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ブックマーク / hiko1985.hatenablog.com (13)

  • 宮﨑駿『君たちはどう生きるか』 - 青春ゾンビ

    宮﨑駿による『不思議の国のアリス』(もしくは宮沢賢治の童話)とでもいうような、イマジネーションの破茶滅茶なまでの躍動。『千と千尋の神隠し』以降の作品に見られた傾向がさらに押し進み、ストーリー・テリングとしては、明らかに混乱している。しかし、それは宮﨑駿の“世界”に対する誠実な態度であるように思う。シンプルで明瞭なストーリーで語り切れるほど、この複雑で暗澹たる現代は生易しくないし、そもそも人間というのはそんなに簡単なものではない。たとえば、この映画における主人公の父親。彼にいい印象を持つ観客は多くないだろう。転校初日に車で学校に乗りつけたり、子どもの喧嘩に介入したりするさまなどは、まさにエーリッヒ・ケストナーが『飛ぶ教室』で書いた大人への批判がそのまま当てはまる。 どうしておとなはじぶんの子どものころをすっかり忘れてしまい、子どもたちにはときに悲しいことたみじなことだってあるということを、あ

    宮﨑駿『君たちはどう生きるか』 - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2023/07/18
    面白い記事だった。流石。/しかしブコメが混沌である。首根っこ引っ付かんで「これが正解だ!」つってるわけじゃないのに、何をそんなにいきり立っているのか。迷子のキツネリスやないねんから
  • 『かまいたちの知らんけど』濱家が涙…スーパー・イズミヤへ最後の挨拶 - 青春ゾンビ

    MBS製作『かまいたちの知らんけど』の9月12日放送の特別編「37年間通ったスーパー イズミヤへ濱家最後の挨拶」が実に素晴らしい内容だった。関西圏外にはあまり馴染みのない番組かもしれないが、今はTVerという素晴らしいメディアがありますのでぜひチェックして欲しい。 かまいたちの濱家の生まれ育った大阪市東淀川区にある上新庄という町で、彼が生まれる前から営業している大型総合スーパーイズミヤ。濱家にとって、幼少時代から家族や友人との思い出の詰まった大切な場所だ。そのイズミヤ上新庄店がこの8月末をもって47年間の歴史に幕を閉じるという。濱家はイズミヤに感謝と別れを伝えるべくロケを敢行する。 ショックすぎる…。 フードコートのチョコマーブルアイス、世界一美味いポテト。 おもちゃ売り場、ジャンケンのゲーム機、初めてCD買ったお店、横の屋さん。 たまに開催されるガラガラ福引き。 服もも全部イズミヤで

    『かまいたちの知らんけど』濱家が涙…スーパー・イズミヤへ最後の挨拶 - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2021/09/15
    自分にとってのイズミヤってなんだろうなって記憶を辿ってみたけれど、近所のスーパーは改装して様変わりして、思い出の本屋もCDショップも潰れちゃってて、意外と無いものだなと寂しい気持ちになっちゃった。
  • 最近のこと(2019/04/01〜) - 青春ゾンビ

    10連休ですね。もちろんうれしいのだけども、この"変わっていってしまう"感覚に精神が疲弊してしまっている。Robag WruhmeというドイツのテクノDJの「Venq Tolep」という曲の美しさに心を慰められています。平成から令和のまたぎのお祭り騒ぎにも、なんだかすごく寂しくなってしまった(SMAPもいないし)。令和になる瞬間は、テレビで爆笑問題の太田光の「れいわー」という叫び声を聞いた。実にバカバカしくて、どうでもいい感傷を無化してくれました。どうせなら平成について振り返ろうと思ったけども、膨大過ぎるというか、それはもうほとんど「わたしのすべて」であるということに気づいた。それでもノスタルジックな気持ちで、ポップカルチャー原体験を掘り返してみると、バーコードバトラーⅡとミニ四駆について辿り着いた。 平成のポップカルチャー個人史を振り返った時、『バーコードバドラーⅡ』が最初にある。機械に

    最近のこと(2019/04/01〜) - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2019/05/04
    北村薫といえば覆面作家シリーズも大変に良いです。文庫版がありますが、私は挿絵見たさに新書版を中古で揃えました(無論、挿絵は高野文子です)
  • 水曜日のダウンタウン「MONSTER HOUSE」3話 - 青春ゾンビ

    これぞ、2018年のベストキスシーン。なんて醜く、なんて美しいのだろう。クロちゃんは「愛されたい」と叫ぶ獣だ。まるでこれまで誰からも愛されたことがないかのようだ。その欠落を埋めるようにして、どこまでも貪欲に愛を求めている。蘭ちゃん*1とのキスを成し得た時のあの狂おしいまでの歓喜、あれはもはや単なる性欲を飛び越え、自らの”実存”を初めて認識したかのような振る舞いではないか。 好きだよ、当にもう・・・ 俺は知らなかった もう・・・ッ当に ッ当わかってるようで わかってなかった・・・ めちゃくちゃ好きだよ 忘れんなよ 忘れんなよ、俺 忘れんなよ キスしたよ、忘れんなよ 観ていて、胸の奥がたまらなく苦しくなってしまった。多分、私たちもまた、クロちゃんと同じように寂しくてたまらないのだろう。当は醜い存在なのだろう。「変な汗出るのはなんでしょうね」というたむらけんじや松人志の言葉がそれを的確

    水曜日のダウンタウン「MONSTER HOUSE」3話 - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2018/11/21
    ミューズなのか、サキュバスなのか…
  • 軽井沢旅行記2017冬 - 青春ゾンビ

    年内まで有効の会員制のリゾートホテルのチケットをもらったので、せっかくなので泊まりに行くことにした。軽井沢の山奥のホテルである。しかし、会員制のホテルというのはよくわからない。チケットさえあれば会員のどんな遠縁であろうとも泊まれてしまうらしい。すなわち、客層をコントロールしたいわけではないのだろう。そのおかげで、私のような山賊の末裔である粗野な人間も堂々と門をくぐることができるというわけだ。 軽井沢へは高速バスで向かった。片道3,000円くらいなので、新幹線や車で行くより割安。当は車で行きたかったが、冬の軽井沢は山道に雪が積もっている可能性が往々にしてあり、危険なのだ。なんせ私はタイヤにチェーンを巻くことができない。なんなら自転車のチェーンの故障も直せないのではないだろうか。普通は巻けるものなのだろうか、チェーンは。そんなもの教習所で習っていないのだけども。記憶の中の父はチェーンをしっか

    軽井沢旅行記2017冬 - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2017/12/24
    いつになく軽妙な語り口が旅行の楽しさを物語っている。
  • 若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』 - 青春ゾンビ

    星野源とオードリー若林正恭。この国の”生き辛さ”を抱える人々のか細き声を代弁してきたメディアスターだ。”人見知り”という自虐を武器に成り上がってきた2人だが、年齢を重ね、活躍のステージを上げていくにつれ、奇しくも共に”人見知り”を克服した旨の宣言をする。しかし、その語り口は大きく異なる。星野源の"それ"について語り出すと止まらなくなってしまうので、ここでは若林正恭の脱・人見知り宣言にフォーカスしてみよう。様々な場所でおもしろおかしく語っているのだが、比較的音が聞けるであろうラジオでは、以下のような意味合いのことを語っていた。 人見知りは若い子たちのもの 年齢を重ねた自分は、飲み会などで居心地の悪そうな若い子たちに、 気を遣っていかなくてはならない立場になった この語りからもわかるように若林正恭の抱える”生き辛さ”の視線は、個人を超え、広く社会に向けられ始める。若林は40歳を目前にして、ニ

    若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』 - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2017/08/09
    くだんの本、まだ読み終わってないので、読み終わった頃に(ネタバレ込みで)また読み返したいと思う。
  • 最近のこと(2017/05/26~) - 青春ゾンビ

    大好きな5月が終わって、今年もきたぜ6月。僕らの気持ちを代弁し切った上のコマもいいんだけど、1コマ目でカレンダーを見つめながら「ついに、ことしもきたか・・・ああ。」とボヤいているのび太が好き。しかし、何年生きてみても6月というものの実像を掴み損ねていて、言うほど雨が多いのか、暑いのかはたまた半袖だと肌寒いのか、いまいち認識できていない。6月ってそういうところがある。つげ義春を読み直していて、 新版 貧困旅行記(新潮文庫) 作者: つげ義春出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/04/28メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る『貧困旅行記』などに感銘を受け、すっかり旅に出たい気持ちが芽生えている。 金曜日。仕事後に、学生時代の友人らと池袋のインド料理屋「マサラハット」でご飯をべる。広々と開放的な雰囲気が前から気になっていたお店。すぐ近くに最高のレコード屋ココナッツディス

    最近のこと(2017/05/26~) - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2017/06/05
    吉原には行ったことあるけれど、雰囲気はよく分からなかったな。送迎車に乗っていたから(おだいじーん)
  • 湯浅政明『夜明け告げるルーのうた』 - 青春ゾンビ

    ボーイミーツガール、そしてグッバイ。 ぼくらの住むこの世界では旅に出る理由があり 誰もみな手をふってはしばし別れる 小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」 今作では何度も「じゃあ、またね」というお別れが描かれる。大きなお別れに備えるように。その別れ際、ルーや犬魚がいつも手をふって見送ってくれるのがいい。心を解放させるような歓びは、積み重なった哀しみの中からしか生まれない。『夜明け告げるルーのうた』は実に真っ当なジュブナイル映画だ。 高低差と傾斜に溢れた港町という舞台設計がまずもって素晴らしく、”湯浅政明”印と言っていいであろう柔らかく揺らいだ線が、空間の狭間でポップに弾ける。そして、気持ちいいほどにセルアウトしている。どちらかと言えば観客を選ぶタイプの作家であった湯浅政明の、キャリア初のファミリー向け映画ということで、物語展開もキャラクターデザインも既視感バリバリながら、安心して観ていられる。キ

    湯浅政明『夜明け告げるルーのうた』 - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2017/06/04
    観ました。ルーのパパの造形は某シン・ゴジラ的にも思えて、あのハクリョクがなんとも面白かったなあ。
  • 坂元裕二『カルテット』6話 - 青春ゾンビ

    カルテットメンバーが一斉に介さない。ほとんどの尺を巻夫婦の回想に費やす異色の6話である。『MOTHER』8話における道木仁美(尾野真千子)の回想、『それでも生きてゆく』7話における三崎文哉(風間俊介)の回想など、この手法は坂元裕二作品においてたまに顔を出す大技である。物語の進行を停滞させてまで語らねばならない過去というのは確かにあるのだ。 おそらくデレク・シアンフランス『ブルーバレンタイン』(2010)を意識したと思われる、壊れてしまった夫婦の時間のプレイバック。小さな声で喋る者同士が、その聞き取れなさ故に互いの距離を詰めていく、という実に瑞々しい恋の始まりが記録されている。真紀(松たか子)の好きなピエトロ・マスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』が流れ、幹生(宮藤官九郎)のお薦めの詩集に零れた珈琲が染みている。それを拭き取るための布巾を取りに台所に立った2人がキスをする。まさに

    坂元裕二『カルテット』6話 - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2017/02/23
    分かりやすい演出に関しては、夫婦の大事な場面だから誰にでも分かるように…という意図があったのかしらんと思ったけど、『あまちゃん』『HERO』のロケ地を使用したとなると、確かに話は変わってくるのかもな。
  • 坂元裕二『カルテット』3話 - 青春ゾンビ

    親子でしょ? という岩瀬純(前田旺志郎)の屈託のない問いかけが、世吹すずめ(満島ひかり)に纏わりつく”呪い”をギュっと締めつける。20年以上音信を絶っていた父の危篤。家族の死に目には駆けつけるのがホームドラマの定石、いや、この世界の”常識”のようなものだ。想いを寄せる別府司(松田龍平)との会話がフラッシュバックしたことだろう。 家族のお祝い事なんで帰ります “世界の別府ファミリー”から除外され苦しんでいるで別府すら、家族というフレーズの前にはひれ伏さざるえない。しかし、すずめにとって父はどうしても許すことのできない存在だ。最期の最期で全部をなかったことにして、”いい人”になろうとしている父が許せない。 怒られるかな…ダメかな 家族だから行かなきゃダメかな 行かなきゃ… その零れる小さな叫びを聞き、それまで「病院に行こう」の一点張りであった巻真紀(松たか子)が、ギュっと手を握り、「逃げよう」

    坂元裕二『カルテット』3話 - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2017/02/02
    蕎麦屋に流れた稲川淳二に関しては、すずめの心境を言語化しているのではないかという指摘をTwitterで見かけましたので、ご参考までに。
  • キングオブコント2016 - 青春ゾンビ

    『キングオブコント2016』観ました。決勝進出10組を決定するまでの審査と、決勝の舞台となるスタジオ審査(と客席)の間にあまりに大きな捻じれが発生していて、昨年同様どうにもモヤモヤしてしまったのが正直なところ。そこに隔たりのなかった2014年までの『キングオブコント』が奇跡のようなものであったのだ、と今はただなつかしく想います。あのコント内の出来事にいちいち悲鳴を上げる決勝の観覧客ってあれ当に募集で来た人なんですかね。今まで無菌培養室で育てられていて、あの日初めて部屋の外に出されて、コントというもの初体験した人達じゃないんですよね。まぁでも『じわじわチャップリン』(テレビ東京)のお客さんも悲鳴上げてるしなぁ。今どきの女の子は悲鳴上げてなんぼなのかもしれませんね。まぁそれは置いておいて、少なくともやめて欲しいのは「(客席に)ウケてたからねぇ」「ウケてなかったねぇ」みたいな審査員のコメントだ

    キングオブコント2016 - 青春ゾンビ
  • NHK『ドキュメント72時間』~鴨川デルタ 京都の青春~ - 青春ゾンビ

    夜中にテレビを観ていて、ガツーンと衝撃を受けてしまった。NHKで放送されている『ドキュメント72時間』という番組だ。1つの場所を72時間定点観測し、そこを通り過ぎる人々をカメラに収めていくというドキュメンタリー番組。今回の放送でカメラが置かれたのは、京都の名所であり、地元の人々の憩いの場としても名高い「鴨川デルタ」である。 早朝、阪神大震災で子を失った日雇い労働の男性が川をじっと眺めている。その目には過ぎ去ってしまった日々が映っているのだろうか。元・水商売の女と元・不動産屋の男が”かつて”を語り合う酒盛り。どうしても(どうしてかはさっぱりわからない)娘と一緒に川の飛び石を飛びたかったという母とその姿をカメラに収める父。精神科で出会ったの“かわいさ”をプロモーションビデオとして撮影する無職の夫。夜の鴨川で繰り広げられている学生達の大騒ぎ、それを対岸から羨ましさをひた隠しながら眺める女子校

    NHK『ドキュメント72時間』~鴨川デルタ 京都の青春~ - 青春ゾンビ
    Sugaya
    Sugaya 2016/07/04
    「ドキュメント72時間」は当たり外れも大きいけれど基本的には良番組。西成の貸しロッカー、最北のバス停、そば・うどん自販機、カプセルホテル、百円温泉あたりが印象に残ってる。追記。再放送違う時間にあった筈。
  • 坂本慎太郎『ナマで踊ろう』と『ヒョンヒョロ』 - 青春ゾンビ

    ものすごく邪悪なものって、かわいかったり、フレンドリーな姿をしてやってくるという気がしてるんですけど、そういう質的なところも表現したかったというのはあります。あと、SF的な設定とか手法にすると、ものすごく現実的な歌詞をストレートに言っても、意外と生々しくならない。ちょっとメロウに響かせることができるなと作りながら思って。 という坂慎太郎のインタビューを読んで、最初に頭に浮かんできたのが藤子・F・不二雄の「SF異色短編」の傑作『ヒョンヒョロ』(1971)だった。 脅迫状。 ヒョンヒョロを差し出さないと誘拐するです。マーちゃんどの という手紙と共にどこからともなく現れる大きなウサギ。 ヒョンヒョロが一体何なのかを一切説明せず、闇雲にヒョンヒョロを要求するウサギ。大人たちは、喋るウサギを、目の錯覚と思い込み、やり過ごそうとする。常識や慣習に囚われ、迫りくる悪意に気付かないふりをする”我々”の

    坂本慎太郎『ナマで踊ろう』と『ヒョンヒョロ』 - 青春ゾンビ
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