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  • 動物の言葉を話す男と古代のおとぎ話を忘れた近代社会が対立する、エストニア発の傑作ファンタジィ──『蛇の言葉を話した男』 - 基本読書

    蛇の言葉を話した男 作者:アンドルス・キヴィラフク河出書房新社Amazonこの『蛇の言葉を話した男』は、エストニアで歴代トップ10に入るベストセラーに入り、フランス語版も大ヒットして14ヶ国語に翻訳されたファンタジィ長篇である。帯には、『これがどんなかって? トールキン、ベケット、M.トウェイン、宮崎駿が世界の終わりに一緒に酒を呑みながら最後の焚き火を囲んで語ってる、そんな話さ。』という惹句がついていて、最初から期待して読み始めたのだが、いやはやこれが期待を遥かに上回ってきた。今年読んだ外国文学の中ではピカイチの作品と断言できる。 作は、蛇やクマといった動物と言葉を交わし、強制的に命令を発することもできる「蛇の言葉」を扱う森の住民たちと、そうした古の文化を忘れ、科学技術を得て新しい社会を築き上げてきた近代社会の摩擦、戦いの話であり、リアリストの語り手の少年を筆頭に、人間の女にすぐ惚れて

    動物の言葉を話す男と古代のおとぎ話を忘れた近代社会が対立する、エストニア発の傑作ファンタジィ──『蛇の言葉を話した男』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2021/07/04
    Netflixとかで映像化されそう。
  • ケン・リュウによる、中国、日本、米国の歴史と文化を横断的に取り込んだ珠玉のSF短篇集──『宇宙の春』 - 基本読書

    宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:ケン リュウ発売日: 2021/03/17メディア: Kindle作『宇宙の春』は、中国と米国、作家と翻訳家を股にかけて活躍する作家ケン・リュウの日オリジナル短篇集第四弾である。独立した話の短篇集なので、もちろん書から読んでも問題ない。第二弾、第三弾の短篇集が分厚かったことの反動か、今回は300p全10編とコンパクトになったが、その分シンプルに質の高い作品が揃っている。第一〜から第四冊までを並べた時に、第一と並ぶぐらい好きな巻となった。 作品の発表年としては2011〜20年のものが揃っている。全体をざっくり紹介しておくと、詩的に宇宙の壮大なスケールを歌い上げるような作品もあれば(「宇宙の春」)、未来のシミュレーションを行うSFプロトタイピング的な作品あり(「充実した時間」)、731部隊を「過去に起こったことを一度だけ実体験できる」特

    ケン・リュウによる、中国、日本、米国の歴史と文化を横断的に取り込んだ珠玉のSF短篇集──『宇宙の春』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2021/04/02
  • 人類の英知がこの一冊に詰まった文明速攻再始動マニュアル──『ゼロからつくる科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド』 - 基本読書

    ゼロからつくる科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド 作者:ライアン ノース発売日: 2020/09/17メディア: Kindle版この『ゼロから作る科学文明』は、もしもあなたがタイムトラベラーではるかな未来から過去の世界に飛んでしまい、さらに戻る手段がなくなったとしたらどうやって文明を再興するのか──について書かれた一冊である。 実はこれと同じ発想のが5年前に邦でも翻訳で刊行されている。それは『この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた』というで、最初書(ゼロから〜の方)の書名と内容をみたとき、あまりにも『この世界が〜』とかぶっていそうだったんで、「色んな意味で大丈夫なのかな?」とビクビクしながら読み始めたんだけど、きっちりこの世界が〜の著者ルイス・ダートネルからの推薦コメントも存在しているし、何よりの最初の前提の置き方がこの二冊では異なっているので、書かれている

    人類の英知がこの一冊に詰まった文明速攻再始動マニュアル──『ゼロからつくる科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2020/09/20
    心のどこかで待ち望んでいた一冊
  • 予知能力を持った一人の女性の人生を2043年まで描きあげた『クラウド・アトラス』著者による幻想文学──『ボーン・クロックス』 - 基本読書

    ボーン・クロックス 作者:デイヴィッド ミッチェル発売日: 2020/08/20メディア: Kindle版この『ボーン・クロックス』は、19世紀から第二次世界大戦前、1970年代に現代ロンドンと幅広い年代&場所&職業の人間を通して一枚の複雑な絵を描きあげた『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルの6作目の小説である。これまでの作品と同じく、複数の時代や特殊能力を持つ人間を語り手に据えながら、パズルが組み上がっていくように大きな世界を築き上げてみせる、壮大な幻想文学だ。 最初の舞台になるのは1984年、イギリスのケント州で暮らす当時15歳のホリー・サイクスだ。親に年上の彼氏との交際に反対されたことから思春期らしい反抗性で家出を決意。その直後信じていた恋人に浮気が発覚して裏切られ、親を少し懲らしめてやるためにも、頼れる人がいない中数日間なんとか一人で生きていこうと四苦八苦するの

    予知能力を持った一人の女性の人生を2043年まで描きあげた『クラウド・アトラス』著者による幻想文学──『ボーン・クロックス』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2020/09/06
  • 暗殺作戦、苦難のすべてがこの一冊にまとまった、圧倒的な密度を誇る大著──『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』 - 基本読書

    イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史(上) 作者:ロネン バーグマン発売日: 2020/06/04メディア: Kindle版イスラエルの諜報機関──モサド、シン・ベト、アマンの3機関はその能力の高さから世界中に恐れられている。何より暗殺の作戦数が豊富で、一説によるとイスラエルがこれまで国として行ってきた暗殺作戦は2700件にも及ぶという。イスラエルが国として成立したのが70年前の1948年であることを考えると、驚異的な数といえる。 というわけでこの『イスラエル諜報機関』は、そんなイスラエルの諜報機関がこれまで行ってきた暗殺作戦を、その最初期から現代に至るまで丁寧に追った一冊になる。イスラエルの諜報機関の情報って公開されてんの?? と疑問に思ったが、やはりまったく公開されていないみたいで、国防省に調査協力を求めても無意味。イスラエルの各情報機関に、法律の規定に基づいて過去の文書の資料開示を要求す

    暗殺作戦、苦難のすべてがこの一冊にまとまった、圧倒的な密度を誇る大著──『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2020/06/18
    中学の頃ダブルデートで「ミュンヘン」をチョイスした結果、モサドがテロリストを家族ごと爆殺に次ぐ爆殺、最初と最後はベッドシーン。帰りはお通夜と化した。一緒に見に行った友達は外交官として中東で働いてる。
  • ケン・リュウによって集められた、量も多様性も増した至極の中国SF作家&短篇勢揃い──『月の光 現代中国SFアンソロジー』 - 基本読書

    月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:劉 慈欣発売日: 2020/03/18メディア: 新書この『月の光』は、ケン・リュウによって集められた、中国の精鋭SF作家らによるアンソロジー『折りたたみ北京』に続く中国SFアンソロジー第二弾である。前作が「この一撃をらったやつを全員中国SF沼に落とす」ことを目的としたような一撃必殺正拳突きのような短篇揃いだったことを思うと、今回はそこで空いた穴をぐりぐりと拡張するような、ストレートだけでなく変化球的な作品も揃っている。 作品数が13篇から16篇に増えているだけでなく(500ページ超え)、編者であるケン・リュウも『アンソロジー第一巻と比較して、今回、情緒的な広がりと文体だけでなく、作品渉猟の場を拡大する方向に目を向けて書『月の光』を編纂した』と語っている。ほとんどすべての作品が2010年代に入ってから中国語で出版

    ケン・リュウによって集められた、量も多様性も増した至極の中国SF作家&短篇勢揃い──『月の光 現代中国SFアンソロジー』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2020/03/18
  • 孤独な少女の人生を描く、全米500万部の話題に劣らぬ内容を伴った超ベストセラー──『ザリガニの鳴くところ』 - 基本読書

    ザリガニの鳴くところ 作者:ディーリア・オーエンズ発売日: 2020/03/05メディア: 単行(ソフトカバー)この『ザリガニの鳴くところ』は著者ディーリア・オーエンズが70歳になってはじめて執筆小説であると同時に、またたく間に全米500万部、2019年のアメリカでもっとも売れた作品となった、湿地の少女を描く文学・ミステリィ小説である。 正直言って売上がどれだけ凄かろうがまったくおもしろみを感じない、というケースは往々にしてあるわけで、売上がなんぼのもんじゃい!! と(売上何万部と帯とかに書いてあるについては)謎の気炎を上げながら読むのだが、作に関してはよくもまあこんな作品がそんだけ売れてくれたなあ、と感謝をしたくなるようなである。端的にいって、とても美しく残酷な風景が描かれていて、とてつもなくおもしろい。 湿地で一人孤独に住まう少女の人生を追いながら、そこで起こった殺人事件の犯人

    孤独な少女の人生を描く、全米500万部の話題に劣らぬ内容を伴った超ベストセラー──『ザリガニの鳴くところ』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2020/03/09
  • 複雑な人間関係・時代関係がカタルシスへと直結していく、尖りすぎた近年最高峰のSFアドベンチャーゲーム!!──『十三機兵防衛圏』 - 基本読書

    十三機兵防衛圏 - PS4 作者:出版社/メーカー: アトラス発売日: 2019/11/28メディア: Video Gameいやはやこれは当におもしろい、今年最高のゲームだった。『オーディンスフィア』などで知られるヴァニラウェア✗アトラスの新作だが、タイトルからもわかるように作はいわゆるロボットゲームである。ゲームパートはRTSのタワーディフェンス型の仕組みが採用されていて、こちらも大変におもしろい内容に仕上がっているのだけれども、特筆したいのは、アドベンチャーパートのシナリオに各種演出だ! 物語冒頭、怪獣の侵攻によって街が破壊されつつあり、人々が逃げ惑う中一人の女子高生が太ももをすっとなでる/さらう動作をすることで、STARTの文字が浮かび上がり、街中の歩道橋越しに巨大な人型ロボットが、ばりばりばりという時空の歪みのあとに突如出現するという一連のシークエンスでぞっこん惚れ込んでしまっ

    複雑な人間関係・時代関係がカタルシスへと直結していく、尖りすぎた近年最高峰のSFアドベンチャーゲーム!!──『十三機兵防衛圏』 - 基本読書
  • 二年連続でヒューゴー賞・ローカス賞を受賞した、自省的な人型殺人警備ユニットの日常録──『マーダーボット・ダイアリー』 - 基本読書

    マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/12/11メディア: 文庫マーダーボット・ダイアリー 下 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/12/11メディア: 文庫この『マーダーボット・ダイアリー』はマーサ・ウェルズのSFアクション連作中篇集である。上下それぞれに二篇の中篇が収められていて、特に上巻の「システムの危殆」はヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の各ノヴェラ部門を授賞。続く「人工的なあり方」もヒューゴー賞、ネビュラ賞を授賞と(賞的な意味で)評価の高い作品。 それにこの創元文庫版は安倍吉俊のイラストもあいまって刊行がたいへん待ち遠しかったんだけれども、読んでみたらこれが期待通りのおもしろさ! 全篇通して自分のことを一人称で「弊機」を呼ぶ人型警備ユニット

    二年連続でヒューゴー賞・ローカス賞を受賞した、自省的な人型殺人警備ユニットの日常録──『マーダーボット・ダイアリー』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2019/12/15
  • ヒューゴー賞を三年連続で受賞し、荘厳なアートワークで圧倒する化け物級のエピック・ファンタジィ・コミック──『モンストレス』 - 基本読書

    モンストレス vol.1:AWAKENING (G-NOVELS) 作者: マージョリー・リュウ出版社/メーカー: 誠文堂新光社発売日: 2017/12/22メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るこの『モンストレス』はいわゆるアメリカン・コミックで、中国アメリカ人のマージョリー・リュウが原作、日人のタケダサナが作画をそれぞれ担当して、現在も刊行が続いているファンタジィ・シリーズである。最新刊は現状三巻まで。 で、一巻が出た頃から話題になっていたのだが、その後の快進撃が凄い。その年のヒューゴー賞のグラフィックストーリー部門を受賞。アイズナー賞、英国幻想文学大賞など数々の栄誉ある賞を獲得し続け、話題はその後も継続し続けている。たとえばヒューゴー賞は、3年連続(2017、18、19)で受賞、18年についてはグラフィックストーリー部門とプロアーティスト部門で原作者と作画者が同時受

    ヒューゴー賞を三年連続で受賞し、荘厳なアートワークで圧倒する化け物級のエピック・ファンタジィ・コミック──『モンストレス』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2019/09/22
    美しい…
  • 中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書

    三体 (ハヤカワ文庫SF) 作者:劉 慈欣早川書房Amazon『三体』とは! 中国の作家劉慈欣によって書かれたSF三部作の第一部目にして、中国国内だけで三部作累計2100万部を刊行し、さらに日でも人気のケン・リュウによる翻訳によってアメリカ歴史あるヒューゴー賞を受賞した傑作である。ヒューゴー賞受賞の何が凄いかと言うと、翻訳書としてははじめてのの受賞になるのだ。 それぐらい作品の内容が圧倒していたともいえる。で、あまりSFとは縁のなさそうなオバマやザッカーバーグも絶賛していたりとか、アニメ化が決定したりとか話題は尽きないんだけれども、とにもかくにもこれだけは覚えて帰ってもらいたいのは、この『三体』は、話題先行の内容はまあおもしろいね、いうほどじゃないけど的な軟弱な態度で読み終わる作品ではなく、その肥大化しきっているともいえる話題性に劣らない、圧倒的なおもしろさのある、純粋におもしろいSF

    中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書
    dimitrie
    dimitrie 2019/07/08
    三休さん
  • 未来を見る方法──『WTF経済 ―絶望または驚異の未来と我々の選択』 - 基本読書

    WTF経済 ―絶望または驚異の未来と我々の選択 作者: Tim O'Reilly,山形浩生出版社/メーカー: オライリージャパン発売日: 2019/02/26メディア: 単行この商品を含むブログを見るプログラマからすると頭が上がらない技術書出版社のボス、ティム・オライリーによる、テクノロジーと未来についての一冊である。書名の「WTF経済」って何、と思うかもしれないが、WTFとは、what the fuck,なんじゃこりゃとかなんてこった的な表現で、人工知能iPhone、ウーバーなど、驚異的な技術と発想の産物であると同時に、多くの人が恐怖と共に受け入れてきたWTF? 製品を、これまでの捉え方とは「ちがう道で」選び、受け入れていかなければならないと語る啓蒙の書である。 『大きな経済変革の時代に、それをテクノロジーのせいにするのは簡単だ。だが問題もその解決策も、人間の選択の結果なのだ。』『驚

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  • 異世界からの”帰還後に”苦悩を抱き続ける少女たち──『不思議の国の少女たち』 - 基本読書

    不思議の国の少女たち (創元推理文庫) 作者: ショーニン・マグワイア,原島文世出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/10/31メディア: 文庫この商品を含むブログを見る『不思議の国の少女たち』とは不思議な題名だが、読み始めてすぐに納得がいった。これは「不思議の国」や「ナルニア国」といったファンタジックな世界から”帰還した後”の少年少女たちが集まる全寮制の学校での物語なのだ。子供たちは異世界で大冒険を成し遂げた後、さまざまな理由によって元の世界へと帰還する。そして、その時の経験を大人たちに語るが、まずもってその内容が正しく理解されることはない。 大人からすればそれは子供にありがちな幻想的な誇大妄想、あるいは何らかの理由によって家出した時の、精神的トラウマによるショック症状にしか捉えられないからだ。そうした子供たちを救うために、学校は存在する。『入学するかもしれない子どもたちにと

    異世界からの”帰還後に”苦悩を抱き続ける少女たち──『不思議の国の少女たち』 - 基本読書
  • ビル・ゲイツが絶賛しオバマ前大統領が楽しんだ本格宇宙SF──『七人のイヴ Ⅰ』 - 基本読書

    七人のイヴ ? (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者: ニール・スティーヴンスン,日暮雅通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/06/19メディア: 新書この商品を含むブログを見るサイバーパンクの傑作として名高い『スノウ・クラッシュ』、ナノテクの発達によって変容した文明社会を描き出す『ダイヤモンド・エイジ』などでその名を世界に轟かせたニール・スティーヴンスンによる格宇宙SFがこの『七人のイヴ』である。 早川書房からのリリース文では『マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが「思考を喚起する圧倒的な面白さ」と自身のブログで絶賛。また、任期中のオバマ前大統領が夏に楽しんだ1冊だと公表したことでも話題となった全米ベストセラーです。』とあり、え、それは当にSFなの? と疑問に思ったぐらいだったが、月が突如として7つに分裂して以後の、人類の存亡をかけたサバイバルを描く純然たる傑作(今のとこ

    ビル・ゲイツが絶賛しオバマ前大統領が楽しんだ本格宇宙SF──『七人のイヴ Ⅰ』 - 基本読書
  • いまさらだけど『ヒナまつり』を読んだらおもしろすぎたのでめっちゃ褒める - 基本読書

    ヒナまつり 1 (HARTA COMIX) 作者: 大武政夫出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン発売日: 2013/08/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る『ヒナまつり』。10年近く前から存在する作品だし、「いまさら読んだのかよ」感が半端ないのだけれども、アニメが放映されてから「そういえば友人が褒めてたな……」と思い出して読み始めたらめちゃくちゃ面白くてドハマリしてしまった。この作品、友人は必死にオススメしてくれてたんだけど、なんか「人をバカにしてんのかな?」みたいな話の筋で一ミリもおもしろそうに聞こえなかったんだよね……。 端的にあらすじを紹介すれば、若手のインテリ系ヤクザである新田の部屋に突如として謎の物体があらわれ、そこから出てきた強力なサイキックである中学生ぐらいの女の子のヒナとヤクザの共同生活がはじまる──と言った感じで、なんかヤクザと

    いまさらだけど『ヒナまつり』を読んだらおもしろすぎたのでめっちゃ褒める - 基本読書
  • もし、無神論者が牧師になったら──『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』 - 基本読書

    ギデオン・マック牧師の数奇な生涯 (海外文学セレクション) 作者: ジェームズ・ロバートソン,田内志文出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/01/12メディア: 単行この商品を含むブログを見るひとりの”信仰心を持たない”牧師の人生を描く、地味な話ながらも読んだらついつい彼の人生のあり方、葛藤に惹き寄せられ、この数奇な生涯に自分なりの解釈を持ち出さずにはいられない──そんな奇妙な味を持った長篇小説である。以下詳細。 奇妙な物語の導入 スコットランドの出版社に、ある奇妙な体験と行動を起こした後に失踪した、ひとりの牧師の手記が持ち込まれる。そこには信仰を持たぬ男がなぜ牧師を目指したのか、人生で誰の身にも起こりえる、不貞や不義理、身近な人々との交流、崖から落ちて死にかけた彼を救うことになる”悪魔”との出会い──などが描きこまれていた。 その後失踪したギデオン・マック氏が山中で死んでい

    もし、無神論者が牧師になったら──『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』 - 基本読書
  • 頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書

    堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1) 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/09/30メディア: 単行この商品を含むブログ (17件) を見るエドワード・ケアリー《アイアマンガー》三部作が先日発売の『肺都』によって完結したが、これが当に凄い物語だった。奇しくも『肺都』が昨年最後に読了したとなったけれども、そんなことは無関係に問答無用で『肺都』が17年のベストだ。それどころか《アイアマンガー三部作》は、人生においてこれ程の熱量の物語にあと何度出会えるのだろうか……と考え込まずにはいられない、破壊的な小説作品なのだ。 人間を突き動かさずにはいられない特異なリズムがこの物語全体を貫いている。劇作家でもある著者による台詞、会話劇は一つ一つの発言が声の大きさ、息の吐く音まで聞こえてきそうな(凄まじい翻訳の力もあるの

    頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書
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