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大江健三郎の「セブンティーン」には、文学者らしく、射精の様子が生き生きと描かれている。 「次の夏ま... 大江健三郎の「セブンティーン」には、文学者らしく、射精の様子が生き生きと描かれている。 「次の夏までにおれの筋肉は頑丈になり、隅々まで発育し、海で女の子の眼をひきつけるだろう。それに同年輩の男の子たちの心に尊敬の熱っぽい根を植え付けるだろう。海の風の塩辛い味、熱い砂、太陽の光が灼けた皮膚になおもふりかけるムズガユ粉、自分や友達の体の匂い、海水浴する裸の大群衆の叫喚のなかで不意におちいる孤独で静かで幸福な目眩の深淵、 ああ、ああ、おお、ああ、 おれは眼をつむり、握りしめた熱く硬い性器の一瞬のこわばりとそのなかを勢いよく噴出していく精液、おれの精液の運動をおれの掌いっぱいに感じた。 そのあいだ、おれの体のなかの晴れわたった夏の真夏の海で黙りこんだ幸福な裸の大群衆が静かに海水浴しているのがわかった。 そしておれの体のなかの海に、秋の午後の冷却がおとずれた。 おれは身震いし、眼をひらいた。精液が洗
2021/10/04 リンク