7月24日、東日本大震災の被災地3県を除く全国44都道府県で、アナログテレビ放送が終了した。視聴者はテレビというメディアのデジタル化をどのように理解し、節目となるこの日をどのように迎えたのか。独自に調査を実施した東海大学文学部教授 水島久光氏に、ご寄稿をいただいた。前後編に分けて掲載する。(編集部) 技術―ラチェットと連続性 2008年に『テレビジョン・クライシス』(せりか書房)という本を書いた。その原稿を編集者とやり取りしているときから、僕は「この本の賞味期限は、2011年の7月24日までだからね」と半ば冗談っぽく言い続けてきた。 僕は単純に技術決定論の立場をとるわけではない。しかし"決定的"とまではいわないが、とりわけコミュニケーションやメディアの問題を考えるとき、それがどんなテクノロジーに支えられているかは、かなり重要な意味をもつ。テレビをはじめとするマスメディアには、その機能を発揮