「キャロルに関する誤解」へ戻る リデル家との仲違いと「求婚伝説」の嘘 キャロルを巡る誤解のなかで、ロリコン説と双璧をなすのが「求婚伝説」だ。日本では角川文庫の解説で紹介されたため、多くの人が事実と信じることになってしまった。しかし、実際にはキャロルがアリス・リデルに求婚したということを裏付ける根拠はなにもない。 ここでは、まづ角川文庫の、福島正実による解説に書かれた「求婚伝説」を見てみよう。 (この作品を書くきっかけになったアリス・リデルに、ルイス・キャロルは結婚を申しこんでいます。アリスが十三歳、キャロルが三十歳の年です。この求婚は、アリスの両親によって拒否されたばかりか、彼らは、アリスに宛てたキャロルのおびただしかったであろう一切の手紙類をすべて焼却しています。もちろん、このスキャンダラスな話が世間に出ることを恐れたためです。) 一読してデタラメと判る内容である。キャロルが生まれたのが