「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」 主人公、ヴァイオレットはこう名乗って依頼者の前に現れる。「自動手記人形」と呼ばれる「代筆」の仕事をしている若く美しい女性だ。 アニメでも有名なこの物語の原作を読んだのは1年ほど前になるが、印象は今も鮮やかに残っている。何度も出てくる「愛してる」の言葉とともに。 ヴァイオレットの暮らす国ライデンシャフトリヒは周囲の国と戦争が絶えなかった。両親のいないヴァイオレットは幼いころから兵士として訓練され、やがてギルベルトという少佐に育てられる。ヴァイオレットは戦場で異常な能力を発揮したが、ある戦闘でギルベルトが重傷を負う。ギルベルトはヴァイオレットを逃がしたまま、生死も行方もわからなくなった。 戦争が終わり、ヴァイオレットは自動手記人形として働く。手紙の代筆は一級だっ