複数国への兵器発注を始めたポーランド いまウクライナを除いて兵器をもっとも欲しがっているのは、ポーランドだ。そのため兵器ビジネスの商機は米国内の大手兵器製造企業にとどまらず、他国の同業にも広がっている。 ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は9月、軍需産業主催の貿易カンファレンスで、国内総生産(GDP)比4%超を国防費に支出すると発表した。NATO加盟各国が合意している目標額の2倍だ。 ポーランドには2023年1月以降、417億ドル分(約6兆円)もの米国製兵器の購入権がある。内訳は次の通りだ。
ハマスに襲撃されたスーパーノヴァ音楽祭の会場。報道陣に公開された焼けた車 Photo: Ilia Yefimovich / picture alliance / Getty Images 「ターゲット」ではなかった音楽祭 イスラエル紙「ハアレツ」によると、10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃について、新たな事実がわかってきた。イスラエル警察は捜査を進め、ハマスの戦闘員に対する尋問などから情報を集めてきた。その結果、ハマスに襲撃された音楽イベント「スーパーノヴァ」について、2点が明らかになった。 一つ目は、ハマスは音楽祭の襲撃を予定していなかったことだ。同イベントはガザからわずか6キロメートルのところで開催され、4400人が参加した。当初は事件前日までの開催予定だったが、数日前になって1日延期されていた。 イスラエル警察によると、当日死亡したハマス戦闘員の遺体から発見された標的の地
新著『Z世代のアメリカ』で「アメリカのダブル・スタンダードを批判する若者たち」に光を当てた国際政治学者の三牧聖子氏に、米国の若者たちはいま起こっているイスラエルとハマスの戦争をどう見ているのか、話を聞いた。 パレスチナにより共感する米国のZ世代 この7月に出版した『Z世代のアメリカ』では、2023年3月にギャラップ社が米国で実施した世論調査を紹介しました。 イスラエル・パレスチナ問題をめぐってどちらにより共感するかという問いに対し、民主党支持者のなかでパレスチナに共感すると答えた人が、イスラエルに共感する人と回答した人を10ポイント以上も上回ったのです。過去20数年超、同じ世論調査を続けてきて初めてのことでした。 イスラエルが建国されて以来の米国との「特別な関係」を考えても、米国内で広く共有されてきた親イスラエル世論に照らしても、特筆すべき変化です。 1948年にユダヤ人国家としてイスラエ
ハマスとの軍事衝突を機に、イスラエル在住の外国人が続々と退避している。だが中国人の出国はままならない状況だという。なぜなのか? 中国の歴史や政治に詳しい作家の譚璐美氏が解説する。 中国人もハマスの人質に 病院が戦場になった。11月16日、イスラエル軍がイスラム組織ハマスの「総司令部」を壊滅させるためとして、パレスチナ自治区ガザ地区にあるシファ病院に突入した。 だが、イスラエルが主張するような証拠は見つからず、世界中から非難の声が増すばかりだ。いまだ見つかっていない人質の安否も気遣われる。 内訳は、最多のタイが25人、アルゼンチン21人、ドイツ18人、米国10人、フランス、ロシア各7人、ハンガリー4人、ポーランド、ポルトガル各3人、フィリピン、ルーマニア、タンザニア、英国各2人、オーストリア、ブラジル、カナダ、中国、デンマーク、アイルランド、リトアニア、メキシコ、ネパール、オランダ、セルビア
ハマスとイスラエルの戦争は、長期化の様相を見せている。アインシュタインの思想に詳しいユダヤ人哲学者のスーザン・ニーマンは、いま必要なのはどちらかを支持することではないと訴える。 ユダヤ人の主張する「普遍主義」 ユダヤ人は何世紀にもわたって苦しんだことで、二つの対照的な哲学的な思考を生み出した。 ひとつはユダヤ人が攻撃から身を守る必要性に焦点を当てたものだ。それは、かつて自分たちの祖先を殺した敵であるアマレク人に関する旧約聖書の節に支えられている。これはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のナショナリズムに象徴されるものだ。 もうひとつは、抑圧される他の民に対するユダヤ人としての責務を強調するものだ。スーザン・ニーマンは、この考えを1960年代の米国で幼少期に身につけた。 彼女が通っていたアトランタのシナゴーグのラビは、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師を支持していた。しかし、彼女
近年、中国の若者の「寝そべり族」や「専業子供」現象などが報じられているが、そのZ世代が新たな消費傾向を生み出していると、米メディア「ブルームバーグ」が報じている。 「B1B2エコノミー」といわれるその新たな経済トレンドは、中国の若者たちが、都市部にある高級ショッピングモールの上階ではなく、地下(B1、B2階)でばかり過ごしていることから名付けられた。 たとえば、上海のIFCモールはその典型例だという。 1階にはルイ・ヴィトンやシャネルなどの大手高級ブランドが並び、上階にはカニ料理などの高級中華レストランが入っている。 一方で、地下にはトレンドを押さえつつもリーズナブルな価格帯のアパレルショップやアクセサリー店、また、タピオカティー店やパン屋などがあり、ランチタイムはどこも満席になるほど賑わっている。
この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 18歳から24歳の米国人の51%が、10月7日のハマスの攻撃は「パレスチナ人の抱える不満によって正当化できる」と考えている※1。これは大多数の米国人の感覚とは異なるもので、心情の違いは年齢と相関している。 ハマスの攻撃に限った話ではない。年齢が高いほど、イスラエル支持の傾向も高まるのだ 2022年3月の調査※2では、65歳以上の米国人の69%がイスラエルを好意的に見ていたが、29歳以下では41%にとどまった。米国内の反ユダヤ主義の増加に対する懸念もやはり年齢と相関していて、高齢者の85%が「増加している」と答え、Z世代では52%が「増加していない」と答
欧米で日本酒が着実に広まりつつある背後には、海外進出を果たした地酒メーカーの地道な努力がある。「清酒 明石鯛」を醸す明石酒類醸造を仏紙「ル・モンド」が取材している。 45歳を過ぎてからの挑戦 予言者郷里に容れられず──。いまの日本酒をめぐる状況を見事に言い当てているかのような言い回しである。日本酒は、西洋文化におけるワインと同じように、日本において古い歴史を持つものなのだが、この20年ほどは、日本国内で敬遠されてきた。日本酒に魅了される欧州のワイン愛好者の数が増えているのとは対照的なのである。 2019~2022年の期間に日本からフランスに輸出された日本酒の量が3倍になったのに対し、同期間、日本国内での日本酒の消費は20%も減った。 この日本酒の消費傾向に対応して、自分たちを変化させている小さな蔵元がある。酒どころの兵庫の明石酒類醸造である。この蔵元は、国内市場を遠く離れ、西洋の文化や慣習
キリスト教徒にも大きな被害 パレスチナ人はイスラム教徒だけだと誤解されることもあるが、そうではない。この地域はユダヤ教とイスラム教のみならず、キリスト教の聖地でもあった。 テネシー大学宗教学部特別教授のクリスティン・シェパードソンが「カンバセーション」に寄稿した解説記事によると、パレスチナ人キリスト教徒は国外離散者も含めて数十万人いるとされる。多くはギリシャ正教だが、カトリックやプロテスタントもいるという。 ガザ地区にも少ないながら約1000人のキリスト教徒がおり、「キリスト教とイスラム教のコミュニティは、1300年以上にわたってこの地で隣人同士であった」とシェパードソンは解説する。 イスラエルの空爆が続くなか、ガザ地区のキリスト教徒とイスラム教徒は身を寄せ合って生活している。10月19日、イスラエル空軍はガザ市にあるギリシャ正教の聖ポルフィリウス教会を空爆した。そこにはキリスト教徒とイス
台湾系米国人のモデルが有名デザイナーを、「私の顔だけを白人に替えた写真をソーシャルメディアに投稿した」として告発している。 21歳のモデル、シェリーン・ウーは10月にロサンゼルスで開催されたファッションショーで、有名デザイナーのマイケル・コステロのランウェイに出演した。 ところが後日、デザイナーのコステロは、彼女の顔だけを白人女性に替えたランウェイ写真を投稿。これに気づいた彼女はデザイナーに「なぜ?」と尋ねた。 すると、コステロは、フォトグラファーから送られてきたものを再投稿しただけで、写真が加工されていたとは気づかなかったと返答。つまり、責任はフォトグラファーにあるとした。 そこで、彼女はフォトグラファーにも確認した。だが、フォトグラファーは顔を入れ替える加工などしていないと主張。では誰が、加工したのか?
イスラエルとハマスとの紛争に終わりが見えない。カタール、エジプトなどが仲介に入っているものの、戦闘が停止される気配はない。そんななか、和平に向けて重要な役割を果たせるのは意外にもロシアだと、キングス・カレッジ・ロンドンのロシア研究者は分析する。 ハマスとのパイプ 10月26日、ハマスとイランの代表がモスクワを公式訪問した。それをイスラエル外務省の報道官は激しく非難し、この訪問は「テロリズムを支援し、ハマスのテロリストの残虐行為を正当化する卑猥な行為」だと述べた。 ハマスの代表団を率いていたのは、同組織の政治部門ナンバー2のムーサ・アブ・マルズークだ。イランの外交団代表はアリ・バゲリ・カニ外務副大臣で、両者はロシアのミハイル・ガルージン外務次官に出迎えられた。 ロシアはウクライナとの戦争を続けており、ヨーロッパ全体が巻き込まれる懸念は依然としてある。一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領
ハマス・イスラエル紛争において、我々は「ハマスかイスラエル、どちらの強硬派につくか」という選択に囚われるべきではない。原理主義者に与することなく、解決に向けた道を探ることはできるのだと、哲学者スラヴォイ・ジジェクは主張する。 ハマスがイスラエルに対しておこなった暴虐は、「もし」も「しかし」もいっさいなく、無条件に非難されるべきである。 イスラエルの各市やキブツ(イスラエルに特有の経済共同体)、野外音楽フェスの会場で起きた市民の虐殺、強姦、誘拐はポグロム(ユダヤ人大量虐殺)であり、これによりハマスの真の目的が、イスラエルという国家と全イスラエル人の撲滅にあることが確認された。 そのうえで、現状の歴史的背景を検討する必要がある。ハマスによる攻撃について、どんな種類の正当化もすることなく、これから進むべき道をはっきりさせるためだ。 「神権政治国家」になりつつあるイスラエル 第一に考慮すべきは、ほ
ブレイディみかこさんの最新作は、水商売や工場の夜間作業員、看護師といった「地べた仕事」に就く女性たちに焦点を当てた自伝的小説『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』だ。 本書によって「仕事の場で生きづらさを感じている日本の若い女性たちの声を伝えたかった」というブレイディさんに、日英の女性を悩ませるハラスメントや、エッセンシャルワーカーの賃金格差の問題などについて聞いた。 ブレイディみかこさんは、階級や貧困、多様性などをテーマに優れたノンフィクションや小説を次々と世に送り出してきた。 労働者階級や貧しい人たちの知られざる側面に光を当てる視点は、自分のなかに内在する無自覚の偏見や差別意識に気づかせてくれるとともに、世界の複雑さに向き合う難しさや面白さも教えてくれる。 最新作『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』は6つの短編からなり、上流家庭のベビーシッター、水商売、クリーニング工場の夜間作業員、看護師と
コロナ禍で医療や福祉、小売業に従事するエッセンシャルワーカーの存在が脚光を浴びた一方、他者をケアし、社会インフラを支えるために働く彼らの賃金は低く、待遇も改善されないままだ。 新著『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』で、ケアする仕事に就く人々が抱える貧困や差別の問題を取り上げたブレイディみかこさんは、状況は依然として厳しいままだが、日英両国で変化の兆しが見えはじめていると話す。 報われない「聖なる仕事」 ──『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』(KADOKAWA)では看護師や保育士など、いわゆるケア労働に従事する人たちが職場でのハラスメントや貧困に苦しむ姿が描かれています。 英国ではコロナ禍で、医療従事者などのエッセンシャルワーカーがすごく感謝されたんです。ところが彼らの賃金はその後もまったく上がらず、物価高が始まると生活苦に陥りました。看護師さんがお金がないので食事を抜いて働くとか、彼らが貧
パレスチナ自治区ガザ地区を支配するハマスと戦うイスラエルの閣僚が11月5日、ガザへの核兵器使用を肯定する発言をして物議を醸した。 発言の主はエルサレム問題・遺産相のアミハイ・エリヤフ。対パレスチナ強硬派の極右政党「ユダヤの力」からネタニヤフ政権に入閣している人物だ。 エリヤフは出演したラジオ番組で、ガザに核爆弾を投下すべきかと問われ、「それも選択肢のひとつだ」と返した。 この発言に国内外から批判が集まり、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はエリヤフを当面の間、閣僚会議に出席させないと発表。ネタニヤフは声明で「イスラエル軍は罪のない人々に危害を加えないよう国際法を順守している」とした。 「人類滅亡の兵器にキスする時」 エリヤフは批判を受けて、核の使用は「隠喩的表現」だったと弁明。「テロと戦うには強大で(相手の攻撃に対して)不釣り合いなほどの反撃が必要なのは明らかだ」とXに投稿した。 だがイスラエルに
アラブ系住民に対する激しい仕打ち イスラエル紙「ハアレツ」によると、10月7日のハマスによる大規模攻撃後、イスラエルではアラブ系住民への差別が強まり、さまざまな事件が起きている。 2023年のイスラエル統計局のデータによると、イスラエルの人口の21%をアラブ系住民が占める。しかし、少数民族である彼らはこれまでも差別されてきた。同国政府は2018年、同国を「ユダヤ人の国」とする法律を可決し、彼らの話すアラビア語は公用語から外された。過去にイスラエルとハマスが衝突した際にも、アラブ系住民に対する嫌がらせや暴力事件が急増していた。 現在、イスラエルのアラブ系住民は、ユダヤ系の住民との接触を恐れている人が多いという。なかには罵声を浴びせられて脅されたり、襲撃されたり、殺人の脅迫を受けたりする人もいる。暴力を恐れて仕事に行けなくなったり、解雇されたりして、経済的にも不安定な状態に追い込まれる人が増え
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