HDDは物理的な衝撃に対して非常にもろいと言われる。その理由は,磁性体を塗ったプラッタ上を磁気ヘッドが移動するという,HDDの構造にある。 HDDに衝撃が加わると,データを読み取る磁気ヘッドがボヨヨ~ンと震え,プラッタ(円盤)を叩く。これをヘッドスラップと呼ぶ。ヘッドスラップが起きると,プラッタ上にある「0」「1」を記録する磁性体が磁気ヘッドに付着する。プラッタ側も,わずかだが磁性体が荒れた状態になる。こうなると,この部分ではデータの読み書きができなくなる。磁気ヘッドとプラッタの間の距離は10nm程度の隙間しかないから,机の上で倒すといった程度のわずかな衝撃でも,この現象は起こりえるのである(図1)。 とはいえ,これだけですぐに支障が出るわけではないというのが,やっかいなところだ。HDDは検出回路や補正回路などエラー訂正の機構を持っている。そのため,プラッタ上の1点が破損しても,エラーが訂