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岩波文庫、実は「幻想と怪奇」の宝庫? 奇書中の奇書『サラゴサ手稿』ついに全訳登場
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岩波文庫、実は「幻想と怪奇」の宝庫? 奇書中の奇書『サラゴサ手稿』ついに全訳登場
「岩波文庫」と聞いて、あなたはどんな印象を思い浮かべるだろうか。おそらくは、「古くからある」「難... 「岩波文庫」と聞いて、あなたはどんな印象を思い浮かべるだろうか。おそらくは、「古くからある」「難しそう」とか、「教科書的(堅い)」というものではないだろうか。 確かに、同文庫にはそういう側面がある。だが、それは別に悪いことではなく、たとえば、「古い」「難しい」は、決して「面白くない」と同義ではないのである。また、教科書的な“お堅い”(あるいは地味な)作品が数多く収録されているのも事実ではあるが(巻末に記載されている刊行の辞を読めば、同文庫の原点がある種の教養主義であるということがわかるだろう)、その一方で、いわゆる「奇書」――とりわけ幻想文学やSF、冒険小説と呼ばれるジャンルの“珍品”も結構な数が収められている、と聞いたら、改めて興味を抱く人もいるかもしれない。 そのことを私は、かつて、荒俣宏の「ぼくのお師匠さんのこと」というコラム(『稀書自慢 紙の極楽』中央公論社・所収)を読んで知った。