悲劇のフロス ある夜の晩のことだ。おれはフロスで歯間のお掃除をしていた。日々の習慣だ。 いつものように、歯間をきれいにして……いたら、銀歯が取れた。ひっかかって、銀歯が取れた。 取れた銀歯をおれは見た。歯の上部を覆っていたキラキラの銀歯。 銀歯の表面はキラキラで、「これ、ピアスにできねえかな」とか思った。現実逃避である。おれは歯医者に行かなくてはならなくなった。 予約するのも面倒くさい。時間も取られる。金も取られる。 ……でも、まあ、銀歯をつけるだけなら、痛くないよな。そうだ、この銀歯をつけてくれた歯医者は無痛治療なんだ。 そう思って翌日、歯医者に電話した。電話したら、話し中だった。しばらく待って、また電話した。また話し中だった。そして、もう一度。 あれ、おかしいな? ウェブサイトはあるのに。でも、Googleマップに出てこない。おかしい。そこでマップで入居しているはずのビルを調べてみると