新型コロナウイルスの感染拡大下で行われた東京オリンピック・パラリンピックがすべての日程を終えて1週間余りが過ぎた。当初予定から1年延期され、ほとんどの競技が無観客で実施された異例の大会は海外の人々にどんな印象を残したのか。ドイツ・ベルリン在住の作家、多和田葉子さん(61)が産経新聞に寄稿した。 ◇ ドイツではサッカーの試合があるとその盛り上がり方は尋常ではなく、重要な試合がある日は通りに人影がなく、シュートが決まると突然、大型スクリーンを入れた酒場などから歓声が聞こえてくる。 六月から七月にかけて欧州選手権があり、連日熱戦が続く中、試合のない日には「鬱」状態に陥る人もいるというほどの盛り上がり方だった。その反面、批判も出た。試合は観客を入れて行われ、マスク着用の規則も守られず、試合が終わってしばらくするとロンドンなどでは明らかにコロナ感染者が急増していた。 それと比べて東京オリンピックはド