恐らく、コーヒーに詳しい人であっても、コーヒーに含まれるジテルペン、カフェストール(cafestol)とカーウェオール(kahweol)という化合物を知っている人は、日本では少ないと思われます。このようなマイナーな化合物にも関わらず、抽出法による濃度の違いなどといった、他のコーヒーの成分でも行われていないような、細かな研究が行われたのには実は理由があります。それを語るため、まずこのジテルペンについて少し解説をしましょう。 「ジテルペン」というのは、植物が作りだす二次代謝産物の一グループの総称です。植物が作り出す二次代謝産物には、植物の種類が違っているにも関わらず、良く似た構造を持つ成分が存在することが知られていますが、植物の精油成分や薬効成分などに、炭素数が5の倍数(C5)になっているグループが存在することが古くから知られていました。この中で比較的古くから知られていた、炭素数10(C10)