4. まとめ 今回行った調査の結果から、日本の機関リポジトリにおいて公開されたPDFファイルについては、(1)PDF/Aという長期保存に適した規格で作成されたPDFファイルはほとんどなかったこと、(2)30.5%のPDFファイルが暗号化されており、アクセシビリティの視点から問題があり、将来的に他の形式への変換が阻害されていること、(3)多くのPDFファイルは、機関リポジトリのメタデータから独立して流通する際の十分なメタデータが埋め込まれていなかったこと、の三点が明らかになった。 上記の結果から日本の機関リポジトリに含まれるPDFファイルの多くは、長期保存やアクセシビリティの視点からはさまざまな問題を抱えているといえる。オープンアクセスを実現するために機関リポジトリで組織に所属する研究者の研究成果をPDFファイルとして公開する場合に、単に受け取ったPDFファイルを置くだけでは十分とは言えない
University Journals:出版を大学や研究者に取り戻す挑戦 京都大学東南アジア地域研究研究所・設樂成実(したらなるみ) 「学術雑誌の危機」が問題になり久しい。大手出版社による市場の寡占化が進み,雑誌の価格が高騰を続け研究成果へのアクセスに不均衡が生じている。大学図書館のコンソーシアムによる価格交渉やオープンアクセス(OA)ジャーナルの刊行など様々な手が打たれているが,論文掲載料など新たな問題も生じ,いまだ根本的な解決には至っていない。こうした状況に風穴を開けようと,欧州4か国から13大学が協力し,機関リポジトリをもとにしたOA出版のためのプラットフォームの運用に向けたプロジェクト, University Journalsが進んでいる。本稿では,このプロジェクトについて,主に季刊誌“LIBER QUARTERLY”の第30巻に掲載されたオランダ・ライデン大学図書館のSaskia
OpenDOAR has an exciting announcement to make to the repository and open research community. Over the last few months the team have been working with Japan’s National Institute of Informatics (NII) in a record review exercise. For this, NII were given a temporary, local version of OpenDOAR, “NII LocalDOAR”, where they were able to freely edit and add new repository records to feed into OpenDOAR. W
英国の機関リポジトリにおけるウェブアクセシビリティ対応 電子情報部電子情報流通課・横田志帆子(よこたしほこ) 英国では公共部門のウェブサイトに対し,誰もが利用できる形で情報や機能を提供すること,すなわちアクセシビリティへの対応が,2010年に制定された“Equality Act”(平等法)において義務付けられている。2018年に施行された規則で対応期限が示されたことを背景に,大学等の機関リポジトリの運営者コミュニティにおいて議論が活性化している。本稿では,英国の機関リポジトリにおけるウェブ技術のアクセシビリティ,すなわちウェブアクセシビリティ対応に関する検討の経緯と現状を概観する。 ●2018年以前:ウェブアクセシビリティとオープンアクセス 機関リポジトリにおいて提供される論文・記事等のコンテンツが,障害の有無にかかわらず誰でも利用可能であるべきだという議論は,法整備により義務付けられる以
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