日本では店員に「いらっしゃいませ」と言われても、客は無視するのが当然とされている。しかしドイツではそれはマナー違反になるから、一時帰国中も店に入るときは店員に対して会釈で応えるようにしていた。 そこで驚いたのは、「いらっしゃいませ」と言いながら、客の方をまったく見ていない店員が多いことだ。「ありがとうございました~」なんて言いつつ、服を整理している人もいる。 接客の質が高いことを自負している国なのに、接客の多くは極めて形式的で作業的。これがもう、不思議でしょうがない。 わたしは飲食店や結婚式場、家具店など、サービス業のアルバイトを多く経験した。そこにはたいていマニュアルがあって、採用されたらまずそのマニュアルを覚えるように言われる。たとえば、注文の取り方やタブレット(おぼん)の持ち方だとかだ。会計時のポイントカードの有無の聞き方やおすすめの商品をアピールするときの文言まで、きっちりと指定さ