▼離脱への評価 2019 年2 月1 日、米国はINF(Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty:中距離核戦力全廃条約)の破棄を正式にロシアに通告した。ロシアは即時に義務履行の停止を表明した。6 ヶ月後の今年8 月から、INF 条約は正式に失効する。一部日本メディアの報道は、この決定をトランプ大統領の資質に帰するが、矮小化した判断である。既に、INF を取り巻く環境にはトランプ氏ならずとも、「破棄」せざるを得ない状況があり、今さら驚きはしない。現状のままでは、中国に圧倒的に有利な戦略環境を拡大させるだけだ。本来はオバマ前政権が行うべき決断だったが、同氏の外交安全保障政策が「遅すぎ(too late)」「少なすぎ(too small)」と批判されながら、先送りした結果、中東やインド洋から西太平洋に至る広大な範囲で、中国の軍事力が強大になった。 (続きを