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ビブリオエッセーに関するJ1NGekkoのブックマーク (11)

  • 【ビブリオエッセー】「愛してる」を探す旅 「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」暁佳奈(KAエスマ文庫)

    「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」 主人公、ヴァイオレットはこう名乗って依頼者の前に現れる。「自動手記人形」と呼ばれる「代筆」の仕事をしている若く美しい女性だ。 アニメでも有名なこの物語の原作を読んだのは1年ほど前になるが、印象は今も鮮やかに残っている。何度も出てくる「愛してる」の言葉とともに。 ヴァイオレットの暮らす国ライデンシャフトリヒは周囲の国と戦争が絶えなかった。両親のいないヴァイオレットは幼いころから兵士として訓練され、やがてギルベルトという少佐に育てられる。ヴァイオレットは戦場で異常な能力を発揮したが、ある戦闘でギルベルトが重傷を負う。ギルベルトはヴァイオレットを逃がしたまま、生死も行方もわからなくなった。 戦争が終わり、ヴァイオレットは自動手記人形として働く。手紙の代筆は一級だっ

    【ビブリオエッセー】「愛してる」を探す旅 「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」暁佳奈(KAエスマ文庫)
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    J1NGekko 2023/03/07
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  • 【ビブリオエッセー】とことん意地悪な愛読書 「木枯しの庭」曽野綾子(新潮文庫)

    何のためにを読むのか。人それぞれだが、私は眠るためである。幼いころ、夜中に目ざめて眠れなくなるのが怖かった。そんな時の強い味方が読書だと気づいた。一心に文字を追うと恐怖心が消え、いつの間にか眠れるのだ。以来、枕元には常にがある。そんな私にとってこの小説は悪しき一冊だった。 公文剣一郎は私立大学文学部の教授で40歳過ぎの独身男。60代の母、絹子と二人で暮らしている。かつて一緒に生活した女性がいたが、どうやら絹子が原因で別れることになったらしい。剣一郎はなにより母へ細やかに心を配り、敬語を使うほど大切にする。そんな息子に感謝しつつ、絹子は「お嫁さんが来てくれたら」と息子を案ずる物言いをする。ここまでは麗しく見える。 ところが実際、剣一郎に女性の影がちらつくと、絹子は実に巧妙に邪魔をし、確実につぶしにかかる。剣一郎は母の胸の内を見通し、葛藤を抱えながら母のもくろみ通りの結果を受け入れる。 剣

    【ビブリオエッセー】とことん意地悪な愛読書 「木枯しの庭」曽野綾子(新潮文庫)
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    J1NGekko 2023/03/02
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  • 【ビブリオエッセー】理系男子の熱い青春に完敗 「キケン」有川浩(新潮文庫)

    「キケンとは―命の危険も顧みず、理系技術の探究に挑む熱き男たちの魂の記録である!」。母の薦めでこのを読むことになったが表紙に書いてあるこの一文を見た時、私はなんとなく負けたような気がした。シリアスな熱いドラマなのだろうと思ったが…。 舞台は成南電気工科大学。主人公の元山高彦が入学したところから物語は始まる。同じ一回生で仲の良い池谷悟と何となくのぞいたのが学内の部活「機械制御研究部」、略して「機研(キケン)」。強引な勧誘で二人は入部することになったが部長の上野直也と副部長の大神宏明が率いるこの部活はその名前の通り、「キケン=危険」、とんでもない集団だった。 部長や副部長が普通な人のわけがない。上野は「成南のユナ・ボマー」の異名をもち、「爆発炎上は男のロマン」と火薬の実験に情熱を燃やす迷惑男で、大神は迫力満点の通称「大魔神」、コワモテの教育係だ。確かに危険だし、ここまで読んで、私が最初に感じ

    【ビブリオエッセー】理系男子の熱い青春に完敗 「キケン」有川浩(新潮文庫)
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    J1NGekko 2023/02/12
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  • 【ビブリオエッセー】ツノがあっても優しい関係 「ルリドラゴン」眞藤雅興(集英社ジャンプコミックス)

    高校生の青木ルリは朝起きると頭にツノが生えていました。「ねえこれ何だと思う?」と尋ねたルリに「実はあんたのお父さん人間じゃないんだよね」と母は平然と答え、父は龍、ドラゴンなのだと告げます。衝撃の告白なのにゆるい調子で始まる漫画『ルリドラゴン』。 当然、クラスでは注目の的になりますが、ツノだけでなく、くしゃみと一緒に火を吐いてクラスメートの髪を焦がしてしまったり、ノドの火傷(やけど)がすぐ治ってしまったりと人知を超えた力が現れます。 引っ込み思案なルリは変化していく自分に戸惑い、学校も休んで周りと距離をとろうとしますが親友のユカやクラスメートはそんなルリを避けようとせず、いつも通りに接してくれるのです。 授業に遅れがちなルリにクラスメートの神代(かしろ)は勉強会をしようと誘いました。あまり付き合いのなかった女子2人もルリの学習を手助けします。終わったあと、「みんなわたしのこと怖くないの?」、

    【ビブリオエッセー】ツノがあっても優しい関係 「ルリドラゴン」眞藤雅興(集英社ジャンプコミックス)
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    J1NGekko 2023/02/12
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  • 【ビブリオエッセー】受験参考書ではないけれど… 「国語入試問題必勝法」清水義範(講談社文庫)

    格的な受験シーズンに突入した。この時期になるとはるか昔の自分の姿を思い浮かべ、苦笑いする。人より長い浪人生活も経験した私は特に国語(現代文)の問題に苦しめられた。長文で、しかも難解な文章を短時間で理解するのは至難の業であった。そんな私にとって国語入試問題を完膚なきまでにパロディー化したこのには快感と共感を感じずにはいられない。 ある日、国語が苦手な受験生、浅香一郎のもとに家庭教師、月坂がやって来た。その攻略法は奇想天外なものであった。問題文を必死で理解しようとする一郎に、「問題の文章を理解したってしょうがない」「この種の問題は、原文とは無縁の点取りゲームにすぎないんだよ」「…そのルールを知っているものだけが正解することができる」と言い放ち、驚くべき指導が始まる。 次々に繰り出されるそのルール。まず「大小展外誤の法則」。例えば5択で単純な間違いはいうまでもなく、大きな一般論や一部分、もう

    【ビブリオエッセー】受験参考書ではないけれど… 「国語入試問題必勝法」清水義範(講談社文庫)
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    J1NGekko 2023/02/08
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  • 【ビブリオエッセー】恋した青年は空の彼方へ 「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」汐見夏衛(スターツ出版文庫)

    戦争がどんなに残酷で悲惨なものなのか、このタイムスリップの物語に教えられました。 読むきっかけは、学校の図書館で気になる題名のを見つけたことでした。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』って、どんな話なんだろう。そこへ一緒にいた友達が「私、この読んだことある。感動するよ。絶対おすすめ!」と強く推薦してくれました。 実は授業でちょうど戦争について学んでいたのです。私たちの祖父母やその両親、つまり祖先が生きた時代をもっと知りたいと思いました。たとえば当時の十代はどんな青春を送ったのか。この小説の主人公は私と同じ14歳、中学2年の加納百合です。 学校に、母と二人の生活にうんざりしていた百合は反抗的な態度でクラスメートにも敬遠される存在でした。あるとき家出を決行し、昔の防空壕跡に入ってまどろんでしまいます。目覚めるとずっと昔の昭和20年、戦時中の日でした。混乱していた百合にやさしく声をか

    【ビブリオエッセー】恋した青年は空の彼方へ 「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」汐見夏衛(スターツ出版文庫)
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    J1NGekko 2023/02/08
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  • 【ビブリオエッセー】スケールの大きさに興奮 「大将」柴田錬三郎

    「おそろしく不恰好な男であった」。最初の一文です。巨大な首と耳と鼻、そんな巨漢がこの小説の主人公、野呂内大太郎。シバレンといえば大好きな眠狂四郎シリーズですが演じた市川雷蔵さんや田村正和さんらのクールでスリムな美剣士とは正反対の外見です。古書店で手に取ったは講談社の昭和45年刊行で帯にあったテレビドラマの写真が気になり、さっそく読みました。 時は昭和23年秋。被爆地・広島でじっと海を見つめる大太郎は長いシベリア抑留から引き揚げたばかりでした。故郷の松山へ帰ると男手ひとつで大太郎を育てた父は笑顔で迎え、まもなく亡くなります。残してくれた遺産をもとに大太郎はさっそく事業に打って出ますが衣住がだんだん豊かになれば人が求めるのは娯楽、そう考えて目をつけたのが映画館経営でした。 その後は商船学校出身である経歴も生かして倒産直前の造船会社の再建、そして奥道後の温泉開発へと乗り出します。成り行きや幸

    【ビブリオエッセー】スケールの大きさに興奮 「大将」柴田錬三郎
    J1NGekko
    J1NGekko 2023/02/01
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  • 【ビブリオエッセー】寅さんに学ぶ自然流 「人間が生きているってこういうことかしら?」中村桂子、内藤いづみ(ポプラ社)

    新型コロナは5類移行の方針も固まったようだがウィズコロナが日常化していくのか、マスクをはずして気兼ねなく談笑できる日が来るのか。昨年2月に刊行されたこの対談集。世代も専門も異なる二人がチョウの飛ぶ庭でコロナのことやいのち、生き方について語らった。 JT生命誌研究館で長く館長を務め(現名誉館長)、38億年という地球上の生きものの歴史を見つめてきた中村さんと自分のクリニックを設立し、在宅ホスピス医として数多くの看取りに立ち会ってきた内藤さん。ともに「いのち」を見つめてきた。 内藤さんはあるとき高校生を前に講演した。「おじいちゃんやおばあちゃんが、どんなふうに家で亡くなっていったか」、看取りの話や影響を受けた『ダギーへの手紙』について。ダギーは余命3カ月を告げられた9歳の少年だ。最初は聞いているのかいないのか、それでも一生懸命話した。高校生たちはみんな泣いていたのだ。自分の身に引き寄せて聞いて

    【ビブリオエッセー】寅さんに学ぶ自然流 「人間が生きているってこういうことかしら?」中村桂子、内藤いづみ(ポプラ社)
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    J1NGekko 2023/02/01
    【ビブリオエッセー】寅さんに学ぶ自然流 「人間が生きているってこういうことかしら?」中村桂子、内藤いづみ(ポプラ社) - 産経ニュース
  • 【ビブリオエッセー】人間が取り戻すべきものは 「スマホを捨てたい子どもたち-野生に学ぶ『未知の時代』の生き方」山極寿一(ポプラ新書)

    昭和世代にとってスマホは化け物のような存在だ。人と人とのつながりはお互いが向き合い、言葉を交わして気持ちを伝え合うことだった。今はスマホひとつで大切な言葉や気持ちが数秒で届く一方、不特定多数へ拡散することへの身構えがなくなり、不安をぬぐえない。このを読みながら「信頼」について考えた。 著者はゴリラ研究の世界的権威。ある講演で高校生に「スマホを捨てたいと思う人は?」と聞くと結構多くの手が挙がったという。そこで著者は言う。「当の意味で人々は世界とつながっているんだろうか」。ゴリラのコミュニケーションにそのヒントがあった。 ゴリラの世界には「覗き込み行動」というのがあって相手の顔を接近して見つめるという。意思の確認行為だ。あるいは「ウホウ」という声を出して返事を待つ。これは「Who are you?」の意味。「グッグフーム」と返せば「ぼくだ」「私だよ」と答えたことになり、ゴリラは「あ、お前か

    【ビブリオエッセー】人間が取り戻すべきものは 「スマホを捨てたい子どもたち-野生に学ぶ『未知の時代』の生き方」山極寿一(ポプラ新書)
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    J1NGekko 2022/12/21
    【ビブリオエッセー】人間が取り戻すべきものは 「スマホを捨てたい子どもたち-野生に学ぶ『未知の時代』の生き方」山極寿一(ポプラ新書) - 産経ニュース
  • 【ビブリオエッセー】人生は映画と歩む長い旅 「キネマの神様」原田マハ(文春文庫)

    私たち悪ガキ数人で小学校の講堂に忍び込み、映写技師を待った。来ると同時に駆け寄ると、「またお前たちか。しようがないな。今晩は人気映画だからちょっと広めにゴザを敷いておけよ」。板張りに敷き終えると技師は「よし! 金はいいぞ」と怒鳴った。悪ガキにやっと笑みがこぼれる。私の町に巡回してくる映画の入場料は確か10円だった。嵐寛寿郎の鞍馬天狗が颯爽と馬にまたがる場面に割れんばかりの拍手が湧いた。 この小説を読んで甘い記憶がよみがえった。映画愛にあふれる作品だ。冒頭、女性管理職の円山歩は会社を辞める。家族はギャンブル依存症の老いた父、郷直、通称「ゴウ」と母。歩の職探しが始まったある日、思いがけない電話が入った。有名な映画雑誌の編集長からだ。「うちの雑誌で、書いてみませんか」。ある映画映画館について書いた歩の文章をゴウが勝手に編集部へ投稿したのだ。ゴウも無類の映画好きだった。 勤め始めた歩は雑誌のウェ

    【ビブリオエッセー】人生は映画と歩む長い旅 「キネマの神様」原田マハ(文春文庫)
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    J1NGekko 2022/12/21
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  • 【ビブリオエッセー】私なりの学び、重ねたい努力 「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス著 小尾芙佐訳(早川書房)

    勉強が大の苦手だ。努力を重ねないと追いつけない。それ以前に努力ができない。だが、主人公チャーリイ・ゴードンは短い間に天才に変わってしまった。 チャーリイは32歳だが幼児なみの知能しかなかった。そこへもたらされた夢のような話。大学の先生らが特別に治療してくれるというのだ。さっそく手術を受けた後も、これが科学への偉大な貢献になることや「IQが二倍になればきっとみんなぼくを好きになってくれる」ことを信じていた。離れていった家族のことを思い出し、やがて別人のようなIQ185の天才になる。この架空の物語は手術後にチャーリイが書く経過報告だ。 これだけ聞くとなんて素晴らしい話だ、うらやましいと思う。ところが読み進むにつれて、この考えは消えていった。チャーリイは難しい学問や多くの言葉も簡単に身につけるが、周囲の態度は変わっていく。 アルジャーノンとはチャーリイと同じ手術を受けた白ネズミだ。これは動物と人

    【ビブリオエッセー】私なりの学び、重ねたい努力 「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス著 小尾芙佐訳(早川書房)
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    J1NGekko 2022/12/21
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