これまでMassively Multiplayer Online Role-Playing Game(MMORPG)に関する先行研究において,仮想世界内での活動は,問題解決および対人関係能力を高めるという結果が量的な検討によって示唆されているが,MMORPGにはさまざまな集団および難易度の活動があり,それらの区別が十分に行われていない。その一因としては,仮想世界内の活動について,質的な検討が未だ十分に行われていないことが挙げられる。したがって,本稿は,我が国で流行するMMORPGの1つであるFinal Fantasy XIVを対象に,成員が流動的な集団における高難度クエストに焦点を当て,活動の内実およびプレイヤーに求められる能力について参与観察およびインタビュー調査による質的検討を行った。 その結果,第1に,高難度クエストは,仕掛けられた罠に対処するための問題解決能力と,非言語的情報の多く