糸井 まず、ぼくがここにいる理由について、 簡単にご説明いたします。 ぼくはこの『ゼロ・トゥ・ワン』という本を 去年読んだんですけど、 そのころ、状況にちょっと退屈してたんですね。 いろんな物事の進化に びっくりするようなことがなくなって、 ちょっとずつ、ちょっとずつ、 あらゆることがぜんたいに親切になってる。 「ぜんぶ、やっておいてあげますよ」 っていうものばかりが進歩してるんだけど、 でも、それ、ほんとうは進歩って いわないんじゃないかなぁ、って思ってたんです。 インターネットの世界なんて、 とくに親切のかたまりなんですけど、 それがものすごくうれしいことかっていうと、 ぼくにとっては、そうではない。 いま、ティールさんが講義のなかで Googleがスタートしたときの話を されてましたけど、ぼくらの前に Googleという検索エンジンが登場したときは、 みんな「速いっ!」ってびっくりし
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