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  • 自分の「ものさし」を持つということ――福島の甲状腺検査と住民の健康を本当に見守るために/緑川早苗氏インタビュー - SYNODOS

    東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下福島第一原発事故)の後、事故当時18歳以下だった全県民を対象に、超音波機器を使って甲状腺がんの有無を調べる検査(甲状腺がんスクリーニング。以下甲状腺検査)が行われている。 この甲状腺検査には、過剰診断(検査で見つけなければ一生症状を出さず、治療の必要がなかった甲状腺がんを見つけること)をはじめ、複数の問題があるという指摘がある。 甲状腺がんスクリーニングは、受診者へのメリットが少ない一方で、過剰診断などの不利益があることから、国際的に、たとえ原子力災害の後であっても、実施すべきでないとされている。しかし、原発事故後の福島では、今なお甲状腺検査は続き、すでに10年目になる。 福島の甲状腺検査の中心的業務に、検査が始まった当初から関わった緑川早苗・元福島県立医科大学准教授が、2020年3月末で福島県立医科大学(以下福島医大)を退職した。その後、甲状腺検査

      自分の「ものさし」を持つということ――福島の甲状腺検査と住民の健康を本当に見守るために/緑川早苗氏インタビュー - SYNODOS
    • イーロン・マスク買収後のツイッターはどう変化したのか/田中辰雄 - SYNODOS

      イーロン・マスク氏がツイッターを買収し、従業員の大半を解雇したことは世界を驚かした。これによりツイッターは人の手によるツイートの調整、いわゆるキュレーションができなくなり、その結果リベラル系のニュースの流布が減ったと言われる。これは本当だろうか。また本当だとして人々はこの変化をどう思っているのだろうか。簡単な調査をしたので報告する。 結論から言うと、大量解雇の結果、確かにリベラル系のメディアの発信力が低下したと思われる。リベラル系メディアの記事のリツイート数が減る事例があり、また、人々の印象でもリベラル系が好む話題のツイートが流れてこなくなったからである。ツイッター社のキュレーションはリベラル系記事を推していたという巷間のささやきは事実のようである。 このツイート傾向の変化が好ましいか好ましくないかを尋ねると、人々の意見は半分に割れている。当然のことながら、政治的にリベラルの人は好ましくな

        イーロン・マスク買収後のツイッターはどう変化したのか/田中辰雄 - SYNODOS
      • 環境を美的に鑑賞するということ――環境美学と環境倫理学との対話/青田麻未×吉永明弘 - SYNODOS

        シリーズ「環境倫理学のフロンティア」では、環境倫理学の隣接分野の研究者との対話を行っていきます。第一回目は「環境美学×環境倫理学」として、若手の環境美学の研究者である青田麻未さんと対話を行いました。 今回のテーマである「環境美学」について、青田さんにお聞きしたところ、以下のような説明をいただきました。 「環境美学とは、1960年代後半から1970年代ごろ、イギリス・アメリカ・カナダといった英語圏で、現代美学の一分野として興ったものです。その背景には、当時の美学が自然美論を無視していたこと、そして、社会において環境問題への関心が高まったことがありました。当初は原生自然と言われる、手つかずの自然が持つ美的価値について、中心的に議論していました。しかし現在では、人間が住む環境も含めた幅広い環境において、私たちの感性がいかに働くのかについて、多角的に論じる分野へと成長しています。」 青田さんは、今

          環境を美的に鑑賞するということ――環境美学と環境倫理学との対話/青田麻未×吉永明弘 - SYNODOS
        • 日本の男女賃金格差とペイ・エクイティ運動/屋嘉比ふみ子 - SYNODOS

          1.日本の女性労働の実態 女性活躍推進法が2016年4月に施行されましたが、女性労働者は活躍できているでしょうか? 現在、男性正社員の賃金を100とすれば、女性正社員73.4%、男性非正規67.3%、女性非正規54.4%であり、女性非正規社員の賃金は男性正社員の5割に過ぎません(2018年度版「賃金構造基本総計調査」)。正社員だけで見ても、OECD加盟国のなかでワースト3位です。いまだに「男性片働き世帯」を標準モデルにし、女性は夫に扶養されるものという家父長制と性別役割分業意識をベースとする日本型雇用慣行が運用されており、男女賃金格差は差別と認識されていません。 「男性と同じ仕事をしているのに、女性というだけで年収が300万円も違うってなぜ?」「正社員とほとんど同じ仕事なのに、パートだから責任が違うと言われて、年収は正社員の半分って変じゃない?」など、理不尽な賃金差別に対して、女性たちは疑

            日本の男女賃金格差とペイ・エクイティ運動/屋嘉比ふみ子 - SYNODOS
          • UNSCEAR最終報告・福島の住民への放射線被ばくによる健康影響は見られない――明石眞言氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS

            UNSCEAR最終報告・福島の住民への放射線被ばくによる健康影響は見られない――明石眞言氏インタビュー 服部美咲 フリーライター インタビュー・寄稿 「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)は、2021年3月9日、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「福島第一原発事故」)の影響に関する報告書(以下「2020/2021年報告」とする)を公表した。 UNSCEARは、放射線が人や環境に及ぼす影響についての重要な事項を網羅的に調べ、国連に報告する役割を持つ。科学的な報告のみを行い、他の国際機関や各国などに対する提言や勧告は行わない。(UNSCEARの報告を受けて、IAEAやWHO、ICRPなどの国際機関は各々の分野における提言や勧告をし、ガイドラインを作成する。各国はこれらを参考に政策をつくる。下図参照。) UNSCEARは、2013年に福島第一原発事故の報告書(以下「20

              UNSCEAR最終報告・福島の住民への放射線被ばくによる健康影響は見られない――明石眞言氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS
            • 民主主義がうまくいかない理由――タイ政治では何が起きているのか?/シノドス・オープンキャンパス02 / 外山文子 - SYNODOS

              民主主義がうまくいかない理由――タイ政治では何が起きているのか? シノドス・オープンキャンパス02 / 外山文子 国際 #シノドス・オープンキャンパス はじめに 21世紀に入ってすでに20年以上もの年月が経過しました。しかし、未だに世界における民主主義や人権といった価値の実現までの道のりは険しい状況にあります。米ソ冷戦終結後の1990年代には、「民主主義」や「人権保護」といった欧米の価値が、世界中で実現されると大いに期待されていました。ところが2006年頃から世界的に「民主主義の後退」(recession of democracy)という現象が注目を集めるようになりました。近年では、米国のトランプ大統領、トルコのエルドアン大統領の強権政治、ロシアや中国といった権威主義国家の国際的な政治的影響力の拡大が注目を集めています。 日本と関係の深い東南アジア地域の国々も政治に問題を抱えています。タイ

                民主主義がうまくいかない理由――タイ政治では何が起きているのか?/シノドス・オープンキャンパス02 / 外山文子 - SYNODOS
              • 「つくられた自然」の何が悪いのか――「自然再生事業」の倫理学/吉永明弘 - SYNODOS

                今年の夏もひどく暑かった。この暑さと人が排出したCO2の蓄積との因果関係などについては私には判断がつかないが、都市部の暑さの原因には人為的な要素が明らかにある。舗装道路の照り返し、エアコンの排熱、緑地の少なさなどは、少なくとも体感レベルには大きな影響を与えていると思う。地球規模の話をしなくとも、現在のこのような環境は人間が生み出している部分があることは否定できないだろう。 私の専門分野は環境倫理学であり、特に「都市の環境倫理」について考えている。現在、多くの人々は都市に住んでおり、都市環境とは我々にとっての住み場所としての環境である。都市は自然と対立させられ、都市=自然がない地域と表象されることもあるが、それは誤りである。都市部にも自然が存在する。そして都市部の自然こそこれから維持していかなければならないものなのだ。 このような問題意識を背景にして、『現代思想』(青土社)の9月号の「特集=

                  「つくられた自然」の何が悪いのか――「自然再生事業」の倫理学/吉永明弘 - SYNODOS
                • 「9月入学」について考える――誰のために? 何のために?/中里透 - SYNODOS

                  休校で失われた学生生活を取り戻したい。そのような高校生の思いから始まった「9月入学」の議論が、大きな広がりを見せている。4月29日には全国知事会でもこの問題がとりあげられ、各知事からさまざまな意見が表明された。 新型コロナの感染拡大の影響で小中学校や高校の授業と行事にはさまざまな支障が生じているから、その対策として「9月入学」「9月始業」を検討することには十分な意義がある。もっとも、「9月入学がグローバルスタンダード」といった情緒的な反応をもとにこの問題を語ることには慎重でなくてはならない。教育行政の責任者の思いつきと思い込みから始まった大学入試改革が、文部科学省の制度設計上の不備もあって見事に企画倒れになってしまったことを想起すれば、このことは容易に理解されよう(共通テストへの英語民間試験の導入と国語・数学の記述式の出題が見送りになったのは半年前の出来事だ)。 そこで、本稿では「9月入学

                    「9月入学」について考える――誰のために? 何のために?/中里透 - SYNODOS
                  • 大災害時の避難所運営をどうするか?/安井清孝 / 福島県立医科大学放射線健康管理学講座 - SYNODOS

                    近年、大地震だけでなく、豪雨や台風による災害が頻繁になってきています。もし個人で対処できる範囲を超えるような大災害が発生した場合、どのようにしてサバイバルしたらよいのでしょうか。災害前の準備から発生後1週間程度をどう乗り切るかという視点で考えてみたいと思います。 災害後の避難生活であなたを守るのは、自助・共助・公助ですが、そのうち発災直後、とくに重要なのが自助・共助です。自助・共助を機能させるためには、災害が起こる前から準備しておくことが大切です。 防災準備のポイントは、(1)避難セットの準備、(2)避難所と避難経路、災害備蓄の確認、(3)コミュニティの再評価の3点です。 (1)避難セットの準備 避難セットとして、緊急時に必要になる数日ぶんの飲食物と様々な物資の入ったセットが市販されているので、これを機にぜひ確認して下さい。それに加えて、短期の生活資金や携帯電話のバッテリーを入れておくとよ

                      大災害時の避難所運営をどうするか?/安井清孝 / 福島県立医科大学放射線健康管理学講座 - SYNODOS
                    • 不可視の被ばく者たち アメリカ国内の核被害と「語り」の抑圧――『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(岩波書店)/宮本ゆき(著者) - SYNODOS

                      2021.03.30 不可視の被ばく者たち アメリカ国内の核被害と「語り」の抑圧――『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(岩波書店) 宮本ゆき(著者) 2021年1月22日、国連の核兵器禁止条約が発効されました。この条約は、核実験はもちろんのこと、核兵器使用の威嚇を含め禁止したもので、核により様々な被害を被った人々や環境回復への支援をも念頭においた、画期的な条約と言えましょう。 残念ながら日本、そしてアメリカも、この条約に批准していません。アメリカ国内でもこの条約を歓迎する人は少なからずいましたが、主要新聞の一面を飾ることはなく、2日前に就任式を終えたバイデン新政権の話題でもちきりでした。しかしこのことは、「核により様々な被害を被った人々や環境回復」の問題に、アメリカ国内が無縁だということを意味しません。最大で約3万もの核兵器を保持していたアメリカは、自国とその統治領域で千回以上

                        不可視の被ばく者たち アメリカ国内の核被害と「語り」の抑圧――『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(岩波書店)/宮本ゆき(著者) - SYNODOS
                      • もうひとつの新型コロナウイルス最前線――訪問看護領域のヒアリングから/木村映里 - SYNODOS

                        新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により厚生労働省は、4月2日、医療リソースを重症者・重症ハイリスク者に割くため、軽症者の宿泊施設や自宅療養を進める方針を打ち出しました(1)。 2020年4月16日現在、対策病床の使用率は全国で100%を超え、最大の感染者数となっている東京都においては、患者数2300人以上に対して入院可能な病床は1000床と、病床数は患者数の半分以下となっています(2)。 多くのメディアで取り上げられる医療崩壊の現状は、主に感染症指定医療機関、三次救急医療機関で重症者の対応に当たる医療従事者です。しかし今後多くの患者が自宅療養となる中、訪問診療や訪問看護といった在宅医療領域でもCOVID-19の対応が必須であることは想像に難くないでしょう。 在宅医療領域において、患者と直接接触する機会が多く、かつ医療行為を実施する必要のあるのが訪問看護です。看護師が在宅療養

                          もうひとつの新型コロナウイルス最前線――訪問看護領域のヒアリングから/木村映里 - SYNODOS
                        • 9月入学の「隠れたコスト」――新卒者の「放棄所得」と国の「逸失税収」/荒木啓史 - SYNODOS

                          本稿は、苅谷剛彦・オックスフォード大学教授の呼びかけで集まった研究グループ(50音順に相澤真一・上智大学准教授、氏岡真弓・朝日新聞編集委員、岡本尚也・Glocal Academy 代表理事、中村高康・東京大学大学院教授)における議論を踏まえて執筆しているものです。 「9月入学」に関する議論が喧しい。新型コロナウイルス感染症の影響(臨時休校措置)により、十分な学びを得られなかった人たちの学修機会を保障する手段として注目されているのに加え、最近は「国際化を進めるチャンス」「改革の象徴」といったスローガンで9月入学を推進しようとする動きも見られる。他方、実際に9月入学制度を導入する場合、多数の法改正が必要になること、巨額の家計負担や行政コストが発生すること、待機児童や教員不足の問題が顕在化すること、などの現実的な課題も指摘されている。また、当事者である若者の意見を見ても、9月入学に否定的な人の方

                            9月入学の「隠れたコスト」――新卒者の「放棄所得」と国の「逸失税収」/荒木啓史 - SYNODOS
                          • 「シルバー・デモクラシー」の虚偽/吉田徹 - SYNODOS

                            「シルバー・デモクラシー(シルバー民主主義)」という言葉が人口に膾炙してから久しい。その象徴として、国政選挙での若年層の低投票率などが取り上げられる。これは選挙報道で各党や各党候補者を平等に扱えず、かといって政策検証などは関心をひかないため、中高年視聴者や読者のための恰好のネタでもあるからだ。ただ、その効果は無視できないと見え、メディア関係者のみならず、大学生などと会話していると、日本の民主主義の問題点として、必ずといっていいほどなされる主張だ。なお、先の2021年衆院選で60代の投票率は71%、対して20代の投票率は36%だった。 そもそも「シルバー・デモクラシー」は何を意味するのか――もっとも早くこの言葉を使ったのは、著名な政治学者だった内田満が1986年に著した『シルバー・デモクラシー 高齢社会の政治学』(有斐閣)だと思われる。ただ、これは長寿社会を迎える日本で、高齢者がいかに政治参

                              「シルバー・デモクラシー」の虚偽/吉田徹 - SYNODOS
                            • 市民活動をめぐる“3つの事実”――「ボランティア」とは誰なのか?/三谷はるよ - SYNODOS

                              1995年の阪神・淡路大震災から25年が経つ。甚大な被害がもたらされた一方で、その年は130万人を超える人々が災害ボランティアとして救援・支援活動に従事した。彼らの姿は国内外のメディアにも大きく取り上げられた。ごく普通の人々が「ボランティア」を知り、活動に参加するきっかけになったとして、1995年は日本の「ボランティア元年」と呼ばれている。 それから四半世紀。ボランティア活動は日本社会に根づいたのだろうか。また、どのような立場の人でも参加できる市民活動になったのだろうか。 筆者は長年、市民活動の担い手像を社会調査データから実証的に探ってきた。本記事では、一連の研究から得られた知見のいくつかを紹介する。とくに「ボランティア」に関して、一般の方々があまり知らないであろう“3つの事実”を紹介したい。 「ボランティア元年」以降、日本社会において「ボランティアは増えている」といると素朴に思っている人

                                市民活動をめぐる“3つの事実”――「ボランティア」とは誰なのか?/三谷はるよ - SYNODOS
                              • 「不況下の株高」と巣ごもり消費――データをもとに考える/中里透 - SYNODOS

                                日経平均株価が30年ぶりの高値となっている。もっとも、それにふさわしい高揚感はみられない。新型コロナの感染が続き、景気の先行きが見通せない中で株価だけがどんどん上がっていくことには、不安や違和感を感じる人も少なくないだろう。株式市場がその時々の経済の姿を写す鏡でなくなってしまったことを嘆く声もある。 もっとも、このような違和感の中にこそ、今後の経済の道行きを考えるうえで有益なヒントがあるかもしれない。以下ではこの観点から、最新のデータをもとに日本経済の「今」をながめてみることとしよう。 今の株価はバブルなのか?これは誰もが知りたいことだ。だが、残念ながらこれは誰にもわからない。株価のファンダメンタルズ(企業や経済の実力に見合う株価)は現在から将来にわたる企業収益と金利の見通しをもとに決まるが、いかなる株価が適正な水準なのかは、これらの見通しのいかんによって大きく異なるからだ。「バブルは崩壊

                                  「不況下の株高」と巣ごもり消費――データをもとに考える/中里透 - SYNODOS
                                • 緊縮財政への復帰はあり得ない――『99%のための経済学 コービンが率いた英国労働党の戦略』(堀之内出版)/ジョン・マクドネル(編著者) - SYNODOS

                                  2021.02.26 緊縮財政への復帰はあり得ない――『99%のための経済学 コービンが率いた英国労働党の戦略』(堀之内出版) ジョン・マクドネル(編著者)政治家 99%のための経済学: コービンが率いた英国労働党の戦略 著者:マクドネル,ジョン【編】/朴 勝俊/山崎 一郎/加志村 拓/長谷川 羽衣子/大石 あきこ【訳】 出版社:堀之内出版 本書が出版されてから、ながい時間が流れました〔原著の出版は2018年〕。多くの人々にとってショッキングなことに、労働党は2019年の英国総選挙で敗北し、本書で示されたアイデアを練り上げ、直ちに政策として実行に移す機会を失いました。さらに、新型コロナウイルスのパンデミック(コロナ危機)が襲いかかり、計り知れない犠牲と苦難をもたらしています。 ずばり、問題は次の点です。本書が提起した分析やアイデア、そして政策は、はたして現時点においても重要なものと言えるの

                                    緊縮財政への復帰はあり得ない――『99%のための経済学 コービンが率いた英国労働党の戦略』(堀之内出版)/ジョン・マクドネル(編著者) - SYNODOS
                                  • めんどうな自由、お仕着せの幸福――サンスティーン先生、熟議のお時間です!/那須耕介 - SYNODOS

                                    『ナッジ!? 自由でおせっかいなリバタリアン・パターナリズム』の編者である法哲学者の那須耕介さんが、ナッジやリバタリアン・パターナリズムをめぐって、同時代の気になる方々と繰り広げた対話連載がスタートします。まずは、ホスト役の那須さんが、自身の「問題意識」を語りました。いま、このややこしい時代だからこそ話ししてみたいと考えたのはなぜなのか、ちょっと意味深なタイトルの意味を含めて、はじまりはじまり――。(勁草書房編集部) 理不尽な拘束や抑圧を被らないこと、十分な選択肢が与えられていること。昔ながらの「自由」は、いまも私たちの暮らしになくてはならない価値ですが、ともすればこれを恩恵どころか重荷に感じる機会が増えてきたような気がします。 私の自由には、やっかいな自己責任がともないます。膨大な選択肢から選ぶこと自体わずらわしいのに、失敗したら一人では負いきれない代償を求められるなんて、割に合わない気

                                      めんどうな自由、お仕着せの幸福――サンスティーン先生、熟議のお時間です!/那須耕介 - SYNODOS
                                    • 日銀はなぜ利上げをしないのか――マイナス金利について考える/中里透 - SYNODOS

                                      MMT(現代貨幣理論)はしばしば「トンデモ経済学」と評されるが、MMTを批判する側にもユニークな「トンデモ経済学」がある。その典型例のひとつは「利上げをすると国債暴落が起き、日銀のバランスシートが債務超過になる(なので、日銀は利上げができない)」というものだ。 一般に利上げをすると債券価格は下落するから(利回りは上昇)、利上げをすると国債価格に下押しの圧力が働くというところまでは正しい。だが、そこからさらに進んで、国債価格が下落して日銀のバランスシートが債務超過になるという話になると、話が途端にあやしくなる。そのために利上げができないという話になると、なおさらだ。 もっとも、日銀の「債務超過」は「国債暴落」や「ハイパーインフレ」と同様に訴求力のあるパワーワードなので、この話はさまざまな場面で繰り返し登場する。それが世の中の関心を引くためのネタの範囲にとどまっている限りにおいては面白いが、実

                                        日銀はなぜ利上げをしないのか――マイナス金利について考える/中里透 - SYNODOS
                                      • 『「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS』へのコメント

                                        ブックマークしました ここにツイート内容が記載されます https://b.hatena.ne.jp/URLはspanで囲んでください Twitterで共有

                                          『「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS』へのコメント
                                        • わたし、かわいそうですか?――『ヤングケアラー わたしの語り 子どもや若者が経験した家族のケア・介護』(生活書院)/澁谷智子(著者) - SYNODOS

                                          2021.01.22 わたし、かわいそうですか?――『ヤングケアラー わたしの語り 子どもや若者が経験した家族のケア・介護』(生活書院) 澁谷智子(著者)社会学 「わたし、かわいそうですか?」この本の帯となった言葉である。 18歳未満の子どもが、本来であれば大人が担うと想定されているような責任を負って家族の世話をしている様は、多くの人に何かを訴えかける。こうしたヤングケアラーについて書かれる時には、ともすれば、その子どもたちが経験してきた苦労の部分のみがクローズアップされがちだった。前書きで私はこう書いた。 「ヤングケアラーの側から見てみたら、16歳の時に親のおむつを替えていたという話にばかり焦点を当てて延々と繰り返されるのは、自分の感覚としっくり来ないこともある。もちろん、家族のケアをしたという現実はあり、その時にしんどさを感じたことも事実だが、ヤングケアラーの経験はそれだけでは終わらな

                                            わたし、かわいそうですか?――『ヤングケアラー わたしの語り 子どもや若者が経験した家族のケア・介護』(生活書院)/澁谷智子(著者) - SYNODOS
                                          • 「大学のみ9月入学移行政策」の費用便益分析――大学9月開始の最大のメリットは教育の国際化ではなく高校教育の充実だ/赤林英夫 - SYNODOS

                                            「大学のみ9月入学移行政策」の費用便益分析――大学9月開始の最大のメリットは教育の国際化ではなく高校教育の充実だ 赤林英夫 教育の経済学/家族の経済学 教育 コロナウィルス危機による学校の長期休校が問題になり、政府に浮上した「全学校の9月入学移行」政策は、社会的にも大きな論争を巻き起こした。しかし結果的に、5月、自民党のワーキングチーム(WT)は、来年度の実施を見送りとした。多額な財政負担と制度変更の必要、そして教育格差解消や教育の国際化といった効果への疑問がその根拠としてあげられたと聞く。 しかし、WTは同時に「9月入学制策については引き続き検討を行うこと」とし、7月20日に開催された教育再生実行会議では、ポストコロナ時代の学校教育の課題として審議するという。また、経団連も「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」において、大学が自主的に、大学教育の国際化のために、入学時期を多様化するべ

                                              「大学のみ9月入学移行政策」の費用便益分析――大学9月開始の最大のメリットは教育の国際化ではなく高校教育の充実だ/赤林英夫 - SYNODOS
                                            • 社会的弱者に、医療はどう向き合うか――『医療の外れで 看護師のわたしが考えたマイノリティと差別のこと』(晶文社)/木村映里(著者) - SYNODOS

                                              2020.12.26 社会的弱者に、医療はどう向き合うか――『医療の外れで 看護師のわたしが考えたマイノリティと差別のこと』(晶文社) 木村映里(著者)看護師 「生活保護、性風俗産業の従事者、セクシュアルマイノリティ、性暴力被害者などが、医療者からの心無い対応で傷ついたり、それがきっかけで医療を受ける機会を逸している現実がある。医療に携わる人間は、こうした社会や医療から排除されやすい人々と対峙するとき、どのようなケア的態度でのぞむべきなのか」 上記は、拙著『医療の外れで』の紹介文です。 本書は、「セクシュアルマイノリティ」「性風俗産業」「院内暴力」「虐待」「医療不信」「生活保護」「依存症」「性暴力被害者」「医療従事者」の9つのテーマに焦点を当て、エピソードと文献検討の両面から、医療の中でマイノリティや被差別的な属性を持つ人々がどのような傷付きを受けているのか、医療は彼ら彼女らにどう向き合え

                                                社会的弱者に、医療はどう向き合うか――『医療の外れで 看護師のわたしが考えたマイノリティと差別のこと』(晶文社)/木村映里(著者) - SYNODOS
                                              • 感染症対策のための規制、ナッジ、データそして民主主義/成原慧 - SYNODOS

                                                新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、さらなる蔓延を防止するために、人々の行動制限や行動変容が求められている。法は、どこまで人々の行動を規制すべきなのだろうか。また、「ナッジ」と呼ばれる一見して柔らかな介入手段は、どこまで人々の行動の変容を促すことができるのだろうか。 本稿では、国内外における新型コロナウィルス対策のための取組を例にして、規制とナッジのあいだの役割分担と距離、両者のあいだで舵取りを行うための指針となるデータの収集・利用、危機における民主的な政策決定プロセスのあり方について考えてみたい。 人々の行動を制限する上で、中心的な役割を果たすのは、やはり法律による規制であろう。だが、日本の現行法では、感染症の蔓延防止という目的で人々の行動を制限するためにとりうる措置はかぎられている。 たとえば、本年3月に、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正され、暫定措置として、新型コロナウィル

                                                  感染症対策のための規制、ナッジ、データそして民主主義/成原慧 - SYNODOS
                                                • 複合的問題としての人の移動――安全保障問題との交差/小林周 - SYNODOS

                                                  本稿では、武力紛争や政治変動の連鎖によって国家機構が脆弱になり、それに伴って国境管理が揺らぎ、移民・難民やテロ、組織犯罪といった越境的な問題が交錯している状況を分析する。また、北アフリカのリビアに焦点を当て、「人の移動(migration)(注1)」と安全保障問題の交差によって生じる問題を明らかにする。 2010年末からの「アラブの春」を契機として、中東・アフリカから欧州を目指す人の移動は激増した。これにより、「欧州難民危機」、つまり大量の移民・難民が欧州連合(EU)諸国に押し寄せ、欧州域内で対応しきれず、政治的・社会的な混乱・変革が発生している状況や、また大規模かつ広範囲な移動の途上で多くの人命が失われる状況が発生した(注2)。 2017年以降、EUの国境管理や移民政策の厳格化を背景として欧州に渡る移民の数は減少している一方で、移民・難民を取り巻く環境は悪化していると指摘される。地中海を

                                                    複合的問題としての人の移動――安全保障問題との交差/小林周 - SYNODOS
                                                  • コロナウィルス再流行――「重症が少ない」「インフルと同じ」は戯言だ/海老原嗣生 - SYNODOS

                                                    コロナウィルス再流行――「重症が少ない」「インフルと同じ」は戯言だ 海老原嗣生 株式会社ニッチモ代表取締役、『HRmics』編集長 社会 昨今のコロナウイルス再流行に関して、「心配ない」という論調を張る人がいる。その論拠は以下の二つとなる。 ① 重症者が少ない。死亡者はさらに少ない。 ② 他の疾患、たとえばインフルエンザや肺炎などでも多数の死者が出ている。そこまで神経質になる必要もない。 上記のうち、①の論調を広めた有名人としては、辛抱治郎氏が上げられるだろう。私も氏のズバリ直言ファンでもあるために、最近までこの論調に対して好意的な反応を示していた。 ただ、直近の傾向を見る限り、この話は明らかに間違いであり、現在の流行は4月以上に厄介な状況だと気づいた。その第一報は「GOTOキャンペーンの無理筋と、ボルソナ脳の失敗」に記した通りだ。 その後の情報も交えて、以下に前稿の主旨をなぞっておきたい

                                                      コロナウィルス再流行――「重症が少ない」「インフルと同じ」は戯言だ/海老原嗣生 - SYNODOS
                                                    • 森辞任事件異聞――対立軸は何か?/田中辰雄 - SYNODOS

                                                      JOC委員長だった森氏が女性蔑視発言で辞任した事件は多くの議論を呼んだ。森発言が報道されて以来、メディアの論調は国内外含めて森批判一色となった。森発言は日本社会の古い男尊女卑の体質の現れであり、謝罪では済まされない。氏は辞任する必要があるとされ、さらに、根本的に価値観のアプデートが必要であるという議論も現れた。批判の論調は激しく、当人だけでなく、彼に注意しなかった周りの人々を責める論調もある。 ただ、ネット上では、森発言が問題であるとしても、この一連の経緯には疑問を呈する意見も見受けられた。たとえばある穏健なフェミニスト論客のツイートを引用して見よう。 女性差別が解消される世の中は願ってるけど、差別的な失言した人を謝罪しても絶対に許さず、一緒になって批判しない人までSNSで罵られる怖い社会は、べつに望んでいなかった。 — ろくでなし子(自分のまんこで前科一犯) (@6d745) Febru

                                                        森辞任事件異聞――対立軸は何か?/田中辰雄 - SYNODOS
                                                      • GoToキャペーンと感染症対策、二兎追うならCOCO割/海老原嗣生 - SYNODOS

                                                        GoToキャペーンと感染症対策、二兎追うならCOCO割 海老原嗣生 株式会社ニッチモ代表取締役、『HRmics』編集長 社会 COVID19の再流行が勢いを増している。東京で、1日の新規陽性判明数が200名を超えて高止まりするだけでなく、大阪でも100名を超えてギネス、愛知・福岡も過去最高を更新した。こんな危うい状況で、全国的に人の移動が促されるGOTOキャンペーンが本日から始まる。直近、全国の1日当たりの新規陽性判明者は600名を超えているが、じきにこの数は1000名に達するだろう。新規陽性判明者の増加に対しては、「重症者がふえていないから大丈夫」という声が多々聞かれるが、それは誤りだ。前稿(https://note.com/ebitsugu/n/nd8eab0a6d842)で書いた通り、少し前までは感染は夜の街を中心とした若者に限られており、高齢者が非常に少なかった。6月ひと月を見た場

                                                          GoToキャペーンと感染症対策、二兎追うならCOCO割/海老原嗣生 - SYNODOS
                                                        • 「ハイブリッド戦争」と動揺するリベラル国際秩序/志田淳二郎 - SYNODOS

                                                          (1)クリミア半島併合作戦 2014年のウクライナ危機以降、世界は「ハイブリッド戦争」の時代に突入した。2013年秋から2014年3月にかけて、ウクライナの隣国ロシアは、政治的・経済的圧力、サイバー攻撃、国境付近での15万名規模のロシア軍の「訓練」実施などを繰り返し、あらゆる領域でウクライナに圧力をかけていた。背景に、ウクライナがEU(欧州連合)への接近を図っていたことがある。 やがて所属を表す標章のない、緑色の迷彩服に身を包んだ完全武装の集団(リトル・グリーン・メン)が、ウクライナのクリミア半島に出現した。彼らは、地方政府庁舎・議会・軍施設・空港などの重要インフラを次々と占拠した。その後、ロシア正規軍も後続展開を開始、ウクライナ軍は効果的に反撃できずに、あっという間にクリミア半島は占拠され、物理的にウクライナ本土から分離させられたのである(注1)。 この直後にクリミア半島では、クリミアの

                                                            「ハイブリッド戦争」と動揺するリベラル国際秩序/志田淳二郎 - SYNODOS
                                                          • 日米両国で、被爆者の怒りはどのように遠ざけられてきたか――『プロデュースされた〈被爆者〉たち—表象空間におけるヒロシマ・ナガサキ』(岩波書店)/柴田優呼(著者) - SYNODOS

                                                            2021.04.27 日米両国で、被爆者の怒りはどのように遠ざけられてきたか――『プロデュースされた〈被爆者〉たち—表象空間におけるヒロシマ・ナガサキ』(岩波書店) 柴田優呼(著者)日本文学 / カルチュラル・スタディーズ 『ヒロシマ・モナムール』(アラン・レネ監督、マルグリット・デュラス脚本、1959年)というフランス語の映画と出会ったのは、アメリカの大学院で研究中のことだ。北米の人文学では、「ヒロシマと言えばこれ」というぐらい有名な映画だった。だが、どうしてこれがヒロシマの映画なのだろう? と疑問に思った。 被爆者は冒頭、説明もなくバラバラに挿入された映像の中に現れるだけで、彼らの声もその物語も出てこない。その代わり、広島を訪問中のフランス人女性を中心に、ストーリーは展開する。彼女は広島で一時的な関係をもった日本人男性を相手に、フランスでの自分の戦争体験を語る。ドイツ人の占領兵と恋に落

                                                              日米両国で、被爆者の怒りはどのように遠ざけられてきたか――『プロデュースされた〈被爆者〉たち—表象空間におけるヒロシマ・ナガサキ』(岩波書店)/柴田優呼(著者) - SYNODOS
                                                            • ヒュッゲ(Hygge)とは何か?――デンマークが幸せの国と言われる理由/内田真生 - SYNODOS

                                                              ヒュッゲ(Hygge)とは何か?――デンマークが幸せの国と言われる理由 内田真生 アダルト・ラーニング 国際 #北欧ライフ 北欧諸国は「幸せ(Happiness)の国」と世界的に認識されている。とくにデンマークは、2012年に始まった世界幸福度報告(World Happiness Report, 2012-2019)で、毎年トップ3にランクインしており、これまで2度(2013、2015年)、世界一幸せな国の称号を得ている。日本は2013年の43位が最高位である。 また、その文化に根付く「ヒュッゲ(Hygge)」が幸せに関係していると世界的な注目を集めている。2016年には、イギリスのオックスフォード辞書が選ぶ「世界の今年の言葉(Word of the Year by The Oxford Dictionaries)」の最終選考に残り、2017年よりその辞書に掲載されている。日本でも様々なメ

                                                                ヒュッゲ(Hygge)とは何か?――デンマークが幸せの国と言われる理由/内田真生 - SYNODOS
                                                              • 「学習支援によるケア」が、子ども・親・学生にもたらすもの――子どもの貧困対策の現場の調査から/松村智史 - SYNODOS

                                                                「学習支援によるケア」が、子ども・親・学生にもたらすもの――子どもの貧困対策の現場の調査から 松村智史 社会福祉学 福祉 「自分を迎え入れてくる人がいる」、「また来ていいんだっていう安心感」があったから――。 貧困世帯の子ども向けの学習支援教室に参加したある女性は、学校でいじめを受けた経験から不登校状態になり、勉強についていけなくなっただけでなく、同年代や周りが自分のことを嫌いだという意識を持っていたという。 だが、学習支援教室の学生やスタッフが、自分のことを気にしてくれている、心配してくれている感覚に、徐々に背中を押され、安心して参加するようになったという。 彼女は、学習支援教室を、「自分を迎えてくれる場所」と振り返った。 様々な不利・困難・孤立に直面し、社会のなかで居場所を見つけづらい貧困世帯の子どもたちにとって、そうした場所や、他者とのつながりが、どれほど切実に求められているか。 本

                                                                  「学習支援によるケア」が、子ども・親・学生にもたらすもの――子どもの貧困対策の現場の調査から/松村智史 - SYNODOS
                                                                • 子どもたちの中に眠っている「宝」探し――学習支援の現状と課題/西牧たかね - SYNODOS

                                                                  「先生との約束を守れなくて、ごめんなさい」 それが、私の顔を見てFが口にした最初の言葉だった。 第一希望だった都立高校の入試結果が不合格だとわかった時、彼女が選んだのは2次募集の高校も夜間定時制の高校も受験せず、働くという道だった。 「アメリカに行くという夢を叶えるため、働いてお金を貯めます。」 それから2年、3つの仕事を掛け持ちして働いたが、収入の大半は家計を助けるために消え、思うようにお金は貯まらなかったという。(注) (注)「子どもの貧困」対策として、全国に広がっている“学習支援”とは何か、その現状と課題を明らかにするためには、私が中学校の教員として、また学習支援コーディネーターとして出会った子どもたちの様子に触れる必要があります。そこで、子どもたちのプライバシーを守るために、典型的な事例からFとKという二人の中学生を造形し、その架空の事例を通して、子どもたちの姿をお伝えします。 2

                                                                    子どもたちの中に眠っている「宝」探し――学習支援の現状と課題/西牧たかね - SYNODOS
                                                                  • なぜ「表現の自由」は重要なのか?/志田陽子/芹沢一也(ホスト) - SYNODOS

                                                                    なぜ「表現の自由」は重要なのでしょうか?多くの国家が憲法で、集会や言論、出版の自由を保障し、公権力の介入を禁じているのはなぜなのでしょうか? 個々の表現を見れば、その内実は玉石混交でしょう。公共性の高い価値のありそうなものもあれば、あえて擁護する価値のなさそうなものもあるでしょう。しかし、「価値があるかもしれないもの・ないかもしれないものを取り混ぜて、それらが流通する《自由な表現のあり方》が確保されていることに意味と価値がある」のです。 昨今は、「公共の福祉」との関連で、「表現の自由」の規制を求める声も、しばしば耳にします。ときには、「自由な言論市場」から、ある種の表現を排除しようとする動きも目立ちます。こうした状況の中で、いまいちど、「表現の自由」の意味を原理的に考えることは有益でしょう。 「シノドス・トークラウンジ」第3回は、『「表現の自由」の明日へ』の著者、志田陽子さんをお招きしてお

                                                                      なぜ「表現の自由」は重要なのか?/志田陽子/芹沢一也(ホスト) - SYNODOS
                                                                    • ヨーロッパ・中国関係の変容?――COVID-19がもたらす影響/東野篤子 - SYNODOS

                                                                      ヨーロッパと中国との関係は、紆余曲折を経ながらも徐々に進展してきた。EUは中国の人権状況などを問題視しつつ、中国との経済的相互依存を深めてきた。現在中国とEUは、相互に欠くべからざる経済パートナーの地位を獲得したと言っても過言ではない。 中国は「一帯一路」や、中国と一部のヨーロッパ諸国(多くは中・東欧諸国で、EU加盟国とEU非加盟国の双方を含む)との経済協力枠組みである「17+1」を通じて【1】、ヨーロッパへの浸透を図りつつあった。しかしEUは、こうした中国との経済協力枠組みがEUの規則やルールに合致していないとして懸念を募らせ、様々な対中措置を策定してきた。こうした状況において、EUおよびEU加盟諸国の対中スタンスはしばしば混乱し、一貫性を欠くものともなってきた。5G(第5世代移動通信システム)導入に際しても、中国企業のファーウェイの製品を採用するか否かに関して、EU加盟国間での温度差が

                                                                        ヨーロッパ・中国関係の変容?――COVID-19がもたらす影響/東野篤子 - SYNODOS
                                                                      • 男女同数の最終候補作から見えてくるもの――第64回岸田國士戯曲賞予想対談/山﨑健太(演劇研究・批評)×田中伸子(演劇ジャーナリスト) - SYNODOS

                                                                        男女同数の最終候補作から見えてくるもの――第64回岸田國士戯曲賞予想対談 山﨑健太(演劇研究・批評)×田中伸子(演劇ジャーナリスト) 文化 去る1月、第64回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の候補作8作品が発表されました。岸田戯曲賞は、若手劇作家の奨励と育成を目的として設置され、新人劇作家の登竜門とされることから「演劇界の芥川賞」とも呼ばれます。選考会および受賞作の発表は2月13日です。(企画・構成 / 長瀬千雅) 山﨑 僕にとっては5回目の予想対談になりますが、今回は予想の前に、なぜこれをやっているかをもう一度確認しておきたいと思います。 田中 はい。 山﨑 受賞作の予想対談という形をとっていますが、ここでやっていることは基本的にふたりが戯曲をどのように読んだか、また、その中で何を評価するのかを言語化する作業だと思うんです。 岸田賞は受賞作の出版に合わせて選考委員による選評は公開されますが、

                                                                          男女同数の最終候補作から見えてくるもの――第64回岸田國士戯曲賞予想対談/山﨑健太(演劇研究・批評)×田中伸子(演劇ジャーナリスト) - SYNODOS
                                                                        • 長寿時代の医療・ケア――エンドオブライフの論理と倫理/会田薫子 - SYNODOS

                                                                          平和と豊かさと長命は人間の希求するところであり、医学・医療が目指してきた生存期間の延長は寿命革命につながった。1947年に約50年だった日本人の平均寿命は、2018年に男性が81年、女性が87年となった。いまや日本は世界でトップレベルの長命国である。 一方、さまざまな加齢変性を抱えながら最期へ向かう過程において、医療のためにかえって本人の苦痛が増し、尊厳が損なわれる場面もみられるようになった。多くの人にとって人生は長くなったが、老衰の進んだ超高齢者に負担となる医療行為が行われ、穏やかな最終段階が阻害されることも多くなった。このジレンマにどのように対応すべきか。 これは臨床現場において「生き終わり」のあり方を考察する臨床死生学の中核のテーマであり、人生の最終段階の医療とケアに関して本人・家族側の意思決定を支援する医療・介護従事者にとっては、臨床倫理上の重要なテーマでもある。 また、これは20

                                                                            長寿時代の医療・ケア――エンドオブライフの論理と倫理/会田薫子 - SYNODOS
                                                                          • 疫学調査として破綻している――福島の甲状腺検査の意義を問う/津金昌一郎氏インタビュー / 服部美咲 - SYNODOS

                                                                            東京電力福島第一原子力発電所事故(以下福島第一原発事故)の後、住民の不安の声を受け、福島県は、2011年10月から原発事故当時18歳以下だった全県民を対象に、甲状腺がんの超音波スクリーニング検査(以下「甲状腺検査」)を実施している。 甲状腺検査の目的のひとつとして、原発事故による放射線被ばくによる甲状腺への影響(甲状腺がんの増加の有無)を調べることが挙げられている。原発事故による放射線被ばくで子どもの甲状腺がんの発生が増えるかどうかについては、福島県民のみならず、国内外の強い関心を集めている。福島第一原発事故の歴史的評価にも大きく関わる問題でもある。 ところが、検査を継続し、その結果を解析したとしても、放射線被ばくと甲状腺がんの発生率との因果関係を知ることはできないとの指摘が、県の設置する専門家会合(「県民健康調査」検討委員会)の委員からなされた。検査の目的のひとつが達成できないとすれば、

                                                                              疫学調査として破綻している――福島の甲状腺検査の意義を問う/津金昌一郎氏インタビュー / 服部美咲 - SYNODOS
                                                                            • ぼくらは100点満点を目指さなくてもいい?――めんどうな自由、お仕着せの幸福(3)/若松良樹×那須耕介 - SYNODOS

                                                                              ぼくらは100点満点を目指さなくてもいい?――めんどうな自由、お仕着せの幸福(3) 若松良樹×那須耕介 社会 那須耕介さんがナッジやリバタリアン・パターナリズムをめぐって語り合う対話連載、今回は学習院大学の若松良樹さんのご登場です。じつは学生時代からお付き合いのある同窓のお二人。あいまいなところへ、繊細に近づこうと、久々に差し向かいでお話しいただきました。(勁草書房編集部) 那須 今回、この企画を考えたきっかけの一つは、若松さんの『自由放任主義の乗り越え方』(2016年、勁草書房)なんです。人のせいにして悪いですけど(笑)。これを読んで、「あぁ、もうサンスティーンが何を考えているか、というレベルだけでリバタリアン・パターナリズムやナッジの問題を考えてもしょうがないな」ということをはっきり教えられました。 でも、まずはサンスティーンの話から始めさせてください。最初、彼の議論のどのあたりにおも

                                                                                ぼくらは100点満点を目指さなくてもいい?――めんどうな自由、お仕着せの幸福(3)/若松良樹×那須耕介 - SYNODOS
                                                                              • レッテルの向こうの「人生」を撮る――椎木透子氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS

                                                                                2011年3月、東日本大震災と津波、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下福島第一原発事故)のニュースは、世界中を駆け巡った。しかし、とりわけ原発事故後の福島については、インターネット上をはじめとする大小さまざまなメディアで情報が錯綜し、日本国内にいてさえも、正しい情報を見分けるのは難しかった。フィクションやアート作品の中には、福島の実態を誤解させるような、おどろおどろしい描写を含んでいるものもあった。 そんな中、映画「スレッショルド:福島のつぶやき」が公開された。2013年から2014年にかけて撮影された本作では、激しいスローガンや政治的主張はなく、美しく優しい音楽と共に、福島の暮らしが淡々とつづられる。 監督・脚本を手掛け、自らカメラを回したのは、アメリカのミシガン州在住の椎木透子さんである。その後、椎木さんは、「つなぐひと」「この空を越えて」「この山道をゆく」と、東日本大震災

                                                                                  レッテルの向こうの「人生」を撮る――椎木透子氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS
                                                                                • 脳が明かす人を変える力――『事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学』(白揚社)/白揚社編集部 - SYNODOS

                                                                                  2021.05.27 脳が明かす人を変える力――『事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学』(白揚社) 白揚社編集部 本書は、Tali Sharot, The Influential Mind(Little Brown, 2017)の全訳です。著者が拠点を置くイギリスとアメリカでは、刊行直後から好評をもって迎えられ、2017年にはタイムズ紙やフォーブス誌など多数の新聞雑誌の年間ベストブックにノミネート、翌18年にはイギリス心理学会賞を受賞しています。 二人の人物が意見を戦わせていて、一方が明白な事実や数字を示して相手の誤りを指摘するが、提示された側はそれをまったく意に介さず、結局は議論が平行線をたどる――そんな場面をSNSで目撃したことはないでしょうか? 議論の対象が政治であれ、健康問題であれ、趣味であれ、そうした光景は今ではとくに珍しくないようです。もちろん、客観的事実

                                                                                    脳が明かす人を変える力――『事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学』(白揚社)/白揚社編集部 - SYNODOS