アメリカの政治学者リチャード・スモーク(Richard Smoke)は歴史上の戦争の過程を分析することで、エスカレーション管理の原則を明らかにしようとした研究者です。多くの研究者は戦争の原因を解明することに関心を寄せてきましたが、スモークが関心を寄せるのは戦争が拡大していく過程を妨げることにあります。 彼が博士論文をもとに出版した『戦争:エスカレーションを管理する(War: Controlling Escalation)』は、エスカレーション過程を分析した成果であり、敵味方に分かれた政策決定者の間で戦争の展開に対する期待に食い違いが生じていることがエスカレーションの根本的な原因であると論じています。 Smoke, R. (1977). War: Controlling Escalation. London: Harvard University Press. この著作は、戦争のエスカレーシ