新しい店に配属になって最初の日だ。同じ店に配属になった新入社員はもう一人おり、少し会話を交わしたのだった。 自己紹介から始まり、お互いが以前はどこの店にいたのかという話になった。 僕は宮城については全くの無知であるので、彼女がその店の名前を言っても、どこにあるのかさっぱりわからなかったし、イメージも全然沸かなかった。 「それ、どこにあるの?」僕は訊いた。 「どこっていうか……」 「南のほう?」 「いや」 「北?」 「うーん……」そして、彼女は続けた。「方角では表せないんだよね」 そんな場所があるのか。ラピュタか。 魚部門の一人の祖母が亡くなったそうで、急遽休みをとったらしく、魚部門の人たちがかなり忙しそうだった。 昼休み、魚部門の人たちが「あー、疲れた」などと言っていると、店長が来た。かなり謙虚な店長だ。「どうしたんですか」などと、魚部門の人に声を掛ける。 事情が一通り説明されると、店長は