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ブックマーク / kasasora.hatenablog.com (4)

  • わたしの中のかわいい女 - 傘をひらいて、空を

    このところわたしばかりが仕事を休んでいる。 幼児は熱を出すものだ。ここ半年は誇張でなく隔週ペースである。そうなると親が仕事を休まざるをえない。そしてこのところそれを担当するのがわたしばかりなのである。 結婚話が出たときに、わたしは夫と家事子育ての話をした。夫はもともと自分のことは全部自分でする。しかしわたしは、フルタイムで働く女たちの夫が家事育児をせず、その結果、けんかしたり(意外と少ない)、我慢したあげくにキレたり(けっこういる)、女友達に愚痴を言いながらなぜか家事は引き続き全部していたり(これが多数派)するのを、さんざっぱら見てきたのである。 わたしはそんなのはぜったいにいやだった。「夫を育てる」みたいなのも冗談じゃなかった。わたしは「夫」がほしかったことなど一度もなかった。一緒に楽しく暮らすための努力を二人ともができる、そういう相手がいたから、はじめて結婚のオファーを検討したのだ。

    わたしの中のかわいい女 - 傘をひらいて、空を
    studymonster
    studymonster 2023/10/25
    これを読んで、私の中には「インストールされた女像」なるものがいないことを知った。知らないうちにアンインストールしてしまったんだろうか。
  • あなたのことは好きじゃなかった - 傘をひらいて、空を

    疫病が流行しているのでよぶんな外出を控えるようにという通達が出された。現在はワクチンがある程度いきわたり、感染者数がかなり減って、みんななんとなくうきうきしている。それでわたしも連休に帰省することにした。 わたしの地元では「東京で働いている娘が来て感染させた」となったら家族にものすごく迷惑がかかりそうで、帰省を控えていた。県の中核都市だから、知らない人もいっぱい歩いていて、娘が帰省したからその親が村八分になるみたいなことはないんだけど、それでもやっぱり、わたしはずっと、自分が生まれた町に帰れなかった。 わたしの生まれた家にはわたしの両親が住んでいる。両親は疫病前から家を売ってマンションに住もうという話をしていて、だからわたしは自分の生まれた家にお別れするつもりで来ていた。妹は県内に住んでいるからしょっちゅうこの家に来ているし、両親にも会っている。そんなわけでわたしだけがちょっとセンチメンタ

    あなたのことは好きじゃなかった - 傘をひらいて、空を
    studymonster
    studymonster 2021/11/03
    この方の小説は本当にそういうことってありそうという生々しさに溢れてる。
  • 主人は子煩悩じゃありませんから - 傘をひらいて、空を

    子どもたちがいっせいに笑った。読み聞かせが受けたらしい。読んでいるのはわたしの夫である。保護者会の後に子どもたちと保護者たちの交流の時間があって、その一環として読み聞かせの場がセッティングされ、わたしの夫が立候補したのだった。わたしがにこにこしてそれを見守っていると、顔見知りの保護者が、あらあ、と言った。レイカちゃんパパはほんとに子煩悩でいらして。ねえ。ほんとにねえ。 わたしはその保護者の名前を思い出す。沢田さん、と言う。こんにちはと言う。沢田さんは話し続ける。 レイカちゃんパパみたいな方、最近はいらっしゃるのよね。うちはそういうんじゃないから。主人ともよくそういう話してるんですよ。ほんとうにね、レイカちゃんパパは、子煩悩でいらっしゃって。 わたしの夫は娘を好きです。わたしはそう言う。そして混乱する。なんだろう、この人、何か、いやな感じがするんだけれど、それはなぜだろう。わたしの知らないと

    主人は子煩悩じゃありませんから - 傘をひらいて、空を
    studymonster
    studymonster 2019/10/09
    うちの夫が所謂「子煩悩」なので、わかるわかる!と思って読んだ。トップブコメの指摘もとてもよくわかる。/相変わらず人の複雑な感情を物語に落とし込むのが上手い方だ。
  • セフレですよ、不倫ですよ、ねえ、最低でしょ - 傘をひらいて、空を

    仕事の都合で別の業種の女性と幾度か会った。弊社の人間が、と彼女は言った。弊社の人間が幾人かマキノさんをお呼びしたいというので、飲み会にいらしてください。 私は出かけていった。私は知らない人にかこまれるのが嫌いではない。知らない人は意味のわからないことをするのでその意味を考えると少し楽しいし、「世の中にはいろいろな人がいる」と思うとなんだか安心する。たいていはその場かぎりだから気も楽だし。 彼らは声と身振りが大きく、話しぶりが流暢で、たいそう親しい者同士みたいな雰囲気を醸し出していた。私を連れてきた女性はあっというまにその場にすっぽりはまりこんだ。私は感心した。彼女は私とふたりのときには同僚たちに対していささかの冷淡さを感じさせる話しかたをしていた。 どちらがほんとうということもあるまい。さっとなじんで、ぱっと出る。そういうことができるのである。人に向ける顔にバリエーションがあるのだ。私は自

    セフレですよ、不倫ですよ、ねえ、最低でしょ - 傘をひらいて、空を
    studymonster
    studymonster 2019/09/18
    セフレだから不倫だからではなく、恋人との夜の秘め事を酒のつまみに消費するために語る人たちって嫌だなぁと感じるんだけど、仕事上の付き合いとはいえ『マキノさん』そういうのを面白いと思うキャラだったのか。
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