「人生で、一番死に近付いた瞬間ってある?」 いつだったか、友人との他愛ない会話でそんな話をした。わたしには、そんな会話の拍子にふと思い出す出来事がある。 「お人形さん事件」小学2年生の頃。 友人の住むアパートにある階段で、わたしは友人と人形遊びをしていた。すると後ろから「混ぜてよ」と声がした。 振り返ると、黄色いサングラスをかけた30代くらいの男がいた。 「お人形さんだよ」 男はわたしの手をぐいっと引っ張り、男のジーパンのチャックから飛び出ていた黒いものにわたしの手をあてがった。 その出来事があってからしばらく、わたしは小学校からの下校時に、男に待ち伏せされるようになった。出会ったら全速力で家に逃げ帰ったし、自宅のアパートの前や、自宅に続く階段に男がいるのを遠くから視認したときは、なるべくその道を通らないようにして帰っていた。 ある日、いつものように自宅のアパートの階段を上がっていると、「
![元被害者が小児性愛障害者と対峙して|池澤 あやか](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/92fc45dc57889dd235ecc7165bcaa708d3115e40/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F17026279%2Frectangle_large_type_2_812308a3a63977219fa6139dcf10ee33.png%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)