コロナ禍の景色② 登山自粛論 PEAKS連載記事 山と僕たちをめぐる話 第21話「コロナの物思い⑵ 希望を紡ぐ」大幅補稿版 近所の小高い丘の上に、海が見晴らせる公園がある。よく晴れた日の夕暮れ時、久しぶりに妻と二人で訪れると、公園につながる車道は通行止めで、人影はない。それならば…と、おもむろに芝生の上で大の字に寝転んで空を見上げれば、雲ひとつなく、しみじみと蒼い。その空の一角には半月がぽかりと浮かんでいて、眺めていると、月がふわふわと揺れ動くような気がしてくる。ふと、子供の頃、同じように星をじっと見ている内に、いつしか動いたり、分裂したりする錯覚に見舞われて、UFOを発見したような気になったことを思い出す。「動いているようだねぇ…」「鳥人間のようでもあるし…遠くをヒラヒラ舞うビニール袋にも見える…」「お湯に浸かるハンプティダンプティかもしれない…」などと二人でぼやいていると、羽を伸ばした