旧日本軍が英連合軍を破り、シンガポールとマレーシアを占領したあと、敗戦までの3年8カ月の間に何をしたのかは、日本ではあまり知られていません。この問題で現地調査を長年続けてきたのが、高嶋伸欣(のぶよし)琉球大学名誉教授です。同氏が1983年から始めた教員や有志が参加するスタディーツアーが42回続いてきました。このツアーに参加して見えてきた日本の戦争の跡、そして市民との交流は―。(山沢猛、写真も) 1年の気温が32度とほとんど変わらないシンガポール。その市街地の「先賢館」に8月18日、ツアーの一行10人が到着、続いて日本人会、日本人学校の生徒や教師が顔をみせ、50人余になりました。 謝さんの証言 この日、日本軍がシンガポールに侵攻し占領した時の体験を証言してくれたのは、謝昭思さん(84)です。 謝さんは当時10歳。一家は両親、母方・父方の兄弟たち計25人で、200頭のブタ、1000羽のカモを飼