政府はマイナ保険証の普及を目指し、利用者の増えた医療機関に支援金を出す方針を示した。一方、河野太郎デジタル相はマイナ保険証が使えない医療機関の通報を促す文書を配布した。利用率が低迷する中、医療機関に狙いを定めたアメとムチ。残念な過去とも重なるが、そもそも政府が今やるべき仕事はこんなことなのか。(森本智之)
リニア中央新幹線の静岡工区着工を認めていない静岡県の川勝平太知事の辞意表明を受け、工事進展への期待感が広がっている。しかし大井川の流量減少や南アルプスの生態系への影響など、県が懸念する課題は残されたまま。そもそも工事は沿線各地で予定通りに進んでおらず、静岡だけのせいにするのはお門違いだ。知事が言うように「立ち止まって考えざるを得ない」のではないか。(岸本拓也、宮畑譲)
22日の都感染症対策連絡会議で報告があった。2024年の患者は17日時点で88人。141人だった23年と比べ3倍のペースで感染が確認されている。23年は約3割の42人が死亡した。 病原菌は、子どもを中心に流行する「A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)」のほか、B群、C群などがある。手足の痛みや発熱から始まり、症状が急激に進行する。数十時間以内に多臓器不全を発症する。手足の壊死(えし)を引き起こすこともあるため「人食いバクテリア」とも呼ばれる。発症のメカニズムは解明されていない。 都によると、患者は40代が多く、23年に子どもを中心に流行した溶連菌感染症から大人に感染するなどした可能性があるという。英国で10年代から増えている感染力の強い変異株「M1UK株」への置き換わりも感染拡大の要因とみている。都は感染の傾向を分析し、医療機関向けの対応ガイドライン改定を進めている。(渡辺真由子)
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、不記載が5年間で総額約13億5000万円もあった安倍派の幹部4人が出席した1日の衆院政治倫理審査会。いつ裏金づくりが始まり、なぜやめられなかったのか。国民が抱く不信と疑念に対し、4人は「反省」を口にしたが、詳細は「知らない」「存じ上げない」と異口同音に繰り返した。裏金を国会の議員事務所で保管して秘書の判断で支出していたのに、納税を否定するなど、国民感情を逆なでするような責任逃れの弁明が相次いだ。(井上峻輔) 裏金づくりがいつから始まったかについて、安倍派で事務総長を務めた西村康稔前経済産業相は「歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に扱ってきたことだ。判然としない」と回答。塩谷立元文部科学相も「二十数年前から始まったのではないかと思うが、明確な経緯は承知していない」と述べるにとどめた。
他人の情報を誤ってひもづけするなどのトラブルが相次ぐ「マイナ保険証」。政府は来年秋に現行の健康保険証を廃止する方針だが、当初は選択制にして併存させようとしていた。 それがなぜ「廃止」になったのか。24日から与野党の論戦が始まった臨時国会で、立憲民主党などは廃止の延期を求めるとともに、廃止に至った経緯も徹底追及する構えだ。(長久保宏美)
木原稔防衛相は17日の閣議後会見で、衆院長崎4区補欠選挙で自民党候補を応援することが自衛隊の苦労に報いることになると訴えた自身の発言について「自衛隊を政治的に利用する趣旨は全くない」と述べ、閣僚を辞任する考えはないと強調した。 木原氏は「自衛隊ならびにご家族に対してそのご苦労に報いることになる」との自らの発言について、誤解を生みかねないため、撤回したと説明。「全体の文脈とすれば自衛隊の中立性を損なうものではなく、あくまで自衛官とその家族への敬意と感謝を申し上げた。自衛官に、誰々に投票してくれという趣旨でもない」と釈明した。 記者団から閣僚を辞任する考えがないかを問われたのに対しては「重要課題にあたることが責務と考えており、緊張感をもって職務にあたりたい」と話し、辞任を否定した。衆院補選に与える影響については「誤解に基づいた投票行為がないことを願うばかり」と述べ、政権運営への影響は「私の考え
性暴力被害が虚偽だとするイラストなどをツイッター(現「X」)に投稿され名誉を傷つけられたとして、ジャーナリスト伊藤詩織さん(34)が漫画家はすみとしこさんに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は、はすみさんの上告を棄却する決定をした。14日付。名誉毀損(きそん)を認め、はすみさんに110万円の賠償を命じた二審の東京高裁判決が確定した。 二審判決によると、はすみさんは2017年6月〜19年12月、伊藤さんと似た人物のイラストなどをツイッターに5件投稿し、「枕営業大失敗」といった文言を記載した。一審東京地裁判決と同様にうち4件が名誉毀損に当たると認定した上で、別の訴訟の判決で伊藤さんの性被害が認定された後も投稿していたことを考慮し、賠償額を一審の88万円から22万円増額した。(太田理英子)
沖縄防衛局によると、22年度、辺野古の新基地建設に支出した額は815億円。着工から21年度までにかかった工費と合わせると、総額で4312億円に達した。 一方で、22年度末時点の工事の進捗を見ると、事業全体の埋め立て土量2020万立方メートルのうち、4年余りで埋め立てた量は14%。しかも、これまで埋め立ててきた場所は、工事がしやすい水深の浅い海域だ。 防衛省は4年前、軟弱地盤対策のため総工費を9300億円に引き上げた。 辺野古の軟弱地盤 辺野古沿岸部東側の埋め立て予定地の海底に、「マヨネーズ並み」と評されるほどの軟らかい粘土層が広がっている。最深で水面下90メートルにまで及ぶ。防衛省は2015年に軟弱地盤の存在を把握していたが、その事実を伏せてきた。政府が存在を認めたのは、土砂投入を始めた翌月の19年1月。防衛省は「地盤改良すれば建設可能」として、大幅な設計変更を行った。深さ90メートルにま
松野博一官房長官は1日の記者会見で、関東大震災当時の朝鮮人虐殺について「昨日の記者会見での私の発言は、従前から国会答弁や質問主意書に対してお答えしてきたことを述べたもの」と発言。「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない」とした8月31日の見解を崩さなかった。
2021年3月、名古屋出入国在留管理局(名古屋市)の施設に収容中だったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した問題で、告訴・告発後に不起訴となり、名古屋第1検察審査会が「不起訴不当」と議決した当時の局長ら13人について、名古屋地検が再び不起訴とする方向で検討していることが10日、関係者への取材で分かった。不起訴となれば事実上、捜査が終結する。 検審は昨年12月、殺人罪と保護責任者遺棄致死罪を捜査不十分とするのは困難とする一方、業務上過失致死罪が成立するかどうか再検討を求めていた。地検は同罪に絞って再捜査しているが、関係者によると、死因や死亡に至る経緯が詳細に特定できず、予見可能性や結果回避可能性という業務上過失致死罪の構成要件を満たすことは難しいとみられる。
東京・池袋の暴走事故で妻と娘を亡くした松永拓也さん(36)をツイッター上で中傷したなどとして、侮辱罪と偽計業務妨害罪に問われた愛知県扶桑町、無職油利潤一被告(23)に対し、東京地裁(安永健次裁判官)は13日、拘留29日と懲役1年執行猶予5年(求刑拘留29日と懲役1年)の有罪判決を言い渡した。(デジタル編集部・福岡範行)
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