時代の風：こども性暴力防止法案 偏見、被害生む土壌に＝河合香織・ノンフィクション作家 | 毎日新聞

「こども性暴力防止法案」が3月19日に国会に提出された。 この法案は「日本版DBS」とも呼ばれ、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を照会するシステム導入を柱とする。学校や認可保育所には犯歴の確認を義務づける。放課後児童クラブや学習塾などは任意だが、犯歴確認をすれば「認定事業者」として扱われる。 子どもを守るための法整備に期待したいが、課題も残る。例えば、かつて私が取材したケースに、次のようなものがあった。未成年者を連れ去った罪で実刑判決を受けた男性である。 男性は出所後、保育園のバス送迎や公立小学校の学童保育の補助業務に就いた。本人は「自分の名を検索すればわかるのに、どうして採用されたのか不思議」と話していた。その後、男性は再び罪を犯すことを恐れて仕事を辞め、自宅に引きこもることを選んだ。