虫歯の状況などから児童虐待の兆候をつかむ役割が期待されている小児歯科医の約半数が、虐待を疑われる子どもを診察した経験があるにもかかわらず、このうち1割弱しか児童相談所などに通報していないことが、日本小児歯科学会(朝田芳信理事長)の調査でわかった。児童虐待防止法で定められた通報義務が、子どもの安全を守るべき医療現場で浸透していない実態が浮き彫りになった。 調査は今年6月、小児歯科の専門医1259人を対象に実施。580人から回答を得た(回収率46.1%)。 虐待の疑いがある子どもを診た経験を持つ小児歯科医は、「ある」が26.4%、「少しある」が22.9%で半数近くを占めた。ただ、このうち実際に通報したのは7.0%。全体では3.4%にすぎない。理由としては「虐待かどうかの判断が難しい」「違っていたら怖いので通報できない」などが多かった。 さらに、全体の7.1%が通報義務について「知らない」