清原達郎さんの『わが投資術』を読む/遺言のような迫力、稀有の一冊/百瀬裕規・ベインキャピタル日本法人会長 2024年5月号 LIFE 私は清原さんと同じ野村證券出身、4年後輩に当たる。直接話したことはないが、伝説の投資家としてよく知っていた。彼は投資家として大成功を収め、2023年夏に引退し、筆を執った。とはいえ、成功者が都合の悪いところを覆い隠した自画自賛本ではない。40年に及ぶ投資家人生の成功も失敗も、全てを曝け出した作品だ。将来の投資家の役に立たんと使命感に駆られているかのようだ。新NISAが始まり、日経平均が史上最高値を更新する中で勃興して来る株式投資家に、自分の全てを伝授しようという、「遺言」のような迫力を持った稀有の一冊だ。世の中には証券会社出身なら株式のプロだと誤解している人が多い。かくいう私も証券会社に34年間在籍したが、全くプロではない。「株式は適当に良いと思う銘柄を買っ