繊細でクリアな高音域を奏でるスピーカー。オーディオファンをとりこにしてきた名門企業「オンキヨー」は今、業績悪化に苦しんでいます。過去最大の赤字。そして債務超過の状態になっていて、今月末までに解消しないと最悪、株式の上場廃止になるおそれがあるというのです。なぜここまで追い込まれてしまったのか、今、取り組んでいる戦略は何か。耳を澄ませてみたいと思います。(大阪放送局記者 谷川浩太朗) 「ゆっくりと好きになってほしい」 しっとりとした声で語りかけてくるのはアイドルの南野陽子さん。これは1986年、「オンキヨー」の人気ミニコンポ「Radian」のコマーシャルの1シーンです。 このミニコンポは当時、若い世代が進学や就職をきっかけに手に入れたいと人気となり、オンキヨーを代表する製品でした。 1991年には、ペアで240万円する高級スピーカー「Grand Scepter GS-1」がフランスの権威ある賞