今日は、広告という枠を飛び越えて活躍する猪子さんを通して、いま広告に何が求められていくのかを探っていきたいと思う。猪子さんは、現在の広告界をどんな風に見ている? 猪子:そうだなあ、一般的にインターネットの登場によって、テレビや新聞といった20世紀の広告メディアが衰退し、次第に21世紀のメディアであるネットに移行していくと言われている。だけど、僕は必ずしもそういう構図ではないと思っている。 ネットの出現によって、これまでの広告という手法そのものが以前よりも効かなくなり、効果が薄れていく時代になっているんだと思う。 なぜなら、ネット上に「今、僕、ラーメンを食べた」のようなリアルな情報があふれ出したから。リアルな情報のほうが、フィクションよりも説得力がある。だから、これまでのマスメディアを中心とした広告の代替物にネットがなるのではなく、広告そのものが効かなくなっていくと思っている。 須田:広告は