聴覚情報処理をつかさどる機能が低下する3タイプの精神障害の病理を、当事者の観点から考察します。 キーワード:音声認識、言語理解、カクテルパーティー効果、音韻ループ、ワーキングメモリ、マルチタスク、聴覚過敏、解離、吻側前頭前野、容量性注意障害、特異的言語発達障害、頭蓋骨縫合早期癒合症 <はじめに> 「聴覚情報処理障害」とは、「相手の話を理解できない」、「雑音下での聴き取りができない」などのコミュニケーション上の問題を抱えた状態を示す疾病概念です。ちなみに私、リョウタロウも「狭義の聴覚情報処理障害」(「狭義」の詳細は後述)の当事者です。 「聴覚情報処理障害」は半世紀ほど前に、アメリカの言語医学会(American Speech-Language-Hearing Association: ASHA)で扱われ始めた概念であり、そこまで新しい概念ではありません。しかし、ようやく近年になって(およそ1