「群馬県の事業所にあるサーバーを福井県の事業所へ移管できないか、社内で議論を始めた」。信越化学工業で情報システムを統括する、大倉良一 社長室担当部長はこう語る。「すべての情報システムを東京電力管内で動かすのはリスクがある」(同)と感じているからだ。 東日本大震災の発生から1カ月が過ぎ、企業の現場は徐々に日常を取り戻しつつある。しかし情報システム担当者にとっては気の抜けない日々が続く。「夏をどう乗り切ればいいのか」が全く見えてこないからだ。東電は停止中の火力発電所を復旧させ、供給能力の積み上げに全力を注いでいるが、このままでは今夏、大幅な電力不足に陥る可能性が高い。一部のユーザー企業は、手探りで電力不足対策に乗り出している。 信越化学は現在、都内のデータセンター(DC)でハウジングサービスを利用して基幹システムを運用している。群馬事業所には情報システム子会社が運営するサーバーが複数台あり、基