なぜ今、釈放か――。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、24日、●其雄(せんきゆう)船長(41)の釈放を公表した那覇地検の判断には、周辺の漁業者らから戸惑いや憤りの声が上がった。(●は「擔」のつくりの部分) 衝突時のビデオ解析で「立証は堅い」と信じていた海上保安庁の職員は落胆の表情を浮かべ、幹部からは、海上警備で海上保安官が萎縮(いしゅく)しないかといった懸念も出た。 「こんなことならビデオを早く公開すべきだった」 海上保安庁が所持しているビデオ映像は、事件が起きた7日に、損傷した巡視船「よなくに」と「みずき」から撮影したもの。「よなくに」の船尾部分を、漁船が斜めに航行しながら接触した様子や、「みずき」の右後方を平行に走っていた漁船が左側にかじを切って右舷の中心部付近に衝突した様子が鮮明に映っていた。この映像に漁船や巡視船の航跡データを組み合わせれば、漁船側が衝突してきた状況は立証できる、と自