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宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」 自由すぎるこの人生を見よ|好書好日
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宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」 自由すぎるこの人生を見よ|好書好日
近代までの文学は、主人公の名前がタイトルになっている作品が多い。文学の役割の一つは、ロールモデル... 近代までの文学は、主人公の名前がタイトルになっている作品が多い。文学の役割の一つは、ロールモデルを提示することだったからだ。読者は主人公の人生をお手本にしたり、時に反面教師とすることで、実人生における学びや気づきを得ていた。だが、現代社会は個々人の生き方があまりにも多様で、共有できる価値観を表現するのは難しい。タイトルに主人公の名前を冠した「この人を見よ!」タイプの小説は、近年あまり書かれなくなった。 そんな状況下で突如現れたのが、宮島未奈のデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』だ。物語の舞台は、琵琶湖に面した滋賀県大津市膳所。成瀬あかりが中学二年生から高校三年生へと時を重ねていく中で、その時々の彼女が生み出した伝説や自由すぎる言動の数々を追いかける。それらは笑いを招くものでもあるのだが、成瀬のような考え方で人生と向き合い、人と接することができたなら――という憧憬(しょうけい)もまた読者に引