■背景新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界的な感染拡大を背景に、国内ではPCR法による検査が行われてきた。この方法は遺伝子の増幅を行う検査であるが、結果が出るまでに時間を要する。検査も煩雑で、設備や機器も必要となる。そのため、簡便で迅速な検査方法のニーズが高まってきた。そんななか、多くの民間企業や研究所が新型コロナウイルスの簡便な検査方法や試薬の開発を進めている。 現在、開発・販売され始めた検査キットの中に「イムノクロマトグラフィー法」を原理としたものがある。以前から、細菌感染やウイルス感染の有無を判定する際に利用されている方法である。 ■ウイルス感染による血清抗体ウイルス抗体検査では感染初期に出現するIgM抗体検出、既往の感染有無にはIgG抗体検出が有用となる。感染時に体内で生成される抗体を検出することにより、感染初期の患者に対しても判定が可能である。ウイルス感染後に産生され