4. まとめ 今回行った調査の結果から、日本の機関リポジトリにおいて公開されたPDFファイルについては、(1)PDF/Aという長期保存に適した規格で作成されたPDFファイルはほとんどなかったこと、(2)30.5%のPDFファイルが暗号化されており、アクセシビリティの視点から問題があり、将来的に他の形式への変換が阻害されていること、(3)多くのPDFファイルは、機関リポジトリのメタデータから独立して流通する際の十分なメタデータが埋め込まれていなかったこと、の三点が明らかになった。 上記の結果から日本の機関リポジトリに含まれるPDFファイルの多くは、長期保存やアクセシビリティの視点からはさまざまな問題を抱えているといえる。オープンアクセスを実現するために機関リポジトリで組織に所属する研究者の研究成果をPDFファイルとして公開する場合に、単に受け取ったPDFファイルを置くだけでは十分とは言えない