サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
コーヒー沼
www.asiapress.org
2014年の自由権規約の日本報告書審査の際、「批判もする友人」として厳しい意見を述べた故ナイジェル・ロドリー議長。(撮影筆者) ◆「クリティカル・フレンド」(批判もする友人) 英語で「クリティカル・フレンド」(批判もする友人)という言葉がある。大事な友人が何か危険なことをして傷つきそうなときには警告する友人のことだ。特別報告者はそういうクリティカル・フレンドとして日本だけでなく多くの国に勧告を与えてきた。 連載1から見るfa-arrow-circle-right問題だらけの入管法改定案―政府は国連特別報告者からなぜ逃げるのか(1)国連共同書簡と筋違いな政府の反論 関連動画を見るfa-arrow-circle-right国連特別報告者の勧告の意義とは何か? 忠告してくれる友人に対して「私は悪くない、お前がおかしいのだ」という人がいたらどう思うだろうか? そういう人は、そのうち誰からも相手にさ
大阪堺市が拠点の維新の高木かおり議員。自身からの借入金返済に政党交付金を使った疑いが持ち上がっている。高木議員のHPより。 日本維新の会の高木かおり参議院議員が、政党交付金から高木議員自身の借入金の返済を行っていたことが、政治資金収支報告書などから明らかになった。政党交付金からの支出は法律で禁止されており違法である可能性が高い。(鈴木祐太) 関連記事fa-arrow-circle-right <維新とカネ>高木かおり参議院議員のデタラメ政治資金報告 人件費二重計上、「文通費」を流用 「説明も虚偽の疑い」と専門家 高木かおり議員は参院大阪選挙区選出だ。代表を務める「日本維新の会参議院大阪府第3選挙区支部」(以下、政党支部)は、議員となった2016年に1700万円を高木かおり議員自身から借り入した。その後、2016年のうちに約195万円、2017年、18年に650万円ずつ返済し、残りの約200
<コロナ死最悪の大阪>聞け! 保健所職員の悲痛な訴え 「救える命救えない」 「残業100時間超の人も」 と府職労委員長 ◆10万人あたりの職員数は全国最低水準 新型コロナウイルス感染の急拡大で、首都圏に続いて大阪・京都・兵庫、愛知、福岡など7府県にも緊急事態宣言が出された。崩壊の危機にあるのは医療現場だけではない。コロナ対応の最前線に立つ保健所も業務がひっ迫している。特に人口10万人あたりの職員数が全国最少の大阪府はより深刻で、「大阪府関係職員労働組合」(大阪府職労)委員長の小松康則さん(49)のもとには現場から悲痛な訴えが寄せられている。 (矢野宏・新聞うずみ火) 大阪府職労では「保健師、保健所職員を増やしてほしい」というオンライン署名を呼びかけてきた。小松さんは保健師らの声をツイッターで発信しており、年末年始にも切実な声が寄せられたという。 〈大みそかも出勤。出勤者全員で頑張ったけど、
◆コロナ雇用調整助成金の随意契約どうなってる? 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府はマスク配布や持続化給付金支給など多岐にわたる施策を実施、業務を外部発注した。事業の一つである「雇用調整助成金」が 公正に行われているかを確かめるため厚労省に情報公開を請求したが、法定の公開期限を4カ月過ぎても回答はない。これは違法状態である。専門家は「開示を意図的に遅らせている」と厳しく指摘している。(鈴木祐太) 筆者が加藤勝信厚生労働大臣(現・官房長官)に対して雇用調整助成金に関する情報公開請求を行ったのは、2020年6月29日(受付は6月30日)。業務を発注する業者との契約書や面談記録などの公開を求めた。 政府はコロナの感染拡大を受けて、雇用調整助成金の緊急対応などのためにコールセンターの開設、学校等休業助成金の受付センターの設置などの事業を企業と随意契約で実施した。その契約内容をチェックするの
大阪府守口市で散々問題になった旧庁舎のアスベスト(石綿)除去が6月23日に完了して4カ月あまり。しかし、じつはまだ積み残された問題がある。その1つが深刻な調査ミスをめぐる問題だ。(井部正之/アジアプレス) 見落とされていた壁の設備裏の吹き付けアスベスト。金属製のダクト周りにクロシドライト(青石綿)の吹き付け材がごっそり残る。4月の説明会で市が示した写真より ◆最も危険性の高いアスベストの取り残しが大量に 市は大阪メトロ谷町線の守口駅と隣接する旧庁舎(計4棟)を解体し再開発する計画だ。ところが、2018年12月7日の説明会でアスベストの調査や分析が不適切だったことが発覚。2019年1月に工事を停止した。 さらに説明会の前日からアスベストの除去を開始していたことが判明。専門的な知識を有する第三者機関による事前調査の検証を求める声が高まった。市は同2月、建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表
◆中国の弾圧逃れトルコへ、その後シリア入り 過激派組織「イスラム国」(IS)には多くの国から外国人戦闘員が加わった。欧米人だけでなく、アジア系も少なくない。シリア北東部にある拘置所には、シリア民主軍(SDF)が拘束した元戦闘員ら900人が収容されている。 昨年10月、拘置所を訪ねた。自動小銃を携えた看守が面会室に連れてきたのは中国・ウルムチ出身のウイグル人(35)だった。 彼は私を見るなり、顔をこわばらせた。中国当局の捜査官と思ったらしい。パスポートや記者証を見せて日本の記者であることを説明すると、取材には応じるが顔だけは撮らないで、と英語で話した。IS内部での呼び名、アブ・バクルとだけ名乗った。
日本維新の会の高木かおり参議院議員が、政治資金収支報告書に記載している人件費の全額を、政党交付金で賄っていると使途報告しているにもかかわらず、文書通信交通滞在費からも人件費として使途報告をしていることが分かった。高木議員が代表を務める「日本維新の会参議院大阪府第3選挙区支部」(以下、維新政党支部)の政治資金収支報告書や政党交付金使途報告書などを分析して明らかになった。高木かおり事務所に問い合わせると、「組織活動費と書くべきところを記載ミスした」と回答したが、その組織活動費もまた、全額を政党交付金で賄っている上、文書通信交通滞在費の出費として、二重計上していることが分かった。このでたらめさなんなのだろうか?(鈴木祐太) ■政党交付金で人件費を全部賄っていると思ったら… 高木議員が代表を務める大阪府の維新政党支部の政治資金収支報告書を見ると、人件費を2017年には431万4408円、2018年
「桜を見る会」は、総理大臣が主催し国民の税金で費用が賄われてきた。第二次安倍内閣になり、安倍晋三後援会員らも招待したため、過去5年間で1億5千万円超も予算超過した。国に損害を与えたとして、主催者の安倍首相は背任罪の疑いで東京地検に告発されたが、2度とも不受理となった。「代理人による告発は認められない」というのがその理由。告発人の憲法学者は「告発権の侵害だ」と検察庁を強く批判する。(鈴木祐太) 「桜を見る会」をめぐって、安倍首相を背任罪で東京地検に告発したのは、神戸学院大学法学部の上脇博之教授ら13人。最初に告発したのは1月14日だったが、東京地検が不受理を決めたのは約2週間後の1月31日。奇しくもこの日は、黒川弘務前検事長の定年延長が朝の閣議で決定された日だった。 さらに、上脇博之教授らは代理人弁護士と協議して意見書を付けた上で3月9日に再度、東京地検に告発状を提出したが、4月6日付で再び
◆政治資金規正法違反の可能性 2019年の7月の参議院選挙に東京選挙区で日本維新の会から立候補し初当選した音喜多駿(おときたしゅん)議員は、その前年、クラウドファンディングで新党立ち上げ資金を募り、「あたらしい党」を設立していた。しかし、情報公開を徹底するという党是に反しその資金収支の透明性はなく、虚偽記載など違法の可能性があることが政治資金収支報告書を分析した結果、判明した。(鈴木祐太) ◆新党立ち上げで支援募り個人後援会の収入に 音喜多議員は、東京都議会議員時代の2018年9月に「キャンプファイヤー(CAMP FIRE)」でクラウドファンディングを行った。そのキャンペーンページを見ると、2018年9月10日から10月10日の期間に、「あたらしい政党を作って、日本の政治を本気で変えたい!音喜多新党を立ち上げます」と題して、1187万6833円の新党結成資金を集めていた。このうち、手数料と
志村けんさんの死はイランメディアでも報道した。「日本のコメディアン、コロナにより死去」。(イランPANA通信のサイトより) ◆「だいじょうぶだぁ」で乗り切った日本の辛い日々 3月29日、新型コロナウイルス肺炎で亡くなった志村けんさん。彼の死は日本人だけでなく、外国人のあいだでも大きな衝撃が広がっている。特に約30年前、出稼ぎや留学で来日した数万のパキスタン人、イラン人にとって志村さんは絶大な人気があった。彼はどんな存在だったのか。3人に思いを聞いた(聞き手:玉本英子/アジアプレス)
◆森大臣は福島県選出だが…7社から少なくとも413万円 東日本大震災の被災地の一つ福島県が選挙区である森雅子法務大臣が代表を務める政治団体「自由民主党福島県参議院選挙区第4支部」が、東日本大震災復興特別会計を財源とした公共事業を請け負った企業から2012年以降6年間に413万円の企業献金を受け取っていることが、政治資金収支報告書と復興庁が公表している資料を照合した結果分かった。(鈴木祐太) 森雅子法務大臣が代表を務める政治団体「自由民主党福島県参議院選挙区第4支部」(正式には大臣の本名である三好雅子氏が代表、以下、政党支部)は、2012年から2017年の間に、東日本大震災復興特別会計(以下、震災特別会計)を財源とした公共事業を請け負った企業7社から、少なくても413万円の企業献金を受け取っていた。復興庁がホームページで公表している行政レビューと森雅子大臣の政党支部の政治資金収支報告書を照合
女優が学生を指導しているとされる写真。よく見るとマスクの大きさと位置がぎこちない。内閣機関紙の民主朝鮮より引用 2月中旬以降に北朝鮮の官営メディアに掲載された記事に掲載された公共の場所でマスクを着用している写真の中に、いくつもの合成写真が含まれていることがわかったと、北朝鮮ニュース専門ウェブサイト「NKニュース」が3月6日に報じた。 「NKニュース」が一例として取り上げのは、北朝鮮内閣の機関紙「民主朝鮮」が2月に掲載した写真。女優のキム・ジョンファ氏が、医療用マスクをつけて平壌演劇映画大学の学生を指導している様子が写っている。 写真では学生らしき4人もマスクを着用しているが、いかにも稚拙に加工された写真のようである。 この写真について、韓国メディアの中からは「マスク不足を示すもの」という指摘が出ているが、記事を書いた「NKニュース」のコリン・ズヴィルコ記者の見解は異なる。 「2月初旬以降、
大阪市長就任2周年記念パーティであいさつする吉村洋文氏。この翌年の2019年、「維新の党略選挙」と批判を浴びた「大阪ダブル選挙」で府知事に当選した。写真は公式HPより。 吉村洋文大阪府知事が、大阪市長時代の2016年に開いた政治資金パーティで、大阪市と契約関係にある企業にパーティ券を購入してもらっていたことが、大阪市の資料や吉村知事が関連する政治団体の政治資金収支報告書などを調査した結果、判明した。さらに、パーティ券の購入が、事実上の政治献金に該当する可能性があるケースもあったことも、購入企業への調査から判明した。(鈴木祐太) 吉村洋文氏が代表を務める政治団体「吉村洋文後援会」は、2016年11月14日「市長就任1周年記念パーティ」をリーガロイヤルホテル(大阪市北区)で開催した。「吉村洋文後援会」の政治資金収支報告書によると、このパーティで1775人がパーティ券を購入し2647万5千円の収
国会議員に毎月100万円が支給される文書通信交通滞在費(以下、「文通費」)を、自らの政治団体に入れ、自らに領収証を発行する「セルフ領収書」問題。日本維新の会の石井苗子(みつこ)参議院議員が、用途が定められ人件費に使うことができない「文通費」から、2017年以降に2700万円を超える人件費を払っていたことが明らかになった。専門家は「違法な目的外支出」と指摘している。(鈴木祐太) ◆なんと84%以上が違法支出の疑い 日本維新の会が公表している「文通費」の使途報告書によると、石井議員は2017年以降、「文通費」から直接人件費(賞与、社会保障費を含む)を払った額が165万円と記載されている。さらに自身が代表を務める「日本維新の会参議院比例区第38支部」(以下、政党支部)に寄付をした後、人件費として支払った額は1224万4717円に上る。また、同じく自身が代表を務める政治団体「石井苗子ときぼうの会」
(参考写真) 手帳をめくりながら携帯電話を使う男性。平壌市の中心部のモラン区域で。2011年6月に撮影ク・グァンホ 北朝鮮でも他人名義で購入された、いわゆる「飛ばし携帯」を使う者人が大勢いた。誰が会話の主なのかを把握できない事態に業を煮やした当局が、ついに取り締まりに本腰を入れ、実際の使用者を確認する集中調査を始めた。11月中旬、北朝鮮に住む取材協力者が伝えてきた。(カン・ジウォン/石丸次郎) [関連写真を見る] 警官突き飛ばすなど当局に抵抗する女性たちの姿撮った(10枚) 協力者によると、携帯電話の実名制の徹底措置は10月から本格化した。まず始まったのは一人1台原則の徹底だ。北朝鮮では地方をカバーするカンソンネットと、平壌中心のコリョリンクの二つの電話網がある。商用などで使い分けるために端末を2~3台持ち歩く人がいたが、一人1台の原則が徹底されることになった。「追加の端末を使いたくても、
『暗黒日記』(岩波書店)は、戦前に活躍した外交評論家、清沢洌(きよさわ・きよし)が太平洋戦争中に書き残した日記。彼の分析は、戦時中の日本にあふれた誤った思考傾向を、鋭くえぐっている。 清沢洌(きよさわ・きよし)は、戦前に活躍した外交評論家である。日米関係を中心に、外交問題を自由主義的な立場から批評し続けた。その清沢の著作の中で、今も広く読まれているのが、死後に刊行された『暗黒日記』だ。清沢が太平洋戦争中に書き残した日記である。(加藤直樹) 日米開戦の1年後、1942年12月から始まり、急性肺炎で50年の生涯を終えた45年5月まで書き続けられた。戦時下の政府やメディアの論調、社会の雰囲気などを観察、批評したもので、彼はこれを、戦争が終わった後に日本の外交政策を検証するための資料としてまとめていた。 『暗黒日記』が今も読まれているのは、当時の人々の認識や思考を鮮明に切り取っているからだ。清沢は
◆「輸出規制は対抗措置」と報じた読売新聞 日本政府が韓国への輸出規制強化を始めることを最初に報じたのは、7月1日付の読売新聞朝刊だった。「韓国へ半導体材料禁輸/徴用工問題に『対抗措置』/政府方針」という見出しの下、本文は次のように始まる。「日本政府は韓国に対し、半導体製造などに必要な化学製品の輸出管理を強化する。実質的には禁輸措置となり、半導体を主要産業とする韓国経済に大きな打撃となるとみられる」。重要なのはその次の一文だ。「韓国人元徴用工訴訟を巡る問題で解決に向けた対応を見せない韓国への事実上の対抗措置となる」。読売は同日の夕刊でも「日本政府の徴用工訴訟を巡る事実上の対抗措置を受けて…」と地の文で書いている。(加藤直樹) 【関連写真を見る】嫌韓ヘイトスピーチとカウンター行動の様子(6枚) 翌日の産経新聞朝刊は、「対韓輸出規制を強化/徴用工対抗/政府が正式発表」という見出しを掲げ、「いわゆ
◆「在日同胞を騙して帰国」は虚偽と主張 朝鮮総連の代表者が、5月28日に東京のNHK本局を訪れ、在日朝鮮人の帰国事業を扱った番組を「虚偽とねつ造宣伝だ」と抗議していたことが分かった。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」が5月31日付のウェブ版(朝鮮語)で報じた。(石丸次郎) 【写真特集】北朝鮮に渡った「在日」の苦難の姿 貧困にあえぐ日本人妻も(7枚) 総連が抗議したのは、25日にETV特集で放送された「北朝鮮帰国事業 60年後の証言」という番組。1959年に始まった在日朝鮮人の帰国事業では、25年間に9万3340人(日本国籍者約6800人含む)が北朝鮮に渡ったが、帰国後の境遇については、詳細はほとんど知られておらず、生死や消息が不明のままの人も多い。 番組は韓国と日本に住む脱北した元帰国者のインタビューなどをまとめたもので、帰国事業を進めた当時の金日成政権と朝鮮総連による虚偽の宣伝に騙されたと、元
◆「朝鮮人暴動」を伝える流言記事が「証拠」 前回の記事(1月19日「日本版『否定と肯定』裁判で問われた南京事件」)で、歴史学者がホロコースト(ナチスドイツのユダヤ人虐殺)否定論者に訴えられたという実話に基づく法廷劇を描いたイギリス映画『否定と肯定』を紹介し、それを地で行くような裁判が、日本でも南京事件の生存者の証言をめぐって起きていたという話を書いた。 まともな歴史学の見地からは否定しようがない史実を史料の歪曲や曲解、果ては捏造によって否定しようとする試みを「歴史修正主義」と呼ぶ。歴史修正主義の内実がいかにデタラメでなものであるかを、私が身にしみて痛感したのは、自分の関心領域である関東大震災時の朝鮮人虐殺についての否定論について検証してみたときだった。 「朝鮮人虐殺などなかった」という主張は、2009年に出版された工藤美代子『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』(産経新聞出版)に始まる。14年
東京・隅田川にかかる永代橋。関東大震災の3日後、ここで約30人の朝鮮人が軍人、警官、群衆によって殺害されたことが戒厳司令部によって記録されている。(撮影:筆者) ◆虐殺の史実を否定する人々 1923年(大正12年)9月、関東大震災の発生直後、「朝鮮人が暴動を起こしている」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といった流言が広がるなか、多くの朝鮮人が日本の自警団や軍の部隊によって虐殺された。犠牲者数は確かではないが、数千人に上ると見られている。 ところがこの史実を否定する人々がいる。「朝鮮人虐殺などなかった」というのである。正確に言えば、「朝鮮人が暴動を起こし、井戸に毒を入れたというのは事実だった。自警団が朝鮮人を殺したのはそれに対する正当防衛であって、虐殺と呼ばれるべきではない」というのが彼らの主張だ。「14万人の日本人が朝鮮人の放火で殺された」などというめちゃくちゃな主張さえ、インターネットでは見
◆17歳の青年検挙きっかけに大捜査始まる 金正恩政権は、密かに流入する韓国のドラマや映画の視聴や流通を厳格に取り締まっているが、昨年韓国で大ヒットした映画を密かに見ていた若者が摘発され、公安当局を慌てさせている。 【関連写真を見る】 韓国映画拡散で大捜査が始まった茂山郡の様子(7枚) 事件は北部咸鏡北道(ハムギョンプクド)の茂山(ムサン)郡で3月初旬に発生した。茂山郡に住む取材協力者は、まず次のように伝えてきた。 「高等中学校(日本の高校に該当)を卒業したばかりの17歳の青年が、韓国映画の映像データを友人に貸したことがばれて検挙された。しかし、他の韓国映画やドラマの視聴事件と違って当局の捜査がすごく大がかりで、映画の入手経路、映画を見た人間の摘発が続いている」 いったい、どんな映画だったのだろうか? この協力者は、質問に次のように答えた。 「『タクシー運転手』という映画だ。私は見ていないん
2009年に墨田区に建てられた「関東大震災時 韓国・朝鮮人殉難者追悼之碑」は、地域の人の協力も得て、きれいに護られている(2013年 撮影:yekava roboto) ◆「私の祖父はあの時、刺されました」 今日は9月1日。1923年の関東大震災から95年が経ったことになる。 私が関東大震災時の朝鮮人虐殺を描いた『九月、東京の路上で』を刊行したのは、2014年3月のことだが、その翌年、横浜で講演する機会があった。話し終えて片付けをしていると、小柄なおばあさんが近づいてきて、穏やかな表情のままで、こう語った。 写真特集:関東大震災の虐殺事件現場を行く(写真9枚) 「私の祖父はあのとき、トビ口でここを刺されました」 「あのとき」とはもちろん、関東大震災時のことだ。そして、「ここ」とは後頭部のこと。彼女はそのとき、人差し指で自分の後頭部をトントンとたたきながら「ここ」と示したのである。 「奇跡的
北朝鮮に渡って間もない頃の福岡出身のある「在日」家族。後列中央の李紀子さんだけが韓国入りを果たした。1960年代初頭(アジアプレス) ◆「家族を脱北させたいので助けて」 北朝鮮による突然の核実験から間もない2016年1月中旬。韓国から聞き覚えの無い男性の声で電話がかかって来た。自分は数年前に韓国に来た脱北者で、北朝鮮に残してきた家族を何とかして探して連れて来たい。ついては手助けをしてほしい、と言うのだった。私の連絡先は脱北者の知人から聞いたという。 このような「離散家族探し」、「脱北幇助」を頼まれることが、年に何回かある。だが、私は一介のフリージャーナリストにすぎず、そんな力もないし、もちろん金もない。どこかの筋の「引っ掛け」かもしれないという警戒もあって、このような連絡がある度に憂鬱になる。だが、連絡してくる人たちは藁にもすがる思いに違いないので、無下に断るわけにもいかない。 その男性に
1923年に起きた関東大震災。一部の地域では中国人労働者も襲撃対象となっていたことはあまり知られていない。その中国人虐殺現場近くで(東京都江東区大島で2013年9月撮影・yekava roboto) 1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災は死者10万5000人という惨事となった。その直後、混乱の中で、「自警団」と呼ばれる一般の人々や軍の一部によって数千人ともいわれる朝鮮人が虐殺された事実は、中学の教科書にも記載されている。ネットで読める資料としては、内閣府中央防災会議のHPで閲覧できる報告書「1923関東大震災第2編」の第4章が正確でコンパクトだ。 虐殺の引き金となったのは、「朝鮮人が井戸に毒を投げた」「朝鮮人が暴動を起こした」といった流言蜚語だった。それを信じた人々が、朝鮮人を襲ったのである。流言蜚語も虐殺も、もともとあった民族差別の産物だった。 ところでこのとき、一部の地域
■「内戦」~ネオナチやフーリガン 社会に忍び寄るある種の状況を、詩人の言葉で表現 新聞やネットで日本の政治状況に触れるたびに「もはや底が抜けている」と感じている人は少なくないのではないか。最近、しきりに思い出されるのが、戦後ドイツを代表する詩人・批評家であるエンツェンスベルガーが冷戦終結直後の1993年に書いた『冷戦から内戦へ』(晶文社)というエッセイだ。(加藤直樹) タイトルの通り、「内戦」についての考察である。だがエンツェンスベルガーが取り上げる「内戦」は、当時、多発していた民族紛争だけを指しているのではない。ドイツのネオナチやフーリガンまでを「内戦」という言葉で論じている。つまり彼が言う「内戦」とは、文字通りのそれではなく、社会に忍び寄るある種の状況を、詩人の言葉で表現したものだ。 彼は、そうした意味での現代の「内戦」の担い手の特徴を、「自己閉鎖」「自己喪失・信念喪失」「自己破壊」の
埼玉県寄居町に残る具学永さんの墓。関東大震災(1923年)の6日後、アメ売りであった具さんは、「朝鮮人暴動」の流言を信じた人々によって襲撃を受け、殺害された。28歳だった。(2018年6月撮影・加藤直樹) 大阪北部地震が発生した6月18日、法務省人権擁護局のアカウントが「災害発生時には…差別や偏見をあおる意図で虚偽の情報が投稿されている可能性」があるとして注意を呼びかけるツイートを行った。NHKテレビでも同日、「在日外国人などへの差別をあおるような投稿」「うそ」への注意をうながす報道を行った。朝日新聞は21日、「ヘイトデマ 許さないを着実に」と題した社説を掲載し、行政やSNSの運営会社に差別デマへの対応を求めた。さらに23日には産経も社説で「外国人に対する偏見、差別」を煽るデマを非難した。これまでなかったことである。(加藤直樹) 災害発生時には、外国人などのマイノリティーに対して犯罪者やテ
南アフリカの多様性が凝縮された、南アフリカで聴く虹色の歌声 ケープタウン・ジャズ・フェスティバル(岩崎有一)<ひと握りのアフリカ -10> 断崖が続く喜望峰、味も景観もすばらしいワイナリー、手軽に楽しめるサファリツアーなど、南アフリカ共和国(以下南ア)の観光資源は枚挙にいとまがないが、南アの魅力は自然美だけではない。様々に異なる人々が共に暮らす姿もまた、この国を特徴付ける大切な魅力のひとつだ。南アの多様さを確かめたく、2つのコンサートを訪ねた。連載最終回。(岩崎有一・アジアプレス) 南ア南端の都市ケープタウンで年に1度開かれる、ケープタウン・インターナショナル・ジャズフェスティバル(以下CTIJF)は、音楽祭としてはアフリカ最大の観客数を誇る催しだ。2000年に始まったこのフェスティバルでは、南ア国内だけでなく、アフリカ各地から、そして世界各地からのアーティストが集まり、音楽が奏でられてい
イランでいま、日本のテレビアニメ『アルスラーン戦記』が若者たちのあいだでひそかな人気となっている。田中芳樹氏原作のファンタジー小説をもとにした作 品で、舞台は古代イランを想定したパルス王国。敗軍の将となり、国を負われた14才の無力な王太子アルスラーンが、仲間とともに数々の死地を乗り越え、敵 国ルシタニアによって陥落した王都エクバターナの奪還を目指す壮大な物語だ。土地、人名、その他の多くの用語にイランの言葉であるペルシャ語が盛り込ま れ、いにしえの英雄叙事詩を彷彿とさせる。(大村一朗) 『アルスラーン戦記』25話すべてがペルシャ語字幕付きでアップロードされているイランのアニメ動画サイト。ダウンロード自体は無料だが、1話をダウンロードするのに何時間もかかる上、データ通信量を消費するため、ユーザーはコメント欄をよく読み、面白いかどうかを見極めた上でダウンロードに着手する。 ◆描かれることのない古
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『アジアプレス・インターナショナル』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く