日本人はなぜか、もともとあまり腹を立てない民族です。我慢することには長けているけれど、感情を爆発させるのはそれほど得意ではない。そういうところはあるいは、バルセロナ市民とは少し違っているかもしれません。でも今回は、さすがの日本国民も真剣に腹を立てることでしょう。 しかしそれと同時に我々は、そのような歪んだ構造の存在をこれまで許してきた、あるいは黙認してきた我々自身をも、糾弾しなくてはならないでしょう。今回の事態は、我々の倫理や規範に深くかかわる問題であるからです。 ご存じのように、我々日本人は歴史上唯一、核爆弾を投下された経験を持つ国民です。1945年8月、広島と長崎という二つの都市に、米軍の爆撃機によって原子爆弾が投下され、合わせて20万を超す人命が失われました。死者のほとんどが非武装の一般市民でした。しかしここでは、その是非を問うことはしません。 僕がここで言いたいのは、爆撃直後の20
<この国はどこへ行こうとしているのか> ◇科学技術に退歩はない--文芸評論家・吉本隆明さん(86) 雨がポツリポツリと降るなか、路地奥の行き止まりに自宅はあった。案内されて和室で座布団に座ると、隣には白い猫が1匹。吉本さんは四つんばいで現れた。糖尿病や前立腺肥大、足腰の衰えなどで、体が不自由な状態にある。日本の言論界を長年リードした「戦後最大の思想家」は、そのまま頭が床につくくらい丁寧なお辞儀をした。白内障の目はこちらをまっすぐ見つめていた。 東日本大震災の取材で歩いた現場を「焼け野原にも似た光景でした」と伝えると、聞こえにくくなったという耳に神経を集中させていた吉本さんは静かに語り出した。「おっしゃったような光景から東京大空襲を思い出します。友達を捜すために焼け野原を歩きました。煙に目をやられた人々がトボトボ歩き、周囲には遺体が転がっているだけでどうにもならない。逃げた方向によって全滅に
「家族により多くの時間を充てる時期が来たと判断した」。日本板硝子のスチュアート・チェンバース社長は26日の会見で、辞任に至った経緯を説明した。「家族のため」を理由に退任するというグローバル企業トップの決断は日本のビジネス社会に一石を投じそうだ。 チェンバース氏によると、辞任を決意したのは8月初め。夏期休暇中に英国に住む16歳の長男と会った際、「このままでは見知らぬ他人のような関係のまま、もうすぐ独立する息子と別れることになる」と感じ、10日に藤本勝司会長に辞意を伝えたという。チェンバース氏は就任以来、月の半分を単身赴任の東京、4分の1を英国、残りを他の海外出張に充てる生活が続き「家族との時間がほとんど持てなかった」と説明。「日本の古典的サラリーマンは会社第一で、家族は二の次だが、私にはそれはできなかった」と語った。今後、企業経営に携わることはなく経済界からリタイアするという。藤本会長は、「
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