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西東京の検索結果41 - 80 件 / 150件

  • 「専業主婦になった方がいい」 西東京市議が女性市議に発言、謝罪:朝日新聞デジタル

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      「専業主婦になった方がいい」 西東京市議が女性市議に発言、謝罪:朝日新聞デジタル
    • ジャスティン・ゲスト『新たなマイノリティの誕生』 - 西東京日記 IN はてな

      2016年に大西洋を挟んで起きたイギリスのBrexitとアメリカの大統領選でのトランプの当選は世界に大きな衝撃を与え、この2つの事柄が起きた背景や原因を探る本が数多く出されました。 本書もそうした本の1つなのですが、何といっても本書の強みは2016年以前からイギリスのイーストロンドンとアメリカのオハイオ州ヤングスタウン(金成隆一『ルポ トランプ王国』(岩波新書)でも中心的に取材していた場所)で白人労働者階級をフィールドワークしていたことです。つまり、ある意味でBrexitやトランプ現象を起こした地殻変動を予測していた本でもあります。 白人労働者が感じている「剥奪感」に注目しながら、同時に彼らの声がまともにとり上げられなかった政事的背景に対しても踏み込んだ分析を行っており、読み応えがあります。 そして何よりも、彼らの生の声を聞くことで、問題の根深さを知ることができる本でもあります。 目次は以

        ジャスティン・ゲスト『新たなマイノリティの誕生』 - 西東京日記 IN はてな
      • 2023年の本 - 西東京日記 IN はてな

        今年は読むペースはまあまあだったのですが、ブログが書けなかった…。 基本的に新刊で買った本の感想はすべてブログに書くようにしていたのですが、今年は植杉威一郎『中小企業金融の経済学』(日本BP)、川島真・小嶋華津子編『習近平の中国』(東京大学出版会)、ウィリアム・ノードハウス『グリーン経済学』(みすず書房)、リチャード・カッツ、ピーター・メア『カルテル化する政党』(勁草書房)、黒田俊雄『王法と仏法』(法蔵館文庫)といった本は読んだにもかかわらず、ブログで感想を書くことができませんでした…。 このうち、植杉威一郎『中小企業金融の経済学』はけっこう面白かったので、どこかでメモ的なものでもいいので書いておきたいところですね。 この1つの原因は、秋以降、ピケティ『資本とイデオロギー』という巨大なスケールの本を読んでいたせいですが、それだけの価値はありました。 というわけで、最初に小説以外の本を読んだ

          2023年の本 - 西東京日記 IN はてな
        • 面倒くさがり西東京代表パルシステムにご満悦。 - 猫とわたしの気まま日記。

          今日は、食材宅配のお話です。 6月中旬からパルシステムに加入しました。 ※注文の有無に関わらず利用手数料約200円かかります。 感想は、初めてヨカッタ=^_^= 天候不良でも留守でも家の前に食材が置いてある。 部屋でお茶でも飲みながらネット注文できる為、商品説明もゆっくり読めるし、冷蔵庫や常温ストック棚の在庫を確認したり作るものをゆっくり考えながら買い物が出来る。 増資で利率の良い積み立て替わりに活用。 我が家は自炊率が低めの為、どうしても賞味期限の長い冷凍食品・豆腐・缶詰・パウチ・調味料・たまご等が中心になります。 それでもすごく助かりました。 肉・魚・調味料・豆腐・缶詰等・・・重なると地味に重いですよね💦 卵押しつぶしてしまうんじゃないかとか思ったり、運ぶのも気を遣います。 あと、生協系って入会時に出資金を払い、任意で増資を募っていますよね。 (出資金は退会時に戻りますし、増資金は途

            面倒くさがり西東京代表パルシステムにご満悦。 - 猫とわたしの気まま日記。
          • 岡奈津子『〈賄賂〉のある暮らし』 - 西東京日記 IN はてな

            副題は「市場経済化後のカザフスタン」。中央アジアのカザフスタンを舞台に人々の生活の間に賄賂がどのように根を下ろしているのか、人びとはそれをどう感じているのかということを探った本になります。 途上国において、賄賂がものを言うと話はよく聞きますし、賄賂を始めとした腐敗や不正が経済成長を阻んでいるという話も聞きます。 では、実際に賄賂がさかんに使われている国における生活はどのようなものでしょうか? 本書では、多くの人々へのインタビューを通じてカザフスタンにおける驚くべき実態を明らかにするとともに、賄賂が組み込まれた社会の仕組みを明らかにしています。 目次は以下の通り。 第1章 中央アジアの新興国カザフスタン 第2章 市場経済化がもたらしたもの 第3章 治安組織と司法の腐敗 第4章 商売と〈袖の下〉 第5章 入学も成績もカネしだい 第6章 ヒポクラテスが泣いている カザフスタンと聞いてもあまりピン

              岡奈津子『〈賄賂〉のある暮らし』 - 西東京日記 IN はてな
            • ケイトリン・ローゼンタール『奴隷会計』 - 西東京日記 IN はてな

              奴隷制というと野蛮で粗野な生産方式と見られていますが、「そうじゃないんだよ、実はかなり複雑な帳簿をつけてデータを駆使して生産性の向上を目指していたんだよ」という内容の本になります。 何といっても本書で興味を引くのは、著者は元マッキンゼーの経営コンサルタントだったことです。 著者はたくさんのスプレッドシートを見ながら経営効率を上げる仕事をしながら、このように働く人をスプレッドシートのセルとして扱うようになったのはいつなのか? ということに疑問を持つようになったといいます。 そこから大学院に入って見つけたのがプランテーションの帳簿で、「まさしく現代のものだと思われていたデータ処理が、奴隷制と共存するばかりか、補完までしていたことを示して」(はじめに iXp)いたことに気づいたといいます。 このテクノロジーとグロテスクさの共存というのが本書の読みどころで、奴隷制という「離脱」が許されない世界の中

                ケイトリン・ローゼンタール『奴隷会計』 - 西東京日記 IN はてな
              • 外山文子『タイ民主化と憲法改革』 - 西東京日記 IN はてな

                ここ数年、欧米ではポピュリズムの嵐が吹き荒れています。「ポピュリズム」がいかなるものかということに関してさまざまな議論がありますが、「法の支配」や「司法の独立」といった概念への攻撃がその特徴としてあげられることがあります。 これはリベラル・デモクラシーを、国民の意志を反映するという「民主主義」要素と、エリート間の相互抑制を重視する「自由主義」要素の結合と考える見方からすると(この考えについては待鳥聡史『代議制民主主義』(中公新書)が説明している)、ポピュリズムにおいては「民主主義」が肥大化して「自由主義」を圧迫していると見ることができるかもしれません(ハンガリーのオルバン政権やポーランドの与党「法と正義」などはその典型)。 しかし、一方で途上国、あるいは新興の民主主義国では、政治化した司法が民主主義を抑え込むという展開も見られます。「アラブの春」で成立したムルシー(モルシ)政権を引きずり下

                  外山文子『タイ民主化と憲法改革』 - 西東京日記 IN はてな
                • アダム・プシェヴォスキ『それでも選挙に行く理由』 - 西東京日記 IN はてな

                  日本でも先日、衆議院議員の総選挙が行われ、その結果に満足した人も不満を覚えた人もいるでしょうが、冒頭の「日本語版によせて」の中で、著者は「選挙の最大の価値は、社会のあらゆる対立を暴力に頼ることなく、自由と平和のうちに処理する点にあるというものだ」(7p)と述べています。 日本に住んでいると、この言葉にピンとこないかもしれませんが、著者は選挙の歴史や国際比較を通じて、この言葉に説得力を与えていきます。本書の帯にある「選挙とは「紙でできた石つぶて」である」との言葉も本書を最後まで読むと納得できるでしょう。 著者は1940年にポーランドで生まれた比較政治学者で、1960年代にアメリカに留学して以来、主にアメリカの大学で教鞭をとっています。 このポーランド生まれというところが、ありきたりな民主主義論とは違う、一風変わった民主主義と選挙についての考えのバックボーンにあるのかもしれません。 目次は以下

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                  • 田中(坂部)有佳子『なぜ民主化が暴力を生むのか』 - 西東京日記 IN はてな

                    紛争が終結して、新しい国づくりを始めてそのために選挙も行ったのに、再び政事的暴力が噴出してしまう。これはよくあるパターンだと思います。近年だと南スーダンがそうでした。PKOで派遣されていた自衛隊が武力衝突に巻き込まれそうになっていたのは記憶に新しいと思います。 本書は、タイトルのように「なぜ民主化が暴力を生むのか」という問に答えようとした本です。中心的な事例としては東ティモールを、分析手法としては計量分析とゲーム理論を主に用いながら、民主化が暴力を生み出すメカニズムを明らかにしようとしています。 個人的には分析の仕方にいまいちピンとこない部分もあったのですが、テーマ的には非常に興味深いものですし、いくつかの興味深い知見もあります。 目次は以下の通り。 第1章 民主化は暴力を生む? 第2章 先行研究と本書の分析枠組み 第3章 紛争後社会における小規模な政治暴力の発生―政治体制と政治制度が及ぼ

                      田中(坂部)有佳子『なぜ民主化が暴力を生むのか』 - 西東京日記 IN はてな
                    • 西東京民の私は立川のIKEAでザリガニを食べてスウェーデンに想いをはせる - ココロ社

                      東京都多摩市に住んでいるが、ここ2年で仕事以外で都心に行くことがほとんどなくなってしまった。それより前から徐々に店頭での買い物から通販に移行していたのだが、疫病が蔓延するようになってから、ホットスポットであるところの23区へのハードルが格段に高まってしまった。買い物などをする場合でも、23区まで行かずに、西東京の中核都市、立川・町田・八王子などで済ませている。実際に測ってみると、新宿や渋谷に出るのと5~10分程度しか変わらないのだが、混雑の度合いが違うので立川でいいや……と思う。そして、立川「で」いいやの気持ちは、いつしか、立川「が」いいやの気持ちに変化した。都民以外にはわかりにくいかもしれないが、立川・町田・八王子は、それぞれ地方の県庁所在地くらいの規模があるので、そこになかったら通販で買おう、新宿や渋谷だと必ず納得のいく買い物ができるという保証もないし、と思うのである。 いつしか、わた

                        西東京民の私は立川のIKEAでザリガニを食べてスウェーデンに想いをはせる - ココロ社
                      • エリカ・フランツ『権威主義』 - 西東京日記 IN はてな

                        ここ最近、民主主義をテーマにした本が数多く出版されていますが、民主主義ではない政治というのは一体どんなものでしょう? 本書は、その「民主主義ではない政治」である権威主義について語ったものになります。オックスフォード大学出版局の「What Everyone Needs to Know(みなが知る必要のあること)」シリーズの1冊で、「権威主義とはどんなもので、どんな特徴があるのか」ということを総合的に論じています。 一口に権威主義といっても、プーチンやエルドアンのようにわかりやすい「強いリーダー」がいるタイプもあれば、クーデターによって軍政となったタイやミャンマーのようにトップの姿が見えにくいタイプもあります。 本書は「こういった違いをどう考えればいいのか?」という問いだけでなく、「民主主義はどうやって権威主義体制に移行するのか?」、「権威主義体制はどのように崩壊するのか?」といったさまざまな

                          エリカ・フランツ『権威主義』 - 西東京日記 IN はてな
                        • 中井遼『欧州の排外主義とナショナリズム』 - 西東京日記 IN はてな

                          イギリスのBrexit、フランスの国民戦線やドイツのAfDなどの右翼政党の台頭など、近年ヨーロッパで右翼政勢力の活動が目立っています。そして、その背景にあるのが移民や難民に対する反発、すなわち排外主義であり、その排外主義を支持しているのがグローバリズムの広がりとともに没落しつつある労働者階級だというのが新聞やテレビなどが報じる「ストーリー」です。 本書はこの「ストーリー」を否定します。 もちろん、経済的に困窮し排外主義と右翼政党を支持する人びとがいることを否定するものではありませんが、データを見てみれば、排外主義への支持と経済的な困窮は直結するものではありませんし、排外主義と右翼政党支持の関係というのも複雑なのです。 本書は、このことをイギリス、フランス、ドイツといった西欧の主要国だけではなく、中欧や東欧なども含めたヨーロッパ全域のデータを見ていくことで明らかにしていきます。 右翼政党や排

                            中井遼『欧州の排外主義とナショナリズム』 - 西東京日記 IN はてな
                          • 鶴岡路人『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』 - 西東京日記 IN はてな

                            去年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、多くの専門家が状況の変化に伴走する形でテレビや新聞、雑誌などのメディアでこの戦争に関する分析を提供してきましたが、著者もそうした専門家の一人です。 もともと著者は欧州現代政治や国際安全保障を専門としており、『EU離脱』(ちくま新書)などの著作がありますが、今作もタイトルに「欧州戦争としての」とあるように、「ヨーロッパ」という切り口からこの戦争を分析しています。 国際情報サイトの「フォーサイト」に書かれた文章が中心ですが、内容が細切れだったり重複してしまっている感じはなく、一貫した内容のある分析が読むことができます。 目次は以下の通り。 第一章 ウクライナ侵攻の衝撃 第二章 ウクライナ侵攻の変容 第三章 結束するNATO 第四章 米欧関係のジレンマ 第五章 戦争のゆくえと日本に突きつけるもの 今回の戦争はロシアとウクライナの間の戦争ですが、

                              鶴岡路人『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』 - 西東京日記 IN はてな
                            • リン・ハント『人権を創造する』 - 西東京日記 IN はてな

                              タイトルからして面白そうだなと思っていた本ですが、今年になって11年ぶりに重版されたのを機に読んでみました。 「人権」というのは、今生きている人間にとって欠かせないものだと認識されていながら、ある時代になるまでは影も形もなかったという不思議なものです。 中学の公民や高校の政治経済の授業では、社会契約説の思想家たちの、「たとえ国家がなかったとしても、すべての人間には一定の権利・自然権があるはずでしょ」という考えが、「人権」という考えに発展し、アメリカ独立革命やフランス革命で政府設立の目的の基礎として吸えられた、といった形で説明していますが、そもそも社会契約説が登場する前には「すべての人間には一定の権利があるはずでしょ」という議論は受け入れられなかったと思うのです。 こうした謎に1つの答えを与えてくれるのが本書です。 人権というと、どうしても法的な議論が思い起こされますが、本書が注目するのは「

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                              • エマニュエル・サエズ/ガブリエル・ズックマン『つくられた格差』 - 西東京日記 IN はてな

                                ピケティの共同研究者でもあるサエズとズックマンのこの本は、格差の原因を探るのではなく、格差を是正するための税制を探る内容になっています。序のタイトルが「民主的な税制を再建する」となっていますが、このタイトルがまさに本書の内容を示していると言えるでしょう。 富裕層への最高税率が引き下げられたこと、法人税が引き下げられたことなどが格差の拡大に寄与しているということは多くの人が感じていることだと思いますが、同時に、富裕層への最高税率が引き上げられたら富裕層が海外へ逃げてしまう、法人税を引き上げたら企業が海外に逃げてします、経済成長にブレーキが掛かってしまうという考えも広がっています。そして、こうしたことを考えると結局は消費税(付加価値税)をあげていくしかないという議論の見られます。 こうした考えに対して、本書は富裕層や企業からもっと税金を取るべきであり、それは可能であるという主張をしています。

                                  エマニュエル・サエズ/ガブリエル・ズックマン『つくられた格差』 - 西東京日記 IN はてな
                                • エリック・A・ポズナー/E・グレン・ワイル『ラディカル・マーケット』 - 西東京日記 IN はてな

                                  「市場こそが社会を効率化するもので、できるだけ市場原理を導入すべきだ」という考えは、いわゆる新自由主義の潮流の中でたびたび主張されており、特に目新しい提案ではないです。 では、この本は何が目新しいのか、何がラディカルなのかというと、私有財産を一種の独占とみなして、その市場における特権的な地位を再検討していることです。資本主義というと市場経済+私有財産制がその柱となっていますので、資本主義自体を問い直そうとする思い切った試みになります。 こちらのページの安田洋祐の解説によると、E・グレン・ワイルは学部生時代から大学院生たちを(ティーチング・アシスタントとして)教える、スーパーな学部生で、平均で5、6年はかかる経済学の博士号(Ph.D.)を、たった1年でゲットしてしまう天才的な人物だそうです。 もう1人の著者はゲイリー・ベッカーと共著のある人かと思ったら、そちらはリチャード・アレン・ポズナーで

                                    エリック・A・ポズナー/E・グレン・ワイル『ラディカル・マーケット』 - 西東京日記 IN はてな
                                  • 酒井正『日本のセーフティーネット格差』 - 西東京日記 IN はてな

                                    副題は「労働市場の変容と社会保険」。この書名と副題から「非正規雇用が増える中で社会保険がセーフティーネットの役割を果たせなくなってきたことを指摘している本なのだな」と想像する人も多いでしょう。 これは間違いではないのですが、本書は多くの人の想像とは少し違っています。「日本の社会保険の不備を告発する本」とも言えませんし(不備は指摘している)、「非正規雇用の格差を問題視し日本的雇用の打破を目指す」といった本でもありません。 本書はさまざまな実証分析を積み重ねることで、この問題の難しさと、改革の方向性を探ったものであり、単純明快さはないものの非常に丁寧な議論がなされています。特に仕事と子育ての両立支援を扱った第3章と、若年層への就労支援などを論じた第6章、最近流行のEBPMについて語った第7章は読み応えがあります。 目次は以下の通り 序章 日本の労働市場と社会保険制度との関係 第1章 雇用の流動

                                      酒井正『日本のセーフティーネット格差』 - 西東京日記 IN はてな
                                    • 竹内桂『三木武夫と戦後政治』 - 西東京日記 IN はてな

                                      実は本書の著者は大学時代のゼミも一緒だった友人で、いつか書いた本を読んでみたいものだと思っていたのですが、まさか「あとがき」まで入れて761ページ!というボリュームの本を書き上げてくるとは思いませんでした。 タイトルからもわかるように三木武夫の評伝なのですが、タイトルに「戦後政治」と入っているように三木武夫を中心としながら三木が亡くなるまでの戦後政治をたどるような内容になっていることと、「政局」と「政策」の双方を追っているとことが、本書がここまで厚くなった理由でしょう。 「バルカン政治家」という異名からもわかるように、三木武夫というと「政局の人」というイメージが強いですが、本書はその「政策」をきちんと追うことで、三木の行動原理のようなものがわかるようになっています。もちろん、その判断は権力闘争と密接に絡まっているわけですが、権力闘争と政策が渾然一体となっているところが三木の面白さかもしれま

                                        竹内桂『三木武夫と戦後政治』 - 西東京日記 IN はてな
                                      • 高岡裕之『総力戦体制と「福祉国家」』 - 西東京日記 IN はてな

                                        歴史を見ていくと、日本が戦争へと突き進んでいく中で、1938年に厚生省が誕生し、同年に農家・自営業者向けの国民健康保険法が創設され、42年に労働者年金保険が誕生するなど、福祉政策が進展していたのがわかります(1940年の国民学校の創設と義務教育の延長をこれに含めてもいいのかもしれない)。 なぜ、戦争と同時に「福祉国家」の建設が目指されたのか? そして、この「福祉国家」とは現在の「福祉国家」と同じものと考えていいのか? ということが本書の取り扱うテーマになります。 役所の文書の引用が多いために、「面白がって読める」というような本ではないかもしれませんが、読み進めるに従って現れてくる戦争下の「福祉国家」の姿は間違いなく面白いものです。 今回、「書物復権」で復刊されたのを機に読んでみましたが、戦争が日本の社会に与えたインパクトを考える上で外せない本ではないでしょうか。 目次は以下の通り。 序章 

                                          高岡裕之『総力戦体制と「福祉国家」』 - 西東京日記 IN はてな
                                        • 西東京市の隠れた名店。結で極上かつを堪能しよう! - 気になったので、撮ってみた。

                                          専門店と掲げるほど店主が拘って作るかつは誰かに教えたくなるほど美味しかった。 そのお店は西東京市にあるそーすかつ専門店・結です。 店内の案内を見ると素材を吟味し調理法も研究して作っているのが分かります☺️ メニューは至ってシンプル。 お酒もありますよ🎵 料理は重箱三段で出て来ました。(ミックス・カタロースとヒレ100g) 広げれば懐石料理風。ソースかつの宝石箱や〜😆 ミックス・カタロースとヒレ150g サクッと揚げられたかつを、手作りのとんかつソースと和風オリジナルソース、そして岩塩でいただきます。ロースは肉の甘みを感じて美味しかった!脂の重さもありません。 添えられる小鉢も、ひとつひとつの味付けがオリジナリティーに溢れていて旨いです。 席数は多くありません。営業時間 11:00~15:00 (夜は予約のみ) 定休日は月・火・金。色々な意味でレアなお店と言えるでしょう。 車利用だと青梅

                                            西東京市の隠れた名店。結で極上かつを堪能しよう! - 気になったので、撮ってみた。
                                          • 駒村圭吾・待鳥聡史編『統治のデザイン』 - 西東京日記 IN はてな

                                            憲法というと、どうしても日本では9条と人権をめぐる条項に注目が集まりがちですが、国会、内閣、裁判所、地方自治といった日本の統治のしくみを決めているのも憲法です。 ケネス・盛・マッケルウェインは日本国憲法が他国の憲法に比べて条文数も文字数も少なく、規律密度が低いことを明らかにしましたが、そのせいもあって、90年代以降の、選挙制度改革、省庁再編、司法改革などは、憲法改正を行わずに可能になりました。 しかし、参議院改革などを行おうとすれば憲法の規定が問題になります。ある意味で、憲法に具体的な規定のあるぶんが改革されずに残ったという面もあるのです。 そんな憲法をめぐる問題に対して、政治学者と憲法学者が挑んだのが本書になります。構成としては、まずは政治学者が憲法の規定にとらわれずに各分野の改革について分析した後、それへのリプライという形で憲法学者が憲法上の位置づけや課題を論じる形になっています。 目

                                              駒村圭吾・待鳥聡史編『統治のデザイン』 - 西東京日記 IN はてな
                                            • 善教将大『日本における政治への信頼と不信』 - 西東京日記 IN はてな

                                              今年はコロナ問題に明け暮れた感じでしたが、3〜7月頃の緊急事態宣言からその解除、さらに「Go To Travel」をめぐるを見ながら感じたのが、日本のおける政府に対する信頼の低さ。 各国では危機の高まりとともに政治指導者に対する支持があがる傾向がありましたが、日本ではそうはなりませんでした。日本政府の対応が後手後手だったにしろ、感染者数や死亡者数を見れば、それほどひどい対応だったわけではないはずですが、それでも政府を結束して支えようという動きは起こりませんでした(これは東日本大震災のときもそうだったと思う)。 そんな感じで日本における政府や政治に対する不信感の問題が気になったので手にとって見たのがこの本。上記の関心とは少しずれますが、日本における政治不信とはいかなるもので、どのような展開を見せているのかということを分析した本になります。 著者は、大阪都構想の住民投票に関して鋭く分析しサント

                                                善教将大『日本における政治への信頼と不信』 - 西東京日記 IN はてな
                                              • ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『自由の命運』 - 西東京日記 IN はてな

                                                『国家はなぜ衰退するのか』のコンビが再び放つ大作本。「なぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか?」という問題について、さまざまな地域の歴史を紐解きながら考察しています。 と、ここまで聞くと前著を読んだ人は「『国家はなぜ衰退するのか』もそういう話じゃなかったっけ?」と感じると思いますが、本書は分析の道具立てが違っています。 前著では「包括的制度/収奪的制度」という形で国の制度を2つに分けて分析することで、経済成長ができるか否かを提示していました。「包括的制度」であれば持続的な経済成長が可能で、「収奪的制度」であれば一時的な成長はあっても持続的な経済成長は難しいというものです。 ただし、この理論にはいくつかの欠点もあって、「収奪的制度」という同じカテゴリーに、アフリカの失敗した国家からかなりしっかりとした統治システムを持つ中国までが一緒くたに入ってしまう点です。「どちらにせよ支配者が富を奪ってしま

                                                  ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『自由の命運』 - 西東京日記 IN はてな
                                                • 2020年の本 - 西東京日記 IN はてな

                                                  例年通り、今年読んで面白かった小説以外の本(社会科学の本ばかり)と小説を紹介ます。 今年はコロナの影響で自宅勤務になったりして「いつも以上に本が読めるのでは?」などとも思いましたが、子どもがいる限り無理でしたね。そして、小説は読むスピードが随分鈍りましたし、そのせいか長編が読めなくなったというか、読まなくなった。短編集ばかりを紹介しますがご容赦ください。 なお、新書に関しては別ブログで2020年のベストをまとめています。 blog.livedoor.jp 小説以外の本(読んだ順) 木下衆『家族はなぜ介護してしまうのか』 なんとも興味をそそるタイトルですが、本書は、認知症患者のケアにおける家族の特権的な立場と、それゆえに介護専門職というプロがいながら、家族が介護の中心にならざるを得ない状況を社会学者が解き明かした本になります。 最終的には次のような答えが導き出されているのですが、そのプロセス

                                                    2020年の本 - 西東京日記 IN はてな
                                                  • 2022年の本 - 西東京日記 IN はてな

                                                    気がつけば今年もあと僅か。というわけで恒例の今年の本です。 今年は小説に関しては、朝早起きしなくちゃならない日が多かったので寝る前に読めず+あんまり当たりを引けずで、ほとんど紹介できないですが、それ以外の本に関しては面白いものを読めたと思います。 例年は小説には順位をつけているのですが、今年はつけるほど読まなかったこともあり、小説も小説以外も読んだ順で並べています。 ちなみに2022年の新書については別ブログにまとめてあります。 blog.livedoor.jp 小説以外の本 筒井淳也『社会学』 「役に立つ/立たない」の次元で考えると、自然科学に比べて社会科学は分が悪いかもしれませんし、社会科学の中でも、さまざまなナッジを駆使する行動経済学や、あるいは政策効果を測ることのできる因果推論に比べると、社会学は「役に立たない」かもしれませんが、「それでも社会学にはどんな意味があるの?」という問題

                                                      2022年の本 - 西東京日記 IN はてな
                                                    • オリヴィエ・ブランシャール/ダニ・ロドリック編『格差と闘え』 - 西東京日記 IN はてな

                                                      2019年10月にピーターソン国債経済研究所で格差をテーマとして開かれた大規模なカンファレンスをもとにした本。目次を見ていただければわかりますが、とにかく豪華な執筆陣でして、編者以外にも、マンキュー、サマーズ、アセモグルといった有名どころに、ピケティと共同研究を行ってきたサエズやズックマンといった人々もいます。 そして、時代が変わったなと思うのは、「格差は是か非か」「政府の介入は是か非か」という原則論が戦わされているわけではなく、格差の是正の必要性重、政府の介入の必要性を認識を共有しつつ、「では、どのような原因があり、どのような政策対応が可能なのか?」といった点で議論が進んでいる点です。 例えば、サマーズとサエズの論説は対立していますが、それは資産税という方法の是非をめぐるもので、政府の介入の是非をめぐるものではありません。 「格差の是正策として、労働市場の規制緩和と社会福祉の削減によって

                                                        オリヴィエ・ブランシャール/ダニ・ロドリック編『格差と闘え』 - 西東京日記 IN はてな
                                                      • 松田茂樹『[続]少子化論』 - 西東京日記 IN はてな

                                                        タイトルからもわかる通り、松田茂樹『少子化論』(2013)の続編というべき本になります。 『少子化論』はバランス良く少子化問題を論じたいい本でしたが、そのこともあって著者は政府の少子化問題の会議などにも参加しています。 『少子化論』は、仕事と育児の両立支援だけでなく、母親が家庭にとどまって育児をしたいと考える「典型家族」のことも考えた少子化対策が必要だと訴えていましたが、本書でもその基本は変わりません。 ただし、その後の出生率は2005年の1.26からは回復したものの、大きく伸びているわけではなく、2019年では1.36にすぎません。それもあって、より危機感を強めた内容になっています。 目次は以下の通り。 序章 少子化の状況と少子化対策の必要性 第1章 未婚化はなぜすすむのか―雇用、出会い、価値観 第2章 夫婦の働き方と出生率の関係―夫婦の就労はどう変わり、それは出生率上昇につながったのか

                                                          松田茂樹『[続]少子化論』 - 西東京日記 IN はてな
                                                        • 北村亘編『現代官僚制の解剖』 - 西東京日記 IN はてな

                                                          2019年に出版された青木栄一編著『文部科学省の解剖』は、過去に村松岐夫が中心となって行った官僚サーベイ(村松サーベイ)を参考に、文部科学省の官僚に対して行ったサーベイによって文部科学省の官僚の実態を明らかにしようとしたものでした。 本書は、それを受ける形で文部科学省以外の省庁(財務省、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省)にも対象を広げて行われたサーヴェイ・2019年調査(本書はヴェイ表記)をもとにして分析を行っています。 執筆者では、北村亘、青木栄一、曽我謙悟、伊藤正次といったところが『文部科学省の解剖』とかぶっています。 現代において完了に対してサーヴェイを行う難しさというものはあるのですが(松村サーベイは「行政エリート調査」と題されていましたが、現在ではこのタイトルではいろいろ警戒されてしまうでしょう)、やはり実際に調査をして見えてくるものはありますし、現代の日本の官僚が

                                                            北村亘編『現代官僚制の解剖』 - 西東京日記 IN はてな
                                                          • 額賀美紗子・藤田結子『働く母親と階層化』(とA・R・ホックシールド『タイムバインド』) - 西東京日記 IN はてな

                                                            今回紹介する本はいずれも去年に読んだ本で、去年のうちに感想を書いておくべきだったんですが、書きそびれていた本です。特にホックシールドの本は非常に良い本だったのですが、夏に読了した直後にコロナになってしまって完全に感想を書く機会を逸していました。 というわけで額賀美紗子・藤田結子『働く母親と階層化』を簡単に紹介しつつ、そこでやや疑問に思った部分をA・R・ホックシールド『タイムバインド』の議論につなげてみたいと思います。 まず、額賀美紗子・藤田結子『働く母親と階層化』です。いわゆる日本の女性に降りかかる仕事と子育ての両立という負担を分析した本です。 現在の日本では、家事や子育ては母親中心とされながら、同時に母親には外で稼ぐことも求められているような状況です。これを三浦まりは「新自由主義的母性」の称揚と位置づけましたが、本書もそうした問題意識をもって、母親たちがどのように家事・育児と仕事というダ

                                                              額賀美紗子・藤田結子『働く母親と階層化』(とA・R・ホックシールド『タイムバインド』) - 西東京日記 IN はてな
                                                            • 渡辺努『物価とは何か』 - 西東京日記 IN はてな

                                                              ここ最近、ガソリンだけではなく小麦、食用油などさまざまなものの価格が上がっています。ただし、スーパーなどに行けば米や白菜や大根といった冬野菜は例年よりも安い価格になっていることにも気づくでしょう。 このようなさまざまな商品の価格を平均化したものが本書のテーマである物価です。 著者はまず、物価を蚊柱、個々の商品の価格を個別の蚊に例えています。個別の蚊はさまざまな動きをしますが、離れてみると一定のまとまった動きが観測できるというのです。 本書は「個別の蚊の動きを追っても蚊柱の動きはわからない」という前提を受け入れつつ、同時にスーパーなどの商品のスキャナーデータなどミクロのデータも使いながら、「物価とは何か?」、さらには「日本の物価はなぜ上がらないのか?」という謎に挑んでいます。 ジャンルとしては経済エッセイということになるのでしょうが、理論と実証を行き来する内容は非常に刺激的で面白いですね。

                                                                渡辺努『物価とは何か』 - 西東京日記 IN はてな
                                                              • 善教将大『大阪の選択』 - 西東京日記 IN はてな

                                                                今年10月の総選挙で躍進を遂げた維新の会、特に大阪では候補者を立てた選挙区を全勝するなど圧倒的な強さを見せました。結成された当初は「稀代のポピュリスト」橋下徹の人気に引っ張られた政党という見方もあったと思いますが、橋下徹が政界を引退してもその勢力は衰えていません。 しかし、その維新の会も大阪都構想をめぐる住民投票では2015年、2020年と2回続けて敗北しました。維新の人気が下り坂になっているわけではないのに、看板政策で2度にわたって躓いたのです。 この1回目の住民投票を中心に分析したのがサントリー学芸賞も受賞した著者の前著の『維新支持の分析』でした。 前著では維新への支持は「弱い支持」であると位置づけた上で、住民投票の否決に関して、「すなわち態度変容を生じさせやすい維新を支持していた大阪市民が、特別区設置住民投票の特異な情報環境下で、自らの批判的な志向性に基づき熟慮した結果、賛成への投票

                                                                  善教将大『大阪の選択』 - 西東京日記 IN はてな
                                                                • アブナー・グライフ『比較歴史制度分析」上・下 - 西東京日記 IN はてな

                                                                  エスカレーターに乗るとき、東京では左側に立って右側を空け、大阪では右側に立って左側を空けます。別にどちらを空けてもいいようなものですが、なぜかこのようになっています。 この「なぜ?」を説明するのがゲーム理論と均衡の考え方です。一度「右側空け」が成立すれば、みながそうしたほうがスムーズになり、「左側空け」を選ぶインセンティブはなくなります。 そして、このエスカレーターの例が面白いのは、鉄道会社などから「片側空けはやめましょう」とアナウンスされているにもかかわらず、少なくとも2021年8月現在、この慣習が続いている点です。 一度成立した「制度」は外からのはたらきかけで簡単に変わるものではなく、また、公的なルールが「制度」を保証しているわけでもないのです。 ここで「制度」という言葉の使い方に違和感を覚えた人もいるかもしれません。「制度」というのはフォーマルなものであり、エスカレーターの乗り方など

                                                                    アブナー・グライフ『比較歴史制度分析」上・下 - 西東京日記 IN はてな
                                                                  • 「ダイヤのA」戦う準備はできているか!夏の西東京大会ベストバウト3

                                                                    こんにちは。夢中図書館へようこそ! 館長のふゆきです。 今日の夢中は、「ダイヤのA」戦う準備はできているか!夏の西東京大会ベストバウト3です。 「夢中図書館 読書館」は、小説や雑誌などの感想やレビューを綴る読書ブログです。あなたのお気に入りの一冊を見つけてみませんか? ダイヤのA(20) ■あらすじ 名門青道高校で念願の1軍入りを果たした沢村栄純。 地獄の夏直前合宿を経て、ついに迎えた甲子園出場をかけた西東京地区予選。 背番号20をつけベンチ入りを果たした沢村は、2回戦でついに公式戦のマウンドに立ちます。 ドタバタしながらも持ち味のクセ球がさく裂。1回を無失点に抑え上々のデビューを果たします。 ダイヤのA(8) 一方、ライバル降谷は、怪我で3年生エース丹波を欠くなか、先発の大役を任されます。 降谷は剛速球で相手打線を圧倒、エース不在の穴を見事に埋める活躍を見せます。 そして4回戦、精密機械

                                                                      「ダイヤのA」戦う準備はできているか!夏の西東京大会ベストバウト3
                                                                    • クリストファー・R・ブラウニング『増補 普通の人びと』 - 西東京日記 IN はてな

                                                                      ナチ・ドイツによるユダヤ人の虐殺について、多くの人はアウシュビッツ−ビルケナウに代表される絶滅収容所による殺害という印象が強いと思います。 そこでは、工場における分業のような形で毒ガスによる虐殺が行われ、多くのドイツ人が自らの職務を果たすことで虐殺が完成しました。アレントはそうした官僚的な虐殺者としてアイヒマンを描き出し、それに「悪の陳腐さ」という言葉を与えました(実はアイヒマンは筋金入りの反ユダヤ主義者が法廷での「平凡さ」は演技だった可能性が高い。野口雅弘『忖度と官僚制の政治学』参照)。 しかし、ユダヤ人の虐殺はガス室のみで行われたのではありません。ホロコーストの犠牲者およそ600万人のうち、20〜25%が射殺によるものであり、20%と考えてもおよそ120万人と相当な数を占めています。 こうした射殺を行った部隊としてラインハルト・ハイドリヒ率いる特別行動部隊(アインザッツグルッペン)が有

                                                                        クリストファー・R・ブラウニング『増補 普通の人びと』 - 西東京日記 IN はてな
                                                                      • 『天気の子』 - 西東京日記 IN はてな

                                                                        なかなかいいんじゃないでしょうか。 さすがにエンタメのとしての完成度は『君の名は。』に劣ると思いますが、新海誠作品で「世界か君」かどちらを選ぶとすれば、「君」の一択であってストーリーの大筋は見えるているんですけど、あのラストは力強い。まさにポスト東日本大震災の想像力だと思います。 『君の名は。』と同じくボーイ・ミーツ・ガールもので、少年は少女を救おうとし、少女は世界を救う力を持っている、このあたりも同じです。 ただし、都会、田舎の違いはあれど、そこそこ豊かな生活を送っていた瀧と三葉に比べると、今作の二人の帆高と陽菜は、事情はあれども貧しい。そんな貧しさの中でも、帆高と陽菜、さらに陽菜の弟の凪がジャンクフードを囲む食の風景は、本作では幸福の1つのシンボルとして描かれており、不況(雨)の中を生きる若者の幸福の肯定なのではないかと思います。 こうした、食への注目とか疑似家族とかは『万引き家族』に

                                                                          『天気の子』 - 西東京日記 IN はてな
                                                                        • アビジット・V・バナジー& エステル・デュフロ『絶望を希望に変える経済学』 - 西東京日記 IN はてな

                                                                          2019年にノーベル経済学賞を受賞した2人(マイケル・クレーマーも同時受賞)による経済学の啓蒙書。2人の専門である開発分野だけでなく、移民、自由貿易、経済成長、地球温暖化、格差問題と非常に幅広い問題を扱っています。 著者らが得意とするのはRCT(ランダム化比較試験)を使った途上国での研究で、本書もマクロ経済学の理論に対して、ミクロ的な視点から「本当にそうなのか?」と問い直すものが多いです。 経済成長に関する部分など、意見が分かれる部分もあるかとは思いますが、全体を通じて非常に面白く、刺激的な内容になっていると思います。 目次は以下の通り。 1 経済学が信頼を取り戻すために 2 鮫の口から逃げて 3 自由貿易はいいことか? 4 好きなもの・欲しいもの・必要なもの 5 成長の終焉? 6 気温が二度上がったら… 7 不平等はなぜ拡大したか 8 政府には何ができるか 9 救済と尊厳のはざまで 結論

                                                                            アビジット・V・バナジー& エステル・デュフロ『絶望を希望に変える経済学』 - 西東京日記 IN はてな
                                                                          • 山尾大『紛争のインパクトをはかる』 - 西東京日記 IN はてな

                                                                            タイトルからは何の本かわからないかもしれませんが、副題の「世論調査と計量テキスト分析からみるイラクの国家と国民の再編」を見れば、ISの台頭など、紛争が続いたイラクの状況について計量的なアプローチをしている本なのだと想像がつきます。 近年の政治学では、こうした計量的なアプローチがさかんに行われており、イラクのような紛争地域に対してもそうした研究が行われることに不思議はないのですが、実は著者は計量分析を専門にしている人ではなく、本書は紛争の激しいイラクでなかなか現地調査を行えないことから生まれた苦肉のアプローチなのです。 しかし、その苦肉の策から見えてくるのは、イラクの意外な姿です。 「イラクでは国家が信用を失い、代わって宗教指導者や部族長が人びとを導いている」、あるいは、「宗派対立が激しく、イラクという国はシーア派とスンニ派とクルド人の住む地域で分割したほうが良い」といったイメージを持つ人も

                                                                              山尾大『紛争のインパクトをはかる』 - 西東京日記 IN はてな
                                                                            • 伊藤修一郎『政策実施の組織とガバナンス』 - 西東京日記 IN はてな

                                                                              副題は「広告景観規制をめぐる政策リサーチ」。タイトルと副題からは面白さは感じられないかもしれまえんが、「なぜ守られないルールがあるのか?」「なぜ政策は失敗するのか?」といった問いに変形すると、ちょっと興味が湧いてくるかもしません。 そして、副題にもなっている広告景観規制は、ほとんどの地域で違反行為が放置されている一方で、京都のようにかなり実効性をもった規制が行われている地域もあります。「京都は歴史のある街で特別だ」という声もあがりそうですが、本書を読むと、京都市以外にも静岡県や金沢市、宮崎市などで効果のある取り組みがなされていることがわかります。 多くの自治体が失敗している一方で、成功している自治体もあるのです。ですから「守られないルール」が存在する原因は「ルールそのもの」よりも「ルールの守らせ方」にあると言えるのです。 本書は、第1部で失敗の原因を分析し、第2部で歴史的経緯や規制に成功し

                                                                                伊藤修一郎『政策実施の組織とガバナンス』 - 西東京日記 IN はてな
                                                                              • 2021年の本 - 西東京日記 IN はてな

                                                                                なんだかあっという間にクリスマスも終わってしまったわけですが、ここで例年のように2021年に読んで面白かった本を小説以外と小説でそれぞれあげてみたいと思います。 小説以外の本は、社会科学系の本がほとんどになりますが、新刊から7冊と文庫化されたものから1冊紹介します。 小説は、振り返ると中国・韓国・台湾といった東アジアのものとSFばかり読んでいた気もしますが、そうした中から5冊あげたいと思います。 なお、新書に関しては別ブログで今年のベストを紹介しています。 blog.livedoor.jp 小説以外の本(読んだ順) 蒲島郁夫/境家史郎『政治参加論』 政治学者で現在は熊本県知事となっている蒲島郁夫の1988年の著作『政治参加』を、蒲島の講座の後任でもある境家史郎が改定したもの。基本的には有権者がどのように政治に参加し、そこにどのような問題があるのかを明らかにした教科書になります。 教科書とい

                                                                                  2021年の本 - 西東京日記 IN はてな
                                                                                • ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』  - 西東京日記 IN はてな

                                                                                  それぞれ数多くの論文を発表し高い評価を得ているアセモグルとロビンソンが「経済成長はどのような条件で起こるのか?」という大テーマについて論じた本。読もうと思いつつも今まで手が伸びていなかったのですが、授業でこの本と似たようなテーマを扱うことになったので、文庫版を手に入れて読んでみました。 目次は以下の通り。(第1章〜第8章までが上巻、第9章以降が下巻) 第1章 こんなに近いのに、こんなに違う 第2章 役に立たない理論 第3章 繁栄と貧困の形成過程 第4章 小さな相違と決定的な岐路―歴史の重み 第5章 「私は未来を見た。うまくいっている未来を」―収奪的制度のもとでの成長 第6章 乖離 第7章 転換点 第8章 領域外―発展の障壁 第9章 後退する発展 第10章 繁栄の広がり 第11章 好循環 第12章 悪循環 第13章 こんにち国家はなぜ衰退するのか 第14章 旧弊を打破する 第15章 繁栄と貧

                                                                                    ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』  - 西東京日記 IN はてな