文化祭で上映した自主映画の評判のあまりの悪さに自殺を決意した高校生・優太が、ただひとりその映画を「気に入った」という同級生・絵梨に出会う、Twitter 上でまるで「クソ映画みたい」だと話題になった漫画『さよなら絵梨』(藤本タツキ、2022)は、僕にとって激烈に心へ刺さりまくるタイプの作品とまではいわないまでも、技巧的で完成度の高い、そして “映画とはなにか” について本質論的にいろいろと考えさせられる1作だった。以下、本作についてすこしばかり掘り下げつつ、考察しながらレビューしてみよう。 (※2022.07.23 一部加筆修正) 〇 【以下、ネタバレありなのでご注意ください】 本作が漫画配信Web ページ「少年ジャンプ+」上で公開された際、いっときTwitter 上にて「クソ映画」としてトレンドとなっていたのは、題材として映画(撮ること/観ること)を扱っている点と、それ以上にいわゆる「爆