新型コロナウイルス感染症による経済の冷え込みに対して、消費税をどうするのかが話題になっています。報道によると、国は減税に否定的ですが、広く国民を支援するには消費減税が最も効果的だと訴える論者も多数います。 一方で消費減税となれば実務上は困難が山積しているという指摘もあります。実務家はどう捉えているのか、国税当局で消費税部門の統括官として勤務した経験のある能渡洋一税理士に聞きました。(ライター・拝田梓) ●ただでさえ軽減税率で複雑になっているのに… ――以前からくすぶっている消費減税という議論が、新型コロナウイルスによる足下の経済状況を見て今再燃していますが、軽減税率を導入し、さらに減税となれば、実務家にとっては大変だという声もあります。 税理士会としては、税率が違う消費税の導入は今も強く反対しています。経理担当、税理士がそう主張するのは、今すでに本則税率と軽減税率で区分しなければならないの