、いろいろと注目される機会はあるのに対して、社会科学の本はそういったものがないのを残念に思っていました。もちろん、いい本は専門家の間で評価されているわけですが、サントリー学芸賞などのいくつかの賞を除けば、そういった評価が一般の人に知られる機会はあまりないのではないかと思います。 そこで社会科学の本の面白さを広めようとして書き始めたこのエントリーですが、最初にいくつか言い訳をします。 まず、「社会科学の本」と大きく出たものの、法学や経営学の本はほぼ読んでいませんし、以下にあげた本を見てもわかるように社会

                  2010年代、社会科学の10冊 - 西東京日記 IN はてな
                • 岡奈津子『〈賄賂〉のある暮らし』 - 西東京日記 IN はてな

                  副題は「市場経済化後のカザフスタン」。中央アジアのカザフスタンを舞台に人々の生活の間に賄賂がどのように根を下ろしているのか、人びとはそれをどう感じているのかということを探った本になります。 途上国において、賄賂がものを言うと話はよく聞きますし、賄賂を始めとした腐敗や不正が経済成長を阻んでいるという話も聞きます。 では、実際に賄賂がさかんに使われている国における生活はどのようなものでしょうか? 本書では、多くの人々へのインタビューを通じてカザフスタンにおける驚くべき実態を明らかにするとともに、賄賂が組み込まれた社会の仕組みを明らかにしています。 目次は以下の通り。 第1章 中央アジアの新興国カザフスタン 第2章 市場経済化がもたらしたもの 第3章 治安組織と司法の腐敗 第4章 商売と〈袖の下〉 第5章 入学も成績もカネしだい 第6章 ヒポクラテスが泣いている カザフスタンと聞いてもあまりピン

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                  • 松尾隆佑『ポスト政治の政治理論』 - 西東京日記 IN はてな

                    面白く読みましたが、なかなか紹介の難しい本でもあります。 まず、タイトルを見ても中身がわからない。これが「ポスト代議制の政治理論」とかであれば、「ああ、直接民主制その他を語った本なのか」と想像がつきますが、「ポスト政治」という言葉は一般の人にはわかりにくいです(「ポスト学校の教育理論」なら中身が想像できるが、「ポスト教育の教育理論」では想像できないのと同じ)。 わかりにくいタイトルを補うのが副題ですが、この副題が「ステークホルダー・デモクラシーを編む」。これを読んでも多くの人はイメージが掴めないでしょう。自分もわかりませんでした。 「ステークホルダー」という言葉は企業経営で使われる言葉で、多くの人が一度くらいは聞いたことがある言葉だと思います。ただ、それと「デモクラシー」の結びつきと言われてもいまいちピンとこないでしょう。 この「わからなさ」に関しては、第1章を読めばほぼ解消されると思いま

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                    • 2019年の本 - 西東京日記 IN はてな

                      毎年恒例のエントリー。今年はまず小説以外の本(と言ってもほぼ社会科学の本ですが)を読んだ順で9冊紹介します。 小説に関しては去年は順位をつけませんでしたが、今年は順位をつけて5冊紹介します。 ちなみに新書のほうは以下に今年のベストをまとめてあります。 blog.livedoor.jp ・ 小説以外の本 ジョージ・ボージャス『移民の政治経済学』 移民は受入国にどんな影響をあたえるのでしょうか? 経済を成長させるのでしょうか? それとも減速させるのでしょうか? あるいは移民の受け入れによって損する人と得する人が出てくるのでしょうか? この本はアメリカのハーバード・ケネディスクールの教授で、長年移民について研究してきた著者が、移民のもたらす影響をできるだけ詳しく分析し、上記の問に答えようとした本になります。 日本でもこれから「移民は是か非か」、「移民は日本経済を救うのか?」といった議論がなされて

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                      • ジャスティン・ゲスト『新たなマイノリティの誕生』 - 西東京日記 IN はてな

                        2016年に大西洋を挟んで起きたイギリスのBrexitとアメリカの大統領選でのトランプの当選は世界に大きな衝撃を与え、この2つの事柄が起きた背景や原因を探る本が数多く出されました。 本書もそうした本の1つなのですが、何といっても本書の強みは2016年以前からイギリスのイーストロンドンとアメリカのオハイオ州ヤングスタウン(金成隆一『ルポ トランプ王国』(岩波新書)でも中心的に取材していた場所)で白人労働者階級をフィールドワークしていたことです。つまり、ある意味でBrexitやトランプ現象を起こした地殻変動を予測していた本でもあります。 白人労働者が感じている「剥奪感」に注目しながら、同時に彼らの声がまともにとり上げられなかった政事的背景に対しても踏み込んだ分析を行っており、読み応えがあります。 そして何よりも、彼らの生の声を聞くことで、問題の根深さを知ることができる本でもあります。 目次は以

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                        • 共産党の西東京市議が役所内で赤旗の勧誘や集金→市長「現状を改める必要がる」→共産党「憲法ガー!」 | KSL-Live!

                          日本共産党の西東京市議が、市庁舎内の職員を対象に党機関紙「しんぶん赤旗」の勧誘や集金をしていたことが4日の市議会で明らかとなった。問題を指摘した自民の浜中義豊市議に対し市長は「職員の政治的中立性について、市民から誤解を生じさせているならば、現状を改める必要がある」と述べた。これに対して共産党は「憲法で保障された政治活動だ」と主張している。 参考:西東京市議、役所内で赤旗勧誘・集金 市長「現状改める必要」 – 産経ニュース 浜中市議、市側、副市長のやり取りは以下、 浜中市議は「一般市民が入ることのできない執務室内で、現職市議による政党機関紙の購読の勧誘、配達、集金が行われ、地方公務員が集団で政党機関紙を購読することは公務員の政治的中立性への疑いと、職員より優位な立場の議員による心理的強制による加入をほぼ強制しているという問題がある」と指摘。市側は「職員個人が政党機関紙を購読するか否かについて

                            共産党の西東京市議が役所内で赤旗の勧誘や集金→市長「現状を改める必要がる」→共産党「憲法ガー!」 | KSL-Live!
                          • 西東京市議、役所内で赤旗勧誘・集金 市長「現状改める必要」

                            東京都西東京市の共産市議が市役所内で、複数の職員に政党機関紙「しんぶん赤旗」の購読を勧誘、配達、集金するなどしていたことが4日、市議会一般質問で明らかになった。丸山浩一市長は「職員の政治的中立性について、市民から誤解を生じさせているならば、現状を改める必要がある」と答え、対応策を講じる考えを示した。一方、共産党側は「憲法で保障された政治活動だ」と主張している。 この日の市議会で、自民の浜中義豊(のりかた)市議は「庁舎内で政党機関紙の購読の勧誘、配達、購読料の徴収が行われているように見受けられる。市の見解を聞きたい」と質問。これに対し、市側は庁舎内での勧誘行為などについて「承知している」と事実を認めた。 これを踏まえ、浜中市議は「一般市民が入ることのできない執務室内で、現職市議による政党機関紙の購読の勧誘、配達、集金が行われ、地方公務員が集団で政党機関紙を購読することは公務員の政治的中立性へ

                              西東京市議、役所内で赤旗勧誘・集金 市長「現状改める必要」
                            • 田中(坂部)有佳子『なぜ民主化が暴力を生むのか』 - 西東京日記 IN はてな

                              紛争が終結して、新しい国づくりを始めてそのために選挙も行ったのに、再び政事的暴力が噴出してしまう。これはよくあるパターンだと思います。近年だと南スーダンがそうでした。PKOで派遣されていた自衛隊が武力衝突に巻き込まれそうになっていたのは記憶に新しいと思います。 本書は、タイトルのように「なぜ民主化が暴力を生むのか」という問に答えようとした本です。中心的な事例としては東ティモールを、分析手法としては計量分析とゲーム理論を主に用いながら、民主化が暴力を生み出すメカニズムを明らかにしようとしています。 個人的には分析の仕方にいまいちピンとこない部分もあったのですが、テーマ的には非常に興味深いものですし、いくつかの興味深い知見もあります。 目次は以下の通り。 第1章 民主化は暴力を生む? 第2章 先行研究と本書の分析枠組み 第3章 紛争後社会における小規模な政治暴力の発生―政治体制と政治制度が及ぼ

                                田中(坂部)有佳子『なぜ民主化が暴力を生むのか』 - 西東京日記 IN はてな
                              • ポール・コリアー『エクソダス』 - 西東京日記 IN はてな

                                『最底辺の10億人』、『民主主義がアフリカ経済を殺す』などの著作で知られる開発経済学者のポール・コリアーが移民について論じた本。 トランプ大統領の誕生にBrexitと、移民の問題がクローズアップされる機会が続きましたが、この本の原書が出たのは2013年であり、トランプやBrexitについては論じていません。それでもいくつかの問題に関しては先取りして論じていおりますし、また、移民問題は解決したわけでものないので、まだまだタイムリーな内容となっています。 また、「最底辺の10億人」を研究テーマとしてきた著者らしく、移民を受け入れる側だけではなく、送り出す側への影響についても紙幅をとって分析しているのが特徴です。 著者は移民のもたらす正負の影響を分析しながら、最適な移民の規模や政策というものを探ろうとしています。 目次は以下の通り。 プロローグ 1 第Ⅰ部 疑問と移住プロセス 第1章 移民という

                                  ポール・コリアー『エクソダス』 - 西東京日記 IN はてな
                                • #台風19号 茨城・西東京・群馬など被害がなかなか報道されない地域が各地にあるようなので、状況を集めてみました

                                  リンク BBCニュース 台風19号「ハギビス」で日本各地に被害 河川氾濫も 大型で強い台風19号「ハギビス」は12日、午後7時前に静岡県・伊豆半島に上陸し、各地に強い風と大雨をもたらしながら北上した。 65

                                    #台風19号 茨城・西東京・群馬など被害がなかなか報道されない地域が各地にあるようなので、状況を集めてみました
                                  • 西東京地区のエビチャーハン有名店! 南京亭(相模原橋本/エビチャーハン) - 海老チャーハン と チャーハン は別物?

                                    美味しい海老チャーハン食べ歩きブログ 第30食 K七です。 海老チャーハン食べ歩きも30食まできました。 そろそろタイトル変更をしたいところ。 どんなのがいいでしょうねぇ? うーん。 今日は相模原橋本の海老チャーハンです。 橋本駅は、 JR横浜線と相模線が通っています。 京王相模原線の終点でもあります。 リニア中央新幹線の開通が 2027年に予定されています。 品川駅の次が橋本駅になります。 スゴイですね! 西東京の雄『南京亭』に行きました。 南京亭・東京亭の名前で11店舗展開しています。 『南京亭』をネットを見るとチャーハンは有名ですけど 海老チャーハンも有名でウレシイ店です。 カウンター席では厨房が見えるので楽しいです。 忙しいランチ時間。 テキパキと動く店員さん。 見事な連携プレーで次々と料理を完成させていきます。 さすがの鍋さばきです。 南京亭相模原橋本店 エビチャーハン大盛り エ

                                      西東京地区のエビチャーハン有名店! 南京亭(相模原橋本/エビチャーハン) - 海老チャーハン と チャーハン は別物?
                                    • マンサー・オルソン『集合行為論』 - 西東京日記 IN はてな

                                      集団と集合財(公共財)の関係を論じた古典的著作。やはり読んでおくべきかと思って読んでみました。 ただ、O・E・ウィリアムソン『市場と企業組織』を読んだときにも思いましたけど、完全に古典というわけでもない少し古めの本を読むと、文脈や著者は想定している論敵の理論といったものがわからずに、内容を掴むのがやや難しいですよね。 というわけで、以下では「なるほど」と思った部分を簡単に紹介します。 目次は以下の通り。 序 章 第1章 集団と組織の理論的考察 第2章 集団規模と集団行動 第3章 労働組合と経済的自由 第4章 国家と階級の伝統理論 第5章 伝統的な圧力団体論 第6章 「副産物」理論と「特殊利益」理論 1971年版の補遺 本書が問題としている1つのポイントは、集合財の獲得を目指す集団において、小集団では構成員の共通の利益は達成されやすいが,大集団では達成されにくいというものです。小集団であれば

                                        マンサー・オルソン『集合行為論』 - 西東京日記 IN はてな
                                      • ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』  - 西東京日記 IN はてな

                                        それぞれ数多くの論文を発表し高い評価を得ているアセモグルとロビンソンが「経済成長はどのような条件で起こるのか?」という大テーマについて論じた本。読もうと思いつつも今まで手が伸びていなかったのですが、授業でこの本と似たようなテーマを扱うことになったので、文庫版を手に入れて読んでみました。 目次は以下の通り。(第1章〜第8章までが上巻、第9章以降が下巻) 第1章 こんなに近いのに、こんなに違う 第2章 役に立たない理論 第3章 繁栄と貧困の形成過程 第4章 小さな相違と決定的な岐路―歴史の重み 第5章 「私は未来を見た。うまくいっている未来を」―収奪的制度のもとでの成長 第6章 乖離 第7章 転換点 第8章 領域外―発展の障壁 第9章 後退する発展 第10章 繁栄の広がり 第11章 好循環 第12章 悪循環 第13章 こんにち国家はなぜ衰退するのか 第14章 旧弊を打破する 第15章 繁栄と貧

                                          ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』  - 西東京日記 IN はてな
                                        • ウィリアム・ノードハウス『気候カジノ』  - 西東京日記 IN はてな

                                          2018年に気候変動を長期的マクロ経済分析に統合した功績によってノーベル経済学賞を受賞したノードハウスの著書。価格が2000円+税なので、「今までの研究のコアの部分を一般向けに簡単に語った本なのかな」と思って注文したのですが、届いてみたら450ページ近い分厚い本で、ほぼこの1冊で現状で明らかになっている地球温暖化問題について語れてしまうような本ではないですか! これはコスパが高いです。 実は読んだのが6月頃で、今さらこの大部の本をきちんとまとめる力は残っていないので、以下、非常に簡単に紹介を書きます。 目次は以下の通り。この目次を見るだけで、温暖化について主な論点のほぼすべてが書いてあることがわかると思います。 第I部 気候変動の起源 第1章 気候カジノへの入り口 第2章 二つの湖のエピソード 第3章 気候変動の経済的起源 第4章 将来の気候変動 第5章 気候カジノの臨界点 第II部 気候

                                            ウィリアム・ノードハウス『気候カジノ』  - 西東京日記 IN はてな
                                          • ロナルド・イングルハート『文化的進化論』 - 西東京日記 IN はてな

                                            『静かなる革命』、『カルチャーシフトと政治変動』といった著作で、20世紀後半の先進国では物質主義的価値観から脱物質主義的価値観へのシフトが起こったということを主張したイングルハートが2018年に出版した著作の翻訳。 この理論自体はすでに広く知られているものであったものの、ここ最近のトランプ大統領の誕生や欧州のポピュリズムにおいて、例えば、脱物質主義的価値観の特徴である環境保護や同性愛への寛容などにたいする反動が起こっており、「物質主義的価値観から脱物質主義的価値観へのシフト」という理論が反証されているようにも見えます。 そんな中、本書にはトランプ大統領誕生以降のことについて書いた章もあることを知り読んでみました。20世紀後半の世界のトレンドを分析した章も面白いですが、やはり印象に残るのは近年の動きを分析した第9章「静かなる「逆革命」」と第10章「人工知能社会の到来」の2つの章。ここでもこの

                                              ロナルド・イングルハート『文化的進化論』 - 西東京日記 IN はてな
                                            • 周燕飛『貧困専業主婦』 - 西東京日記 IN はてな

                                              表紙裏には「100グラム58円の豚肉をまとめ買いするためい自転車で30分走る」、「月100円の幼稚園のPTA会費をしぶる」などと書いてあり、タイトルからしても最近流行りの「貧困ルポ」の一種かと思う人もいるかも知れませんが、そうではありません。 中国生まれの女性で、労働経済学や社会保障論などを専門とする労働政策研究・研修機構(JILPT)の主任研究員でもある著者が、JILPTの行った大規模調査などをもとにして現在の日本における専業主婦の以外な姿を明らかにした本になります。 以前は「高収入男性の妻ほど就業率が低い」というダグラス・有沢の法則が知られていましたが、近年では、世帯収入が低いにもかかわらず専業主婦、あるいはもっとも高収入の世帯では専業主婦が少なくなるという現象が見られます(44p図2−3参照)。 本書はこうした実態を明らかにしつつ、その理由と問題点、さらには対処法を探っています。この

                                                周燕飛『貧困専業主婦』 - 西東京日記 IN はてな
                                              • クリストファー・R・ブラウニング『増補 普通の人びと』 - 西東京日記 IN はてな

                                                ナチ・ドイツによるユダヤ人の虐殺について、多くの人はアウシュビッツ−ビルケナウに代表される絶滅収容所による殺害という印象が強いと思います。 そこでは、工場における分業のような形で毒ガスによる虐殺が行われ、多くのドイツ人が自らの職務を果たすことで虐殺が完成しました。アレントはそうした官僚的な虐殺者としてアイヒマンを描き出し、それに「悪の陳腐さ」という言葉を与えました(実はアイヒマンは筋金入りの反ユダヤ主義者が法廷での「平凡さ」は演技だった可能性が高い。野口雅弘『忖度と官僚制の政治学』参照)。 しかし、ユダヤ人の虐殺はガス室のみで行われたのではありません。ホロコーストの犠牲者およそ600万人のうち、20〜25%が射殺によるものであり、20%と考えてもおよそ120万人と相当な数を占めています。 こうした射殺を行った部隊としてラインハルト・ハイドリヒ率いる特別行動部隊(アインザッツグルッペン)が有

                                                  クリストファー・R・ブラウニング『増補 普通の人びと』 - 西東京日記 IN はてな
                                                • 『天気の子』 - 西東京日記 IN はてな

                                                  なかなかいいんじゃないでしょうか。 さすがにエンタメのとしての完成度は『君の名は。』に劣ると思いますが、新海誠作品で「世界か君」かどちらを選ぶとすれば、「君」の一択であってストーリーの大筋は見えるているんですけど、あのラストは力強い。まさにポスト東日本大震災の想像力だと思います。 『君の名は。』と同じくボーイ・ミーツ・ガールもので、少年は少女を救おうとし、少女は世界を救う力を持っている、このあたりも同じです。 ただし、都会、田舎の違いはあれど、そこそこ豊かな生活を送っていた瀧と三葉に比べると、今作の二人の帆高と陽菜は、事情はあれども貧しい。そんな貧しさの中でも、帆高と陽菜、さらに陽菜の弟の凪がジャンクフードを囲む食の風景は、本作では幸福の1つのシンボルとして描かれており、不況(雨)の中を生きる若者の幸福の肯定なのではないかと思います。 こうした、食への注目とか疑似家族とかは『万引き家族』に

                                                    『天気の子』 - 西東京日記 IN はてな
                                                  • アンドレアス・ヴィルシング、ベルトルト・コーラー、ウルリヒ・ヴィルヘルム編『ナチズムは再来するのか?』 - 西東京日記 IN はてな

                                                    AfD(ドイツのための選択肢)の躍進などによって混迷が深まっているドイツ政治ですが、そうなると取り沙汰されるのが、この本のタイトルともなっている「ナチズムの再来」です。 確かに2017年の総選挙でAfDは一気に94議席を獲得し、既成政党への不満の受け皿となりましたが、2019年の欧州議会選挙においてAfDの得票は11%ほどにとどまり、その勢いは薄れているようにも思われます。 ただ、それでも「ナチズムの再来」が取り沙汰され、それが世界的な注目を集めるのがドイツという国家の宿命なのでしょう。 本書はそんな声に対して、ドイツの歴史学者や政治学者が集まってつくられたものです。もともとドイツのバイエルン放送と『フランクフルター・アルゲマイネ新聞』でメディアミックス的に展開されたエッセイを再構成したもので、20ページ弱の論考が並んでおり、読みやすいボリュームとなっています。 原題は「ヴァイマル状況? 

                                                      アンドレアス・ヴィルシング、ベルトルト・コーラー、ウルリヒ・ヴィルヘルム編『ナチズムは再来するのか?』 - 西東京日記 IN はてな
                                                    • Bスポット治療(EAT) 、コロナ後遺症治療 - 東京都西東京市の 耳鼻咽喉科 安部医院

                                                      今話題のBスポット治療とは? Bスポット治療(Bスポット療法)は、上咽頭に起きている炎症にアプローチすることにより、痛みなど、喉に起きている症状の改善が期待できます。 また実は、喉以外の部位に起こっている症状の原因が、上咽頭の炎症(慢性上咽頭炎)にあると考えられているのです。 さらに、Bスポット療法を行い、その慢性炎症にアプローチすることで、掌蹠膿疱症やアトピー性皮膚炎、喘息、めまい、頭痛、IgA腎症、後鼻漏や頭痛など、他にも様々な疾患に効果があるという報告があります。 また、昨今では新型コロナウィルスの後遺症にも、効果があるという報告もされています。 Bスポット治療を実施することで、実は、のど風邪以外の様々な症状、疾患の改善・効果があった症例があるのです。 それでは、Bスポット治療について解説していきましょう。 Bスポット治療は、上咽頭(鼻咽腔)の粘膜に塩化亜鉛を直接塗布することで、症状

                                                      • 遠藤晶久/ウィリー・ジョウ『イデオロギーと日本政治』 - 西東京日記 IN はてな

                                                        まず、この本のインパクトは帯にも書かれている、「維新は「革新」、共産は「保守」」という部分だと思います。 若年層に政党を「保守」、「革新」の軸で分類されると、日本維新の会を最も「革新」と位置づけるというのです。そして、以下のグラフ(134p図5.1)から読み取れるように、20代が無知だからというのではなく、20〜40代に見られる現象なのです。 本書は、さまざまなサーベイなどを通じて現在の日本の有権者の政治意識を明らかにしようとした本です。ソ連の崩壊や社会党の退潮、小選挙区比例代表並立制の導入と新進党、民主党といった野党の誕生の中でも、政治を語る言葉はそれほど変化しませんでしたが、冒頭にもあげた「保守/革新」の変容などをサーベイによって示すことで、若い世代に起きている政治認識の変化を浮き彫りにしています。 さらに都知事選に出馬した田母神俊雄の支持層から分析した日本の極右層の姿や、若者の「自民

                                                          遠藤晶久/ウィリー・ジョウ『イデオロギーと日本政治』 - 西東京日記 IN はてな
                                                        • ジェリー・Z・ミュラー『測りすぎ』 - 西東京日記 IN はてな

                                                          民間企業だけでなく、学校でも病院でも警察でも、そのパフォーマンスを上げるためにさまざまな指標が測定され、その指標に応じて報酬が上下し、出世が決まったりしています。 もちろん、こうしたことによってより良いパフォーマンスが期待されているわけですが、実際に中で働いてみると、「こんな指標に意味があるのか?」とか「無駄な仕事が増えただけ」と思っている人も多いでしょうし、さらには数値目標を達成するために不正が行われることもあります。 この現代の組織における測定基準への執着の問題点と病理を分析したのが本書になります。著者は『資本主義の思想史』などの著作がある歴史学部の教授で、大学の学科長を務めた時の経験からこのテーマに関心をもつことになったそうです。本文190ページほどの短めの本ですが、問題を的確に捉えていますし、紹介される事例も豊富です。さらに、現在「新自由主義」という曖昧模糊とした用語で批判されてい

                                                            ジェリー・Z・ミュラー『測りすぎ』 - 西東京日記 IN はてな
                                                          • 青木栄一編著『文部科学省の解剖』 - 西東京日記 IN はてな

                                                            一部の人にとっては興味をそそるタイトルでしょうが、さらに執筆者に『現代日本の官僚制』、『日本の地方政府』の曽我謙悟、『政令指定都市』の北村亘、『戦後行政の構造とディレンマ』の手塚洋輔と豪華なメンツが揃っており、精緻な分析が披露されています。 ただ、今あげた名前からもわかるように執筆者はいずれも政治学者で、特に行政学を専門とする人物です。ですから、あくまでも行政学の立場から文部科学省の官僚制に対してアプローチがなされています。「文部科学省を貫く思想が知りたい」というような人の期待に答えるものではありません。 基本となるのは2016年に行われた文部科学省の本省課長以上へのサーベイ調査(アンケートのこと)です。過去に村松岐夫が中心となって行った官僚サーベイ(村松サーベイ)を参考に、文部科学省の官僚にその仕事の進め方や意識を聞くことで、文部科学省の仕事の進め方や文部科学省を取り巻く構造、そして、現

                                                              青木栄一編著『文部科学省の解剖』 - 西東京日記 IN はてな
                                                            •  亀田俊和『南朝の真実』 - 西東京日記 IN はてな

                                                              足利尊氏・直義兄弟が争った観応の擾乱、佐々木道誉や高師直らの婆沙羅大名など、「道徳的」とは程遠いイメージの北朝に対して、「忠臣」楠木正成・正行をはじめとして南朝には「道徳的」なイメージがあるかもしれません。 もちろん、「皇国史観」は過去のもので、今さら「南朝こそ正統!」みたいに言い募る人はいないと思いますが、尊氏周辺のグダグダっぷりに比べればマシというように認識している人も多いと思います。 この本は、実は南朝も内紛続きだったことを示すことで、そうしたイメージを打ち破ろうとしたものです。 後醍醐天皇と護良親王の対立、大覚寺統内部での皇位継承争い、各地につくられようとしていた「王朝」、楠木正儀の裏切り、長慶天皇と後亀山天皇の対立などを紹介し、南朝の混乱ぶりを描いています。 ただ、これだけならばトリビア的な面白さでしょう。この本の面白いところは、南朝のゴタゴタを描きながら、同時に建武の新政から南

                                                                 亀田俊和『南朝の真実』 - 西東京日記 IN はてな