おおたえみりによる第2弾DVD+シングルCD。前作は上品なワンピースでピアノと向き合う姿が古いフランス映画に出てくる女優のような佇まいだったが、今作では妖艶な和室で着物を着崩したような衣装で弾き語る。“パカパカ大学生”や“猿の宴”では周囲への批判的な視線や、周りと馴染めずに(自ら望んで?)孤立してしまう自身の性格を、自由型のメロディの中に滲ませている。そして“母のもとへ”での激しく息を呑むようなピアノと「死」を描いた歌の迫力。CDに収録された“最短ルート”でも、まるでスカートの裾をひらつかせてスキップするような軽やかさで突如《死にたい》なんてフレーズが挟み込まれる。全体的に跳ねるようなリズムで朗らかに、線の細いコケティッシュな声で歌われているから、一聴してヘヴィな印象は受けないが、おおたえみりの作品には、何か凄まじい怒りや絶望や嫌悪感や、しかしそんなものとは関係なしにアタシは生きていきたい