夏目漱石「月が綺麗ですね」の元ネタを遡る

「夏目漱石は「月が綺麗ですね」となんか訳していない」という話から、「初出であるとされる70年代以前がどうだったのか知りたい」という話が出ていたので、Googleブックスを検索していたのだが、1962年刊行の『日本人の知恵』にこのような話があるらしい。 さらにいえば、日本の社交の基本は「見る」ことで成立する。 若い男女の恋人同士が愛の告白をするとき、西洋人のように、 「私はあなたを愛しています（I love you）」 などとはけっしていわない。 そんなことばを口に出さなくとも、満月を仰ぎ見て、 「いいお月さんですね」 そして、二人でじっと空を見上げるだけで、意思は十分通じるのだ。 日本人の知恵 - 林屋辰三郎 - Google ブックス この『日本人の知恵』という本は、 なんと、昭和37年に発行された本で、その前年朝日新聞に連載された「日本人の知恵」を再編集したもの。 日本人の知恵 林屋辰

[lettuce0831]

素晴らしいリサーチ。某アニメを中心に広まっている汚名挽回は間違い説もそろそろ訂正が広まるべきだな https://twitter.com/iima_hiroaki/status/1433640897523060755

[mazmot]

「漱石が月が綺麗ですねと訳した」という話は英語圏にもひろまりつつあるようだ。いま論文検索したら数十件出てきた。ただ、主なものは日本人著者の英語論文で、日本人の論文の悪弊としてソースが不明。

[kou-qana]

これは楽しい「いかがでしたか？」だ〜。/愛の告白がなかったかと言えばんなこたないだろうって気はする。姫君に会わせてくれ、ひと目見たいと言えば好きの表明で、割と直接的に感じるけどな。

[Kuw]

言外の行間を読めとかハイコンテクストを扱う類の話だと思ってたのに、いつの間にか「月が綺麗ですね」＝「I love you」とするただの隠語扱いになっててそれもまた逆に面倒くさくないかと思う昨今

[neko2bo]

斑目パイセンの「君はあの時 ハナゲが出ていたんだ!!!」という漫画史に残る名告白シーンをこそ語り継ぎたいと思っています。

[Windfola]

同じ当て推量ベースとしても、世の中の「いかがでしたか」がみなこのレベルならネットはもっと楽しいだろうなあ。

[ozp]

「月が綺麗ですね」ネタに全然共感できなかったんだけど、こういう経緯だったと知ってなんとなく安心した

[ippeichangg]

事実関係はよくわからないが、夏目漱石の創作物を読んでの感想としては、ロマンチックというよりかは日本語に対する諧謔的な物言いで出た発言なんじゃないかとは思っている。

[napsucks]

このフレーズ見かけると「夜道に気をつけろよ、月夜の晩だけとは限らないぞ」というヤクザの脅しを思い出す。あれも似たようなコンテクストの高さ。

[WildWideWeb]

I am proud of youを「あなたを誇りに思う」でずっとやり過ごしてきたこなれ感のなさについてもちょっと考えた。

[smicho]

漱石の逸話であっても不思議ではないなという印象。

[avictors]

はてダ時代に既出。この増田も厨川の言葉を勝手に漱石の言葉と決めつけている。リンカーンの名言として20世紀の記者が流したコピペが、リンカーン政権の閣僚の回顧録で紹介された別人の言葉の改変だったような話。

[quick_past]

日本語は繊細で微妙な言い回しができる。というが、結局の所面倒くさいだけだし日本語に幻想持ちすぎな連中を釣ってるだけだと思ってた。あれは。言葉がまっすぐ受け取られず余計な解釈されるのほんと嫌い。

[deep_one]

I love youのニュアンスが日本語に訳せないという事は言っていた。「月がきれいですね」は別に原典があった。／「汚名挽回」は成句としてあるのか誤用なのかだから「汚名を挽回する」と言えるかとは別問題だと思う。

[mztns]

Googleブックスがすごい

[richard_raw]

ちゃんと調べた上での「いかがでしたか？」はいいものだ……。/こんなのも。「死んでもいいわ」はロシア語からだったのか……。 https://www.rikaboo.com/entry/2017/08/16/055328

[kkobayashi]

ほほう

[washable-mikan]

表現として好きなので仮に言ってないとしても消えないで欲しいなぁ

[still_alive]

デマ発生のメカニズム。考察に値する。

[SasakiTakahiro]

なんかいろいろ混線して「夏目漱石がI love youを月が綺麗ですねと訳した」という話になる。

[ueshin]

日本人は直截的ではなく、歪曲的な愛の表現を好むという欧米対日本の価値観の話が、漱石という時代を代表する人物に結実してゆく。芭蕉の「古池や～」のわびさび論に通じるような。

[Gragra]

この俗説大嫌いだったが、なんのことはない、loveの多義性や射程に対応する言葉がなかっただけの話だったのか。

[sextremely]

日本人はloveを訳し血肉とするのに数十年かかったが私はfuckを自らの骨とするに数年で足りた

[udongerge]

勉強ンなるねえ。

[zubtz5grhc]

「愛している」と言う表現は近年のものだということを改めて。昭和初期以前の表現方法にもっと着目してみたいと思った。

[behuckleberry02]

厨川白村『近代の恋愛観』ダウンロードして読んでる。さすがベストセラー面白い。現代に通じる話がもりもり出てくる。

[uk_usa_tv]

こういう「いかがでしたか？」ならもっと読みたいなー。

[susahadeth52623]

これ「I love you.」が日本だと「月が綺麗ですね」になるというより「2人で夜空を見上げる行為」の方が「I love you.」の代替表現って話になるよね。

[dorje2009]

GJ

[kanimaster]

お見事。同じく漱石の教え子、中勘助の自伝的小説『銀の匙』（1911年）に、主人公の少年が年上の人妻に向かって「月が……」と話しかけながら赤面する場面が書かれています。

[mtk_inrs]

え！「死んでもいいわ」の元ネタはどこからなんや！？

[PeterFukuda]

もうこんだけ広まってるから「見てみ、月綺麗やな」というだけで口説ける便利さよ。

[natu3kan]

夏目漱石がI Love Youは訳せないって言った事が教え子経由で広まって、そこになんやかんやした可能性があると。

[hiruhikoando]

小宮豊隆経由なのかなあ。岩波の評伝なんかで。

[tekitou-manga]

2000年以降にはじめてネットで聞いた話だけど、これ知らないっていったらすんげー馬鹿にされた。馬鹿にされ損じゃねーか！

[roirrawedoc]

これ教養の無い人間が教養をひけらかそうとする時に必ず出てくるミームみたいになっていたので本当にバカっぽくて嫌いだった。漱石はそんなこと言ってないって教養あったら分かるよね。

[atahara]

そうか、汚名挽回もそんなに間違いじゃないのか。若い頃、友人に嗤われたものだけど、それも亡き友人の良い思い出。

[ga_kun]

カンガルーの語源が現地語で「わからない」は俗説で本当は「跳ぶもの」というは話を思い出した

[shinp]

この文章での結論は「夏目漱石がI love youを『月が綺麗ですね』と訳したか、については結構そうっぽいかもしれない。確定情報ではないけど」なんだけど、結局伝わってない感あるね…

[hiro7373]

id:lettuce0831 汚名は挽回してはいけません 追記)挽回してもいいんですね。NHKも2020年まで載せてたページを削除した模様 https://web.archive.org/web/20201031234825/https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/020.html