『異世界』。今や、少しなりともライトノベルや新文芸を齧っている人間なら、食傷気味ですらあるかもしれない言葉である。しかしこの度、或る意味で全ての『異世界』を過去にする衝撃の作品が書籍化されたのでこれはレビューをしなければ、と筆を執った。 そのタイトルは『偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ』である。昨今はタイトルで釣る作品が増えているとはいえ、この時点で衝撃的である。なにしろ、偏差値10だ。下手をすると偏差値70より取るのが難しい。一筋縄ではいかないことがよくわかる。そして、『い世界』である。異世界の異の字が書けていない。そう、この時点で『異世界』は過去のものとなったのだ。 まず初めに、断っておかなくてはならないことがある。自分は、少なくともこの作品について公平無私なレビュアーではない。自分と作者のロリバス氏はTwitter上であんまり喋ったことはないけど同じ町内会、くらいの繋が